2025年08月20日05時40分 / 提供:PR TIMES
― データサイエンティストと臨床医の学際的研究による新しい医療技術評価 ―
順天堂大学健康データサイエンス学部の大津 洋 准教授を中心とする生物統計家・データサイエンティストチームが、血管外科医、循環器内科医らと連携し、下行大動脈より下の血管の壁が解離する(裂ける)「B型大動脈解離*¹」の患者に対して、胸部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)*²と従来から行われている薬のみによる治療法の長期予後を、保険請求データベースを用いて初めて大規模に解明しました。本研究は、従来の医師主導の研究とは異なり、生物統計学を基盤としたデータサイエンスの手法を用いて大規模医療データを解析することで実現した画期的な成果です。従来の薬のみによる治療法において大動脈関連イベント*³が時間とともに持続的に蓄積することが明らかになり、この疾患における継続的な医療管理の重要性が示されました。また、TEVARを受けた人と薬のみによる治療をした患者の間で、B型大動脈解離に伴う合併症や死亡率に大きな差はみられず、血管破裂などの重い合併症も増加していないことが明らかになりました。本研究は、データサイエンティストと臨床医の新しい協働モデルを示し、実臨床データによる医療技術評価の新たなモデルケースとして国際的な注目を集め、進行中の世界的なランダム化臨床試験の重要性を裏付ける成果です。
本論文はBMJ Surgery, Interventions & Health Technologies誌のオンライン版に2025年8月4日付で公開されました。
[ 続きを読む ]