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「動くことが支える心不全治療」へ ―急性期からの運動介入に新たなエビデンス―(北里大学)

2025年06月19日14時05分 / 提供:Digital PR Platform

2025年6月、北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科の神谷健太郎教授、順天堂大学大学院医学研究科循環器内科学の末永祐哉准教授らの研究グループは、急性非代償性心不全(ADHF)で入院した患者に対する早期心臓リハビリテーション(CR)の有効性と安全性を検討した多施設ランダム化比較試験(RCT)の結果を、米国心臓病学会誌『JACC: Heart Failure』に発表しました(Kamiya K, et al. J Am Coll Cardiol HF. 2025 Jun, 13 (6) 912–922)。本研究は、ADHF入院中の非フレイル患者に対し、入院早期からCRを導入することが、身体機能や生活の質(QOL)の改善に寄与し得ることを示した、世界でも先駆的な試験です。

本研究(ACTIVE-ADHF)は、北里大学病院、北里大学メディカルセンター、亀田総合病院の3施設で実施され、91名のADHF患者を対象に、入院早期(中央値2日)から運動療法を基盤とするCRを導入した介入群と通常治療群を比較しました。主要評価項目である6分間歩行距離(6MWD)の退院時変化は、介入群で平均75.0m、対照群で44.1mと、両群間に30.9mの有意差が認められました(95%CI: 4.8-57.0, P=0.021)。さらに、副次評価項目として、認知機能やQOL、歩行自己効力感(歩くことに対する自信)、退院後の日常生活や身体活動量なども改善が見られ、臨床的な意義のある効果が確認されました。
心不全入院中の身体機能低下は、その後の生命予後や退院後の生活に大きな影響を及ぼすことが知られています。これまでの多くの研究は退院後約2ヶ月以上経過した慢性心不全患者を対象としたものであり、入院中からの早期CRの意義は明らかではありませんでした。本研究はこの点に焦点を当て、急性期からのCRが退院後の社会参加への橋渡しとして重要な役割を果たす可能性を示しています。

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