2025年08月17日10時00分 / 提供:ウーマンエキサイト
■いじめについて、ママ友の核心に触れると?
芽依のいじめ現場を見て数日。私は意を決して、授業終わりのタイミングを見計らって塾に向かった。
芽依と優花が出てくる前に、話しておきたいと思った。
私は少しだけ声を落とし、核心に触れる。
「実は…優花が最近、塾のことをまったく話さなくなっていて。それで心配になっていたんです。先日も、芽依ちゃんに無視されたと泣きながら話してくれて…」
その瞬間、瑛子さんの表情がすっと硬くなった。
「それで?うちの芽依が“いじめてる”って言いたいの?」
「いえ、責めたいわけじゃ…ただ、少し距離があるみたいで。前は仲良くしてたので、私もちょっと驚いて…」
「――ふん」
鼻で笑ったような音とともに、瑛子さんが一歩、私に近づいた。
■「子ども同士のいじめ」で済まされない
「あなた、分かってないのね。芽衣は年少の頃から、ずっと塾とお稽古を頑張っていたのよ。遊びも我慢して…。私も芽依の為にお金も時間もかけて、ようやく今のレベルにいるの」
目が笑っていなかった。
私は言葉を失った。
まさか、そこまで思われていたなんて。
瑛子は、さらに続けた。
「優しくしてあげたのよ?塾のこと、試験の傾向、いろいろ教えてあげた。それなのに、芽依が少し無視しただけでイジメだと騒ぐなんて…受験に落ちたら、あんたたちのせいよ」
その瞬間、心の中にスッと何かが冷えた。
…もう、これは「子ども同士のいじめ」なんかじゃない。
きっと首謀者はこの人だ。
この人は、“お受験”で合格するためなら娘を加害者にすることも厭わない。
それをしてもいいと考えている人だ。
私は震える声を押さえ、静かに言った。
「受験に失敗しても、それは“他人のせい”じゃないと思います。私は、優花が自分の力で頑張れることを大事にしたいんです」
瑛子の目が細くなった。
「じゃあ、せいぜい頑張って。塾もやめたら?真剣じゃない人がいると、目障りなのよ」
その言葉を背に、私は黙って会釈をしてその場を離れた。
もう、ここに長くいる意味はない――
でも、どうするかは、娘とちゃんと話してから決めよう。
※この漫画は読者の実話を元に編集しています。また、イラスト・テキスト制作に一部生成系AIを利用しています。
(ウーマンエキサイト編集部)