2023年06月13日17時49分 / 提供:TRAICY(トライシー)
成田空港に6月12日、ボーイングが運航する787-10型機の試験用飛行機「エコデモンストレーター・エクスプローラー」(機体記号:N8290V)が飛来した。国土交通省航空局(JCAB)などが取り組む次世代航空交通システムに関する試験飛行の一環で、日本に降り立つのは初めてだ。 ボーイングは2010年、燃費改善や二酸化炭素(CO2)排出・騒音削減などに関する新たな航空技術を民間機でテストする「エコデモンストレーター・プログラム」を発表。2012年にアメリカン航空の737-800型機で初めての試験飛行を行った。その後、TUI航空の757型機、アラスカ航空の737-9型機などを使用し、2022年からは自社保有の777-200ER(機体記号:N861BC)を導入している。 ▲成田空港に到着し、ウォーターサルートで迎えられる「エコデモンストレーター・エクスプローラー」 成田空港に今般やってきた787-10型機は、このプログラムの最新機。日本をはじめ米国、シンガポール、タイの4か国の航空当局が共同で取り組む次世代航空交通システム「MR TBO」の試験飛行ツアーの最初の行程として、米国・シアトル近郊のエバレットを現地時間6月11日午前9時頃に出発。成田空港には12日午前11時頃に到着した。 機体は先端から尾翼まで白一色で、機首部分に「ecoDemonstrator EXPLORER」の文字とボーイングのロゴなどが入る。 実はこのN8290V、新造時はベトナム航空の塗装を纏っており、ベトナム国籍の機体記号も付与されていたことがある。何らかの理由で同社に納入されずボーイングに残り、試験用飛行機として白羽の矢が立ったというわけだ。そのような経緯で、客室内でもベトナム航空向けに造られた設備がそのまま使われている。 客室は2クラス仕様で、前方はヘリンボーンタイプのフルフラットシートが「1-2-1」配列で24席。その後ろにはエコノミークラスシートが「3-3-3」配列を基本に343席並び、機内エンターテインメントシステムも付いている。試験用飛行機と言うからには、計測機器などが所狭しと並んでいるかと思いきや、コンパクトなケースに収められた機器類が一部の座席に置かれているのみ。意外にも、通常の旅客機と変わらない内装だ。 成田空港では関係者向けの内覧会が行われた後、6月13日午後1時すぎに出発してシンガポールに向かった。試験飛行ツアーは全6日間の行程で、シンガポールのあとはバンコクを経由して米国に戻る計画。飛行中は、経路調整によって燃費向上や二酸化炭素(CO2)排出削減をめざすオペレーションの実証試験を行うという。(以下、写真22枚) 成田空港到着シーン ▲6月12日午前11時前にA滑走路に着陸 ▲ウォーターサルートで歓迎を受ける ▲整備地区の802番スポットに到着 機体外観 ▲機首部分 ▲窓上にエコデモンストレーター・エクスプローラーの、窓下にボーイングのロゴが大きく入る ▲エンジンはゼネラル・エレクトリック製のGEnx-1Bを搭載 ▲垂直尾翼は白一色 機内 ▲コックピットを紹介するボーイングのパイロット ▲客室前方にはヘリンボーン配列のフルフラットシートが24席 ▲注意書きにはベトナム語も ▲後方はエコノミークラスシートが343席 ▲一部の座席には試験に使うと見られる機器類が置かれている ▲ジャムコ製のギャレー ▲什器類にはベトナム航空のロゴが