2024年01月25日21時30分 / 提供:新刊JPニュース
地名には、梅と桜などの花や虫の類、包丁やノコギリといった道具など、モノの名前を冠したり、内陸に実は多い「海」がつく地名などの意外な名付けられ方をしているものがある。不思議な地名はどのような経緯でつけられたのか。
■内陸なのに「海」に由来する地名がある理由
『地名散歩 地図に隠された歴史をたどる』(今尾恵介著、KADOKAWA刊)では、日本地図センター客員研究員、日本地図学会「地図と地名」専門部会主査などを務める地図研究家の今尾恵介氏が、全国の不思議な地名を取りあげ、土地や日本語の由来を紹介する。
内陸にある「海」地名で、「渚」という駅が国内に2か所、いずれも海に面していない長野県と岐阜県に存在する。一つはアルピコ交通上高地線の駅で、松本駅から二つ目の住宅地の中。『角川日本地名大辞典』によると、地名の由来は、「地内を奈良井川、穴田川、大門沢川、女鳥羽川などが流れ、絶えず水がただよう場所であったことによる」という。現在では渚の字から連想するのは海辺の波打ち際かもしれないが、本来の字義は海に限ったものではなく、水のある所なら川であっても渚になるので、山の中に渚の地名があっても不思議ではないのだそう。