2023年03月14日12時00分 / 提供:ニコニコニュース
矢沢永吉、松田聖子、SMAP、エリック・クラプトンなど、数多くの有名アーティストのライブが開催されている“日本武道館”。1966年にビートルズの来日公演が行われた場所としても有名だ。
ミュージシャンやファンにとってある種の特別な場所とも言われ、“日本武道館”でのライブを活動の目標に掲げるミュージシャンも少なくないだろう。
本日(2023年3月14日)、そんな憧れの地で単独公演を行うアイドルグループがいる。9人組のボーイズグループ「MeseMoa.」だ。
(画像はMeseMoa.公式ホームページより)
もともとアイドル活動とは無縁の「素人男子」だった彼らだが、2012年に「男11人で モーニング娘。 – 恋愛ハンター を踊ってみた」という動画をきっかけにグループを結成。
ニコニコ動画に投稿されたこの動画が話題を集め、オリジナル曲でのライブ活動も行うようになっていく。
アイドルのカバーダンス動画をきっかけに、自身がアイドルとなり、日本武道館での単独公演をするように────まるでドラマのようなシンデレラストーリーを駆け抜けてきた彼らはいったい何者なのか。
今回ニコニコニュースオリジナル編集部では、「MeseMoa.」のリーダーの白服さん、サブリーダーの気まぐれプリンスさん、エースのあおいさんにインタビューを実施した。
左から、白服さん・あおいさん・気まぐれプリンスさん。
白服さんTwitterアカウント
気まぐれプリンスさんTwitterアカウント
あおいさんTwitterアカウント
「モーニング娘。」の鈴木香音さんからのメッセ―ジがきっかけにグループを結成
趣味の活動から変化していくことであがった批判的な声
「MeseMoa.」改名に込めた決意表明
など、グループ結成のきっかけから約10年に渡っての活動の裏側、日本武道館単独公演という夢舞台への歩みなど、お話をうかがった。
また、リーダーの白服さんは、2023年の年末を目処に「MeseMoa.」から卒業することが発表されている。白服さんの卒業に至った心境や、それに対する気まぐれプリンスさんやあおいさんの想いも語られているので、あわせてチェックいただけたら幸いだ。
文/大宮高史
編集/竹中プレジデント
撮影/金澤正平
グループ結成のきっかけは「モーニング娘。」メンバーからのメッセージ
──3月14日に日本武道館でのライブを控えている「MeseMoa.」ですが、武道館での単独公演というのは本当にすごいですね。
白服:
まさか日本武道館に立つことになるなんて……10年前は1ミリも思ってなかったですし、信じられないことばかりのアイドル人生になりました。
──2012年5月10日「男11人で モーニング娘。 – 恋愛ハンター を踊ってみた」という動画を投稿したのが、今のアイドル活動にもつながる「MeseMoa.」(「むすめん。」)始まりでした。
白服:
「恋愛ハンター」の踊ってみた動画を投稿しようと思ったのは、「モーニング娘。」メンバーの鈴木香音さん(2016年卒業)からのメッセージがきっかけなんです。
2012年当時、僕は「ニコラジ」【※】という番組でパーソナリティーを務めさせていただいていて。「モーニング娘。の大ファン」で、中でも「鈴木香音さんが推し」だと番組でも話していました。
そうしたら、僕が番組を卒業する回に、ご褒美みたいな感じで鈴木さん本人からビデオレターをいただけたんです。
※2010年4月5日よりニコニコ生放送で放送されていたラジオ番組。
──大ファンのグループの推しからメッセージがもらえるなんてものすごいサプライズですね!
