2025年05月14日16時40分 / 提供:PR TIMES
-EGFR遺伝子変異陽性肺がん再発後の治療に新たな光-
慶應義塾大学医学部内科学教室(呼吸器)の安田浩之准教授、篠崎太郎助教(研究当時、現在は東京医療センターに出向)、外科学教室(呼吸器)の浜本純子助教、医化学教室の佐藤俊朗教授らの研究チームは、肺がん患者から臓器のミニチュアである肺がん「オルガノイド」の樹立に成功し、抗がん剤(EGFRチロシンキナーゼ阻害剤:EGFR-TKI)治療後の再発の原因を突き止めるとともに、再発後に有効な可能性のある薬剤を同定しました。
肺がんはがん細胞が持つ遺伝子の異常(遺伝子変異)のタイプに応じて、いくつかのグループに分類されます。その中でEGFR遺伝子変異陽性肺腺がんは、肺がんの2-3割程度を占める最大のグループです。これらに対して、複数のEGFR-TKIが開発され、臨床現場で広く使用されています。ただ、その効果は永遠ではなく、多くの場合1-2年で薬が効かなくなり、再発を認めます。再発後の肺がんに対しては有効な薬剤が限られ、多くの患者が再発後1-2年で死亡に至ります。さらに、EGFR-TKIが効かなくなり再発する原因(耐性化機序)の究明が進められていますが、最も広く使用されるオシメルチニブ(タグリッソ(R))においては、再発症例の約半数で原因がわからない状態が続いています。このため、耐性化機序の解明と、その後の治療法開発が大きな課題となっています。
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