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「あなたの会社でのポジションは?」 エルアル・イスラエル航空の尋問は実際どうなのか?【橋賀秀紀のフカボリ!】

2024年07月26日14時05分 / 提供:TRAICY(トライシー)

エルアル・イスラエル航空は、飛行機ファンには、何かと語られることが多いエアラインだ。 いわく「世界で唯一、携帯式ミサイルから防御するための赤外線ミサイル妨害装置が搭載されているエアラインである」(正確にいうとイスラエルのほかの民間航空会社にも採用されている) いわく、「搭乗時のセキュリティが爆破テロ対策のために異常に厳しく、別室送りになってパンツ一丁になった」。 前者は「ああそうですか」、という話だが、後者は旅行者にとっては由々しき問題である。だが、あまりの低価格についつい手が出てしまったのだ。 エルアル・イスラエル航空が成田へ就航したのが2023年3月のこと。そして7月ごろ、ネットの一部で、エルアル・イスラエル航空がヨーロッパまで異常に安い航空券を売っていることが話題になり、ついつい価格につられて筆者も購入してしまった。それが2024年5月に搭乗した、成田→テルアビブ→ウィーン、ブカレスト→テルアビブ→成田だった。これで総額50,710円、旅行会社のサプライスで購入した。 日本からヨーロッパまでは安くても往復10万円弱ということを考えると、超格安ともいえる金額だった。 ところが、2023年10月にハマスがイスラエルに大規模なテロ行為を行い、イスラエル軍がガザ地区に報復攻撃を実施。これにともない、エルアル・イスラエル航空は成田線を運休としてしまった。どうなることか…と念じていた(飛ばなければ飛ばないでいいやとも思っていたが)ところ、2024年3月から運航を再開し、無事行けることになったのだ。 そして5月某日、成田空港の1タミに向かうことになった。通常筆者は空港に出発の1時間半から1時間強までに到着することが多い。空港で時間を使うことがあまり好きでないないからだ。朝なら睡眠時間を削ることにもなる。 だが、エルアル・イスラエル航空は出発の3時間前までの到着を推奨している。ということで、ほぼ3時間前にチェックインカウンターを訪れた。 すると、カウンターの前には20人ほどが並んでいる。その先には数個のブースがあり、そこで尋問が行われているようだ。だが、周りとみると、ほとんどの搭乗者がイスラエル人のように見え、彼らへのセキュリティチェックにはそれほど時間がかかっていないように見えた。そして、5分ほどもすると、東南アジア系の男性が英語で声をかけてきて、尋問が始まることになった。 万国共通だが、こうした尋問で絶対にやってはいけないのはウソをつくこと。あるいは発言に矛盾を生じさせることだ。また、終始にこやかで友好的な雰囲気を醸し出すことも重要といえる。さいわい、この東南アジア系の男性は威圧的でなく、きわめて紳士的でもあった。 質問は型どおりの内容から始まった。「この荷物はどこでパッキングしましたか」「だれかパッキングしましたか」。このあたりは特に何も感じなかった。こうした質問はユナイテッド航空などで散々受けてきたことがあったので慣れているというのもある。 だが、そこからが違った。 「どんな仕事をしていますか」 「何をやっている会社ですか」 「その会社でのあなたのポジションは何ですか」 それがエルアル・イスラエル航空を利用することとどう繋がるのかわからないが、とにかく言っていることが本当かどうかを確認している気配を感じる。もちろんウソをつかずに正直に答えていれば問題ないだろう。もちろん家族構成も尋ねられ、何ならペットの名前まで聞かれそうな勢いである。 途中から質問は今回の旅行のことに移った。 「ウィーンからブカレストまではどのように移動するのですか」 「ホテルは予約していますか」 このあたりはまだ分かる。だが、次の質問に本気度を感じざるをえなかった。 「ブダペストからブカレストまでは夜行列車で行くと言ったが所要時間は何時間かかりますか」 きちんと調べていないとすぐには答えられない質問だ。 一通り旅程を答えると次は過去に行った国の質問となった。あいにくパスポートには、イスラム圏のスタンプがそれなりにある。マレーシア、インドネシアあたりはともかく、パキスタンやトルクメニスタンといった国もあるからなおさらだ。 これに対しては、「チリもペルーも、フィジーもウガンダも行っているでしょ。別にイスラム圏を選んで行っているわけではないです。」と返答するしかない。実際問題、僕がテロリストなら、そんなに悠長にあちこち行っているわけもないだろう。相手の疑問に対して丁寧に反論することは重要である。 場合によっては、旅先の写真を見せるという方法もある。例えば、写真を洗いざらい見せることで、相手を安心させることもできる。ただ、自分では大丈夫だと思っていたことが相手には引っかかるという可能性も否定できないので、塩梅は難しいかもしれない。 結局尋問には20分ほどかかった。途中東南アジア系の男性は一度抜けて上司らしき人に報告していたので、それによって質問の内容を変えているのかもしれない。また、周囲をみても長い時間をかけられているのは、日本人など明らかに外国人とみえる人が中心で、イスラエル人に対してはかなりあっさりしたものに見えた(そうしないとチェックインがすすまないという実務上の問題もあるのだろうが)。 尋問が終わると、緑色のシールをパスポートに貼られて終了となった。このほかにも黄色や赤色のシールもあり、それによって搭乗前の検査の有無が分かれるらしい。実際にゲート前に行ってみたところ、屋根のある小さなブースが設置され、そこで名前を呼ばれた人がさらに厳重なチェックを受ける仕組みとなっている。冒頭で書いたパンツ一丁にされた人はここで脱がされたということなのだろう。緑色だと大丈夫で赤色だとダメというイメージになるが、過去の搭乗者の経験談を総合してもよくわからず、筆者自身復路はピンク色だが、特に厳しいチェックは受けなかった。 さて、一旦搭乗してしまえば、機体はボーイング787-9型機で、通常のエアラインと大きく変わるところはない。強いて特徴をいえば、機内でのアルコールにビールがなく、ワインも白はなく赤ワインだったことだろうか。 機内のエンタメは、日本語吹替の映画が数多く充実していた。 これだけ厳しいのだから、その後も大変なのだろうかと思っていたが、杞憂だった。行きはテルアビブのベングリオン国際空港でトランジットとなるのだが、トランジットカウンターを越えた後は、セキュリティチェックが一切なく、むしろ通常の空港よりも緩やかだった。 復路のブカレスト空港ではもっと驚いた。モルドバのキシナウからの国際バスが大幅に遅延し、ブカレストの空港に到着したのが、出発の90分前だった。セキュリティチェックは、それで時間切れになるとしても構わず丁寧にやると聞いていたので戦々恐々として空港に行ったのだが、待ち時間はゼロ、セキュリティの質問もどこでパッキングしたのか、などわずか数問の質問にとどまり、あとは別室に荷物を持っていかれそこで5分ほどかけて丁寧に調べられた。 テロリストであれば、何か荷物に持ち込んでいるはずであり、その荷物さえ安全と判断すればいいというのが、ブカレストのローカルの判断なのかどうかはよく分からないが、ともかく大した尋問もなく終了してしまった。もちろんこれは運がよかっただけであり、3時間前に行ったほうが間違いない。

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