三谷幸喜の書く人間は、どの役もつい愛着が湧いてしまう。それは、人間の持っているせせこましさや情けなさ、強情で、見栄っ張りで、不器用なところを、三谷幸喜ならではの視点で愛嬌たっぷりに描き出すからだろう。
9月13日(金) 公開の映画『スオミの話をしよう』にも、そんな愛すべきキャラクターがたくさん登場する。中でもチャーミングなのが、行方不明となったヒロイン・スオミをめぐる5人の男たちだ。スオミの安否そっちのけで、誰がいちばんスオミに愛されていたかマウント合戦する男たちは、揃いも揃って小物ばかり。でも、不思議と憎めない。むしろ知れば知るほどいとおしくなってくる。