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東京から逃げ出した日本の文豪とは

2022年09月26日19時30分 / 提供:新刊JPニュース

日本の近代文学の文豪たちが集った文学の場である東京。生活の場として、また作品に描いた東京を通して、夏目漱石、志賀直哉、宮沢賢治、松本清張ら、32人の文豪たちを辿っていくのが『文豪 東京文学案内』(田村景子編著、田部知季、小堀洋平、吉野泰平著、笠間書院刊)だ。
■志賀直哉、夏目漱石…文豪たちにとっての「東京」
本書では日本の近代文学が立ち上がった明治期から戦後にかけての「東京」に着目し、明治、大正、昭和と、時代とともに激しい変化を遂げていく東京と、その影響を受けながら名作を生みだしてきた文豪たちの姿を綴る。

代表作に『城の崎にて』『和解』『暗夜行路』などがある志賀直哉は、たびたび居を移し、東京脱出を繰り返した作家だった。父への反発から東京を離れ、怪我の療養に温暖な場所を求める。作品執筆のために転地し、広島県尾道、兵庫県城崎、島根県松江、群馬県赤城大洞、千葉県我孫子、京都、奈良、熱海など、その行動範囲は広い。同時に東京の裕福な家庭に養われ、山の手の麻布に育ち、学習院初等科、中等科、高等科と進み、そこで武者小路実篤、有島生馬、里見弴ら生涯の友を得る。学習院出身で結成された文学グループ「白樺」派の中核であり続けたという意味で、東京文壇の中心人物として活躍した文豪といえる。志賀直哉は、生粋の東京の作家だったのだ。

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