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【杏林大学】保健学部 臨床検査技術学科の摂津助教、島田教授らの研究グループが早産児が全身性炎症から脳を防御する基本的な細胞メカニズムを解明!

2025年10月15日14時05分 / 提供:Digital PR Platform

杏林大学保健学部 臨床検査技術学科の摂津黎助教(筆頭著者)、島田厚良教授(責任著者)らから構成される研究グループは「早産児が全身性炎症を発症すると、脳に傷害を起こしやすく、生後発達の過程で神経後遺症を伴う場合が多い。」という臨床的な問題では、発症メカニズムに疑問点が非常に多いという事実に焦点を当て、早産児が全身性炎症から脳を防御する細胞メカニズムを解明することを目的に実験を行い、その基本的な細胞メカニズムを解明しました。研究の成果はJournal of Neuroinflammationに掲載されました。

摂津助教と島田教授らの研究グループは「早産児が全身性炎症を発症すると、脳に傷害を起こしやすく、生後発達の過程で神経後遺症を伴う場合が多い。」という臨床的な問題では、発症メカニズムに疑問点が非常に多いという事実に焦点を当て、早産児が全身性炎症から脳を防御する細胞メカニズムを解明することを目的に実験を行い、その基本的な細胞メカニズムを解明しました。

実験は30~35週令の早産児の脳に発達段階が一致する生後7日齢のマウス新生仔を対象に、腹腔内に単回LPS(内毒素)を投与して全身性炎症を誘導して行いました。今回の研究の目的は、次の3つの疑問を明らかにすることでした。(1)脳実質へと移動してミクログリアに分化することが個体発生上で定められている髄膜マクロファージは全身性炎症に応答できるのか? (2)もし出来るのであれば、髄膜マクロファージのパートナーとなって共に免疫応答を進める細胞はどれなのか? (3)どの細胞でどんなサイトカインあるいは遺伝子が高く発現されて、全身性炎症から未熟脳を防御することができるのか? LPS投与の4時間後から72時間後にかけて、組織・細胞の形態変化、サイトカインの濃度変化、細胞内遺伝子発現の網羅的変化、遺伝子発現が上昇する発現の同定を行うと、全身性炎症に対して最初に応答する細胞は髄膜マクロファージであり、それを受容する細胞は、本態が線維芽細胞と最近分かった髄膜細胞・脳血管周囲細胞であることを明らかにしました。次いで、脳実質内でサイトカインを産生する細胞は刺激を受けた血管周囲線維芽細胞であること、サイトカイン変化に反応してマクロファージ/ミクログリアが肥大することが分かりました。その肥大細胞の網羅的遺伝子発現解析により、強烈にトランスクリプト発現を上昇させる遺伝子は9つあって、免疫応答の準備を進める、炎症を促進するか抑制するかの方向性を決める、体内に進入する細菌に鉄分子を渡さない抗菌作用を持つといった特徴がありました。それらの遺伝子については、髄膜・脈絡叢・血管周囲に存在するマクロファージ/ミクログリアおよび線維芽細胞がLPS投与4時間後にはトランスクリプトを発現することが分かりました。しかも、炎症応答中のマクロファージは、脳の個体発生に必要なミクログリアへの分化を継続して行っていたことを証明しました。これらの防御機構の活動の結果、生後7日齢のマウスは母親のもとで健常な発育を遂げ、大きな異常を示さずに10週齢の成体まで成長しました。

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