白服:
ものすごくうれしかったです。「恋愛ハンターっていう新曲をリリースしたので、ぜひ踊ってみてください」ってメッセージをもらって、絶対踊ってやろうと心に誓いました。
──それが「男11人で モーニング娘。恋愛ハンターを踊ってみた」につながったと。それにしても、男性だけで11人も集まったのが驚きです。
白服:
まさか11人も集まるなんて予想外でした。最初は、「集まらないだろうな……」と思っていて、少人数でもいいかなと考えていたんです。でも、話を進めていくうちに楽しそうと企画に乗ってくれた人たちが集まりました。
11人という大所帯での「踊ってみた」
──いまの「MeseMoa.」メンバーの多くが、このとき集まった踊り手たちで構成されています。グループのサブリーダーの気まぐれプリンスさんも、エースのあおいさんも「恋愛ハンターを踊ってみた」からずっと一緒ですよね。
あおい:
白服さんと知り合ったころの僕は中学1年生くらいでした。そこから「むすめん。」「MeseMoa.」とずっと一緒に活動しているので、人生の大半を一緒に過ごしていることになりますね(笑)。
白服:
「恋愛ハンター」を踊ると決めたとき、最初にメンバーに誘ったのがあおい君でした。彼は既に踊り手仲間として交流があったし、なによりハロプロ好き同士だったので。
──気まぐれプリンスさんもハロプロ好きですよね。
気まぐれプリンス:
当時から、踊り手ネームを「モーニング娘。」さんの曲(「気まぐれプリンセス」)から「気まぐれプリンス」)にして、ハロプロのカバーダンスを投稿していたくらいにはハロプロ好きで。「恋愛ハンター」のお話がきたときは、すぐにOKしました。
白服:
じつはハロプロ好きって言えるようになったきっかけって、ぷんちゃん(気まぐれプリンスさん)だったんですよ。
失礼な話なんですが、当時は僕はハロプロファンだっていうことを堂々と公言できずにいたんです。でも、ぷんちゃんがハロプロ好きを公言してダンスをコピーしていて、しかもMVを再現した編集も全部一人でやっている動画を見て、「やばい奴だ!」って刺激されながらも感動して。
気まぐれプリンス:
踊り手ネームが「気まぐれプリンス」で、ハロプロのカバーダンスを投稿しているというので、「ハロプロカバーの踊り手」というイメージがあったからこそ、白服さんに誘ってもらえたんだと思います。
──いちからメンバーを集めて、練習をして、動画を撮影する。かなり大変な取り組みだと思います。
白服:
社会人も学生もいたし、時間の確保が大変でした。
それに、いざ真面目に練習しようとしても、やっぱり遊び感覚というのがまだどこかにあって……。集まるとみんなでわちゃわちゃ騒ぎたくなるので真面目と楽しむことのバランスを取るのに苦労してました。
気まぐれプリンス:
その当時、男性の踊り手が大人数で集まって動画を撮るってこと自体がすごく珍しかったんですよ。
集まって3人くらい……それが11人という大所帯ですから。しかもスタジオで撮影するというのも異色だったと思います。
──その成果もあって、動画はものすごく話題になっていました。
白服:
あの反響は本当に予想外でした……。動画を見てくれたつんく♂さんがTwitterで言及してくれてビックリしました。
でも今見たらクオリティはひどいです(笑)。よくあれで投稿する気になったなと。去年、10周年記念で同じ「恋愛ハンター」で踊った動画を作ったんですが、見比べると大違いです。
趣味で終わらなかった。「アイドル気取り」から「アイドル」へ
──そこからハロプロのコピーダンスのみならず、オリジナルの楽曲も作って踊るようになりました。2013年には早くも「War Cry~アイドル気取りで何が悪い!~」という楽曲を作ってパフォーマンスしています。
気まぐれプリンス:
活動していくなかで、「むすめん。」メンバーの間で「ダンスのコピーだけじゃなく、もっとやってみる?」みたいな空気感ができていて。
「オリジナル曲でライブとかもやってみようぜ!」と、いい意味で悪ふざけしてみようっていうノリで、段々とコピー以外にも挑戦するようになっていきました。
白服:
アイドルのカバーも楽しかったけど、自分たちのオリジナリティも出していきたくなったんです。ニコ動で知り合ったhalyosyさんに曲も作っていただいて。
でも、当時のニコ動の踊り手で、オリジナルの曲を作って踊っているグループはほとんどなかったので、手探りでした。それに「ハロプロを利用して有名になったのにオリジナル曲を出した」と思われるんじゃないかって不安もありましたね。
あおい:
それまでアマチュアで活動していたのに、結局お金稼ぎが目的かよ、みたいな。
気まぐれプリンス:
CDを売るということに対して、やっぱり批判的な意見はありました。
自分達は楽しくてやっていたつもりだったんですけど、戸惑った人も多かったんだと思います。僕もニコニコが好きだったからこそ、そういう感覚は分かりました。
──それでもグループとして活動を続けていくことになるわけですが、「踊ってみた」グループから、アイドルグループへと意識が切り替わるようなタイミングってあったんでしょうか?
