2025年08月20日10時00分 / 提供:ウーマンエキサイト
■小学校受験当日!見慣れた後ろ姿が…
試験当日の朝。
優花は、少し緊張した面持ちながらも、身だしなみを何度も確認するために鏡の前に立っていた。
「大丈夫、今までやってきたことを思い出して、落ち着いてね」
私は優しく髪を整えながら声をかける。
そう言って小さく拳を握る優花の姿に、私の胸も高鳴った。
試験会場に到着すると、会場前はスーツ姿の母親たちと、緊張した子どもたちでごった返していた。
その中で――見慣れた後ろ姿を見つけた。
…瑛子さんと芽依ちゃんだった。
ふとこちらに気づいたのか、瑛子がわざとらしい笑みを浮かべながら近づいてくる。
■塾いじめの首謀者ママが嫌味を…
私は微笑みで応えたが、内心では小さな溜息をつく。
嫌味は予想していた。ここが最後の“場”になることも。
「ええ。うちの子、すごく頑張ったんです。塾に通わなくても、優花の力を信じてますから」
その言葉に、瑛子の表情が一瞬ぴくりと揺れた。
「ふぅん…。でも、結局は“遊び感覚”でしょ? その程度で、うちの芽依に勝てるわけ――」
「勝ち負けじゃないと思います」
私は遮るように、しかし静かに言った。
「うちは、受かることが目的じゃなくて、“がんばる”ことが目的です。娘がやりたいと思ったことに、私が全力で寄り添っただけ」
「……何それ、きれいごとばっかり」
「そうですね。でも、その“きれいごと”を信じて、ここまでやってきましたから」
私は深く一礼し、「失礼します」とだけ言って、優花の手を引いた。
その背後で、瑛子の舌打ちのような小さな音が聞こえた気がしたけれど、もう気にしない。
優花の手は、しっかりと私の手を握り返していた。
会場に入る直前、優花が小声で言った。
「ママ、ありがとう。私、がんばってくるね!」
「うん。大丈夫。優花なら、きっとできるよ」
その瞬間、私の心に一点の曇りもなかった。
たとえ結果がどうであろうと、この選択は間違っていない――そう確信していた。
※この漫画は読者の実話を元に編集しています。また、イラスト・テキスト制作に一部生成系AIを利用しています。
(ウーマンエキサイト編集部)