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【残念な時刻表】止まりすぎて普通列車に追いつかれまくる残念な快速を時刻表ソムリエが解説!

2025年09月09日18時30分 / 提供:ニコニコニュース

「快速」と聞けば、当然ながら普通列車を追い抜いて目的地に早く着くものを想像するだろう。しかし、世の中にはその名に反して、後から来た普通列車に追いつかれてしまう快速になっている、なんとも「残念な時刻表」が存在する。

そんな変な快速にとどまらず、徒歩に負ける列車や1駅しか移動しない電車など、「残念な時刻表」は数多く存在する。

時刻表を眺め、このような「残念な」状態にある時刻表を探し出し、「なぜこのような時刻表<ダイヤ>になったのか」を想像することを楽しむ、自称・変な列車・残念な時刻表ソムリエの渡辺雅史が、「残念な時刻表」の世界を繰り広げる連載をニコニコニュースでもお届け!

文/渡辺雅史
編集/宇於崎凌

自称・変な列車・残念な時刻表ソムリエ
ニコニコニュースオリジナルをご覧のみなさま、はじめまして。渡辺雅史と申します。
Web媒体や紙媒体での記事執筆のほか、テレビやラジオの番組構成スタッフ、シェアハウスの管理人、UberEatsの自転車配達員など、さまざまな仕事をして収入を得ている、世間的にはよくわからない職業の私ですが、趣味は鉄道に乗ることです。
まだJRが国鉄だった小学生の頃から時刻表を購入して鉄道旅を繰り返し、大学生の頃にはJR線全線に乗車。30歳になる前に全国の鉄道路線に乗車してしまいました。
『最後の国鉄直流特急型電車』JTBパブリッシング
当時からの習慣で今でも毎月時刻表を購入しています。そして、時刻表で変わったルートを通る列車や、残念な感じで運用をされる列車を探すのが趣味です。
本稿は、自称・変な列車・残念な時刻表ソムリエである私が、時刻表で見つけた残念な列車・時刻表をご紹介する連載企画です。鉄道ファンの中の一部である時刻表ファン、その中のさらにこじらせたタイプであろう残念な列車・時刻表を見つけるファンという、狭すぎる層をターゲットとしたニッチ過ぎるものなので、連載企画といっても何回続くかわかりません。しかし、このような度が過ぎたマニアックな趣味についてあれこれ書かせていただく機会をいただけるのは大変ありがたいことなので、なるべく長く続けられるよう、鉄道や時刻表のことに取り立てて情念はない、交通機関としてのみの関わりしかない方でも楽しめる感じで書いていこうと思います。
今回紹介する「残念な時刻表」
今回紹介するのは、東海道本線の国府津(こうづ・神奈川)を19時17分に出発。湘南新宿ライン、高崎線などを経由して前橋(群馬)までゆく快速列車です。

土曜・休日限定で運転されるこの列車は、神奈川県小田原市にある国府津を出て横浜、渋谷、新宿、池袋、大宮、熊谷、高崎などを通って群馬県前橋市の前橋に23時06分に到着します。使われている車両は他の湘南新宿ラインと同じ列車で、4号車、5号車の2両がグリーン車となっています。途中の湘南新宿ライン(大船〜新宿〜大宮)の区間にある東戸塚、保土ヶ谷、新川崎、西大井の4駅を通過するため「快速」として運転されています。
残念ポイント①:後続の普通列車に追いつかれる
この快速列車の残念さが味わえるのは、国府津を出発して2時間30分後、熊谷(埼玉)を出発してから。熊谷の次に停車するのは籠原(埼玉)で到着時刻は21時53分。この駅で快速は6分間停車します。籠原は車庫のある駅で、都心から15両編成で走ってきた列車の多くはここで5両を切り離し、10両編成の列車として高崎方面へ向かいます。おそらくこの列車もそんな切り離しの作業を行うために停車すると思われます。
そんな切り離し作業を行なっている途中、この列車は後からやってくる「普通列車」に追いつかれます。それは、21時57分に籠原に到着する普通列車。この列車は小田原を19時15分、国府津を残念な快速列車の6分後、19時23分に出発します。
埼玉県熊谷市新堀にある籠原駅
籠原で6分停車している間に、国府津を6分後に出発する列車に追いつかれる。文面で見ると「そりゃそうだ」と思われる現象。ですが先を行くのは快速で、国府津を出発後途中28の駅に停車して籠原へ。一方、後をゆく普通は国府津を出発後途中29の駅に停車して籠原へ向かっています。停車する駅が少ない(とはいえ1駅ですが)快速がなぜ後続の普通との差を広げられないのか。おそらくそれは先行する列車が通る湘南新宿ラインの方が後続の列車が通る上野東京ラインより5kmほど距離が長いためと思われます。むしろ快速だったからこそ5km長い距離を走っても差を詰めさせなかったとも言えるでしょう。

残念ポイント②:終点目前で21分停車!さらなる残念
普通列車に追いつかれた残念な快速列車は21時59分に籠原を出発。22時31分に高崎に到着します。ここから高崎問屋町、井野、新前橋と途中3駅に停車して終点の前橋へ向かう……のですが、ここでなぜか長時間の停車をします。終点の前橋まであと4駅というところで、高崎に21分も停車するのです。

この21分の間に残念なことが2つ起こります。
群馬県高崎市八島町にある高崎駅
1つ目は、高崎到着直後に桐生行の普通列車に先を行かれてしまうこと。到着してから2分後に普通列車の桐生行が出発します。この桐生行の列車は、高崎問屋町、井野、新前橋、前橋と各駅に停車しつつ桐生へ向かいます。桐生行の普通列車の前橋到着は22時47分で、残念な前橋行快速列車の到着時刻は23時06分。桐生行きの普通列車に乗り継げば残念な快速列車より19分も早く前橋に行くことができます。

そして2つ目は、またもや出発駅を後から出発した普通列車に追いつかれていることです。高崎に到着してから20分後の22時51分、後からやってくる上野東京ラインの普通列車に追いつかれてしまいます。追いつく普通列車はJR伊東線の伊東を18時44分に出発。熱海から東海道線に入り、小田原などを通り、都心部は上野東京ラインを経由。22時51分、高崎に到着します。この普通列車の国府津出発時刻は19時41分。

つまり、残念な快速列車は出発駅を自身の24分も後に出発した普通列車に追いつかれてしまうのです。東京方面からの新幹線の接続や、前橋〜桐生の間の列車の運転間隔を考慮してこういった運行時刻にしていると思うのですが、この列車がいろんなしわ寄せを受けているようで残念を通り越して不憫な気もしてきます。
「残念快速」の生き残り
自身の出発駅を後から出発する普通列車に2本も追いつかれてしまう快速列車。快速には特別快速や通勤快速といった特別な名前がつけられることがありますが、この快速は「残念快速」という名称をつけてもいいのではと感じるほどの残念ぶりです。

普通列車、快速列車は、ダイヤ改正のたびに列車の運転区間が短くなったり、運転時刻の画一化が行われる傾向にあります。故に、残念な鉄道時刻表も減ってきているのです。しかし、こういった3本の普通に追いつかれたり先に行かれたりする残念な快速が残っているのを見つけると、思わず顔がにやけてしまいます。

 

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