あおい:
初めての中野サンプラザ単独公演(2015年8月16日)で白服さんが「アイドルを職業にします」って言ったのを覚えていますね。
その言葉をきっかけに、「アイドル気取り」じゃなくてアイドルなんだっていう自覚がついてきたかなと思います。
白服:
僕の中で、当初はアイドル「気取り」なところがあったんです。
でも、活動していくなかでたくさんのファンの方に応援してもらえるようになり、「気取り」ではなく、仕事として責任感を持とうという自覚が芽生えていくようになりました。
気まぐれプリンス:
今までは動画投稿が中心でネットでの応援コメントが多かったけど、ライブやチェキ会などのリアルイベントが増えていって、直接応援をもらう機会が増えた。自分にお金や時間をかけて会いに来てくれる人がこんなにもいるということを実感するようになっていった。
だからアイドル気取りじゃなくて、アイドルとしてその声援に精一杯応えたい ってなりました。
「MeseMoa.」改名に込めた決意表明
──活動の中で大きい変化といえば、グループ名を「むすめん。」から「MeseMoa.」への改名があがると思うのですが、改名に至った経緯について教えていただけないでしょうか。
白服:
2017年にメンバーのぜあらる。が卒業するっていう変化がありました。彼はその後、裏方に回ってくれています。
僕たちは10人で「むすめん。」だったのと、「むすめん。」というハロプロの看板を借りているような名前でいいのかと考えて、愛着もあったけど改名しようっていう結論になりました。一旦「むすめん。」としての物語に区切りをつけようと。
──アイドルのコピーじゃなくて、歌って踊るボーイズグループなんだっていう決意表明も改名に込められていたんですね。
あおい:
「むすめん。」の4文字を、五十音順にそれぞれ1つ進めたのが「MeseMoa.」なんです。「む→め、す→せ、め→も、ん→あ」で、「むすめん。」から一歩進んでより多くのメッセージを届ける、メッセージ・モアで「MeseMoa.」になりました。
気まぐれプリンス:
このころ、僕のなかでもう一つ大きな区切りだなと思える出来事があったんです。僕らが集まるきっかけを作ってくれた「モーニング娘。」の鈴木香音さんの卒業です。
結成のきっかけをくれた、鈴木香音さんの卒業シングルを感謝の気持ちを込めて踊らせていただきました。以後はハロプロ曲だけでなくK-POPやボカロなどのカバーもやりつつ自分たちの楽曲がメインになっていきました。
白服:
区切りと言えば、改名直後の2017年4月に「Secret」というアルバムをリリースしたんです。そこで、メンバー全員がそれぞれ他メンバーとキスをするっていうMVを作りました。
──見ました!かなりきわどい表現に踏み込みましたね。
白服:
やっぱりMVには賛否ありましたし、ファンの方からもいろいろなご意見をいただきました。でも今でも再生数は伸びていて、曲もパフォーマンスも真面目に仕上げたし、自分たちがすごく真剣に作ったもので、このアルバムで「MeseMoa.」が進化したのも確かです。
僕らは全てセルフプロデュースで、コピーダンスならお手本がありますけどそういう正解がない中で会社を作ったりしてやってきて。手探りで活動していく中で時にはリスクを取らなければと実感したのがこの出来事でした。
ツンデレ? 夫婦? メンバー同士の絶妙な距離感
──改名も経験しつつ、個人でアーティストのようなお仕事も増えて、活動11年目に突入……と、インディーズのグループとしてすごいことだと思いますが、改めて「MeseMoa.」らしさってなんだと思いますか?
気まぐれプリンス:
オーディションで集まった子たちじゃないんですよね。最初からアイドルを目指していたわけでなくて、好きなことをやってみたいっていう気持ちで集まって、いつの間にアイドルになって日本武道館に立つことになったっていう。
だからシンデレラストーリーみたいで……なんで僕こんなとこに立ってるんやろって今でもライブ中に思います。
あおい:
メンバーみんなとはずっと仲がよくてこんなに一緒に過ごす時間が長い人って、僕の人生で他にいないです。練習も移動もご飯も一緒だし家も近いし……。
気まぐれプリンス:
あおい君は最年少なんで可愛い弟と思われてるとこも多いよね。不器用なとこが可愛いんですよ。
昔からグループでもエースって言われるし、センターが似合って責任感もしっかりあってパフォーマンスしてくれているんだけど、つい無理をしちゃったり、私生活でも不器用なとこがあって。でもそこが彼のよさなんです。
──「恋愛ハンター」のころから最年少でバキバキに踊っていたのに!?あおいさんに不器用ってイメージが全くなかったので意外でした。
気まぐれプリンス:
アイドルとしてのあおい君自身のイメージをすごく大切にしてるんですね。その裏でイメージを保つためにすごく努力してるし、もっと素直になっても……と思うのに、そのストイックなとこが可愛いんです。まるでツンデレ。
あおい:
ぷんちゃん曰く、彼が現実で出会ったただ1人のツンデレが僕らしいです(笑)。
──あおいさんでもパーフェクトなアイドル像を重荷に感じる時はあったんですね。
気まぐれプリンス:
昔はそういう一面は見せてこなかったんですけど、そろそろ不器用なとこも(ファンに)見せていいのかも。
あおい:
完璧なアイドルと思われるのって嫌じゃないですか? プレッシャーもあるし。パーフェクトであるより、ちょっとくらい隙がないと推す側も推しづらいかもしれませんし。隙を見せることで僕も楽になれています。
──逆に、あおいさんから見た気まぐれプリンスさんって、どんな存在ですか?
