2024年01月18日18時00分 / 提供:新刊JPニュース
テレビ番組や雑誌、ネット記事など、「格付け」や「ランキング」を題材にしたものは多く、現代の人々の関心も高い。これは江戸時代も同じで、大名や武士の身分には格付けがあり、一方で庶民はこの格付けを遊びとして楽しんでいた。江戸時代の人々も相撲の番付のように、料亭や遊女、朝晩のおかず、神社仏閣や温泉など、あらゆるものをランキングしていたのだ。
■格付けが大好きだった江戸の人々
『江戸の格付事情』(安藤優一郎監、エムディエヌコーポレーション刊)では、200年余の平和が続いた徳川の世に存在したさまざまな序列や制度、将軍・大名・侍から町人・遊女まで、江戸を生きる人々を支えたシステム「格付」の基礎知識と格付けをテーマに江戸の社会を読み解くことで、格差社会の表と裏を紹介する。
江戸時代には「見立番付」と呼ばれる刷り物が流行した。そもそも番付とは、力士の順位を1枚の紙で表した物。この番付にさまざまなテーマを当てはめるという遊びが見立番付だ。文化・文政年間(1804~30年)になると、江戸で見立番付が爆発的なブームとなった。これは出版事業が盛んになり、1枚仕立ててお手軽だったことがある。そして、江戸のほか、もともと出版物が大量発行されていた京都や大坂、名古屋や金沢といった地域で見立番付は話題になっていった。