あおい:
ぷんちゃんは一番お兄ちゃんっぽいですね。でもやっぱり「寮母」がぴったりかなと。優しくて明るくて寄り添ってくれる、包容力ある感じが寮母かなと。
気まぐれプリンス:
いや寮母って(笑)。他人やん! そこは母とか……。
白服:
そこが絶妙なのよ。距離感は母とはちょっと違う感じ。
みんな仲よしで一緒にいる時間はすごく長いんだけど、10年の間に衝突もあったし、きれいな一面だけじゃなくて人間としての素の面すべてを知った上で、一緒に過ごせていられるっていう間柄です。
みんな仲よしで一緒にいる時間はすごく長いんだけど、10年の間に衝突もあったし、きれいな一面だけじゃなくて人間としての素の面すべてを知ったうえで、一緒に過ごせていられるっていう間柄です。
気まぐれプリンス:
僕的には白服さんが父親みたいに思うな。僕はメンバー間に流れている空気を敏感に感じてしかもそれに気をもんでしまうんだけど、白服さんは同じことを感じ取りながら、もっと落ち着いていていざという時に場を引き締めてくれます。
僕がダンスの指導で忙しくてしんどかった時も白服さんが声をかけてくれて泣いちゃったりと。細かいとこは僕が支えつつ、いざという時のお父さんって感じです。
あおい:
もう自分が母って認めてるやん(笑)。
気まぐれプリンス:
いやー、本当の夫婦とはちょっと違う(笑)。いい意味で役割が分かれてるというか。白服さんと僕で、それぞれ違うアンテナでグループの空気を察知できてるようです。
──YouTubeでもライブやダンスの他に、メンバー同士のぶっちゃけトークとかもよく配信されていて、そういった仲のよさもファンに愛されているようです。
気まぐれプリンス:
メンバーのみんなは根は内気でオタクなんで、初めのころはまだよそよそしかったですよ(笑)。でもいいところも悪いところも観てきて、そのうえで一緒にいられるようになったんですよね。
コロナを乗り越え武道館へ、そしてリーダーの卒業
──10周年を過ぎた今、白服さんがこのタイミングでの卒業を決められた理由は?
白服:
誰でも気持ちの好不調ってあると思うんですが、その波の中で「いつまでこの活動できるかな」っていう気持ちが脳裏に広がってきたんです。
「いつか活動に区切りをつける時が来るだろうね」という話は、何気ないメンバー同士の会話で出てきたことはありましたが、自分の中でこの感情が大きくなってから全員の前でもう一度改めて気持ちを伝えました。そうして昨年の夏に、正式に卒業を発表しました。
気まぐれプリンス:
白服さんの気持ちは他人事ではなくて……男性でも女性でも10年以上アイドルをやっていたら、「いつまでこの仕事を続けられるんだろう?」って考える時があると思います。
だから白服さんから気持ちを聞いたとき、「どうして?」とか「なんで?」とかそういう気持ちにはあんまりならなかったですね。もちろん寂しさはありましたけど。
──白服さんの他にもフォーゲルさんも今年一杯での卒業を表明していますし、武道館公演後に二番煎じさんとにーちゃんさんも活動を休止します。大きな転機になりそうです。
あおい:
グループとしてはメンバーが減るのは痛いですけど、いち友人として白服さんの決断は「いいんじゃない?」って思えます。休止期間を挟みながらも、その時に何か見えてくるかもですね。
「白服さんがいないとMeseMoa.じゃない」って絶対言われると思うので、逆に今までの「MeseMoa.」でできてなかったことを見つけて、逆風も吹くだろうけど盛り上げていかないと。
気まぐれプリンス:
今までと全く同じ「MeseMoa.」でいるつもりもないし、かといってゼロからリスタートでもなく、白服さんからもらったバトンを引き継いでいく感覚です。
──体制は変わっても、背中で見せていける「MeseMoa.らしさ」はあるのかもしれませんね。
気まぐれプリンス:
ニコニコ動画っていう、ちょっとマイナーな空間で集まったただのオタクだった僕らが「好き」をつきつめていったらここまできたんだっていう軌跡を伝えることはできるし、僕自身もアイドルが好きで夢を見てきたので、僕らの軌跡をアイドル仲間やダンスが好きな人たちに夢として伝えることはできるのかな。
あおい:
僕らのいいところって、すごく凸凹してることなんです。パーフェクトな人たちが集まったんじゃなくて、欠点もありながらみんなでそれを補いあってきた。
僕も苦手なことはあるし、ダンスも教えあってきたんです。「パンダドラゴン」っていう「MeseMoa.の弟分オーディション」で結成されたグループが事務所にあるんですが、彼らもすごく僕らのことが好きでアイドルに夢を見てくれていますね。
K-POPのように「歌もダンスもビジュアルも完璧なアイドル」もすごいことだけど、凸凹してる僕らが集まってやってきた。これもオーディションでできたグループではないからこその魅力だと思います。
「ハロプロ」と「踊ってみた」で変わったアイドル人生
──「モーニング娘。恋愛ハンターを踊ってみた」をきっかけに「MeseMoa.」としての活動につながっていったわけですが、「MeseMoa.」ってみなさんにとってどんな存在ですか?
あおい:
(MeseMoa.は)人生ですね。13歳くらいでこの活動を始めたので、「MeseMoa.」で何かが変わったというよりは、気付いたらもう人生が「MeseMoa.」だったというか。グループと共に生きてきたと思うし、それはこれからの日々のモチベーションにもなっています。だから辞めません!
気まぐれプリンス:
代えがたい居場所です。僕はオタクだったし、どちらかというと真面目で、クラスでも目立たなかった方だと思います。友達もあまり多くなかったし……青春らしい青春も経験しなかったと思います。
だけど今こうしてメンバーと一緒にもう一度青春みたいなことができて、本当に楽しいし、何よりこんな自分を受け入れてくれる仲間がいる。
この活動を続けてこなかったらこんなに楽しい思い出はできませんでした。人生って何が起きるのか本当にわからないですね(笑)。
白服:
僕にとってはこの10年は、ドラマだったなと思えます。事実は小説より奇なりで楽しいことも、いろんな葛藤も経験して。でもそんな経験があったからこそ、アイドルって面白いし楽しい日々でした。
──鈴木さんからのメッセージがなかったら、メンバーが集まらなかったら、オリジナルの曲をやってみようと思わなかったら……偶然が重なって続けてこられた踊り手・アイドルとしての日々だったようですね。
白服:
結成からの日々を振り返ったら、無限にエピソードは出てきます。それらひとつひとつが僕にとってはドラマで、大げさにいえば踊ってみたを始める前の僕の人生も、「MeseMoa.」になるために用意されていたドラマなんじゃないかとも思います。本当に夢のあるお仕事でした。
浮き沈みの激しいアイドル業界で、10年間ボーイズアイドルを続けていくだけでも容易ではない。しかし「MeseMoa.」のメンバーたちは、全くの素人からそれをやり遂げ、メジャーアーティストと同じ会場に立つまでになった。
ただアイドルやニコニコ動画が好きな若者が集まったサークルが、好きで続けていたら本当にアイドルになってしまった。奇跡のような物語だが、彼等に芽生えてきたアイドルとしてのプロ意識、そして「楽しいことを続けていたい」というシンプルなモチベーションあればこそだろう。
インタビュー中の3人はいつも笑顔で、ツッコミも飛び交い今でも大学生や高校生のような雰囲気だ。この若さといい意味の素人らしさも彼らの魅力だ。
ちょっとでも彼らの選択が違っていたら、「MeseMoa.」の10年の歴史は無かっただろう。オタクからアイドル、アーティストになった「MeseMoa.」の軌跡は、思いがけなくやってきたチャンスや、偶然を楽しむことも教えてくれている。