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井上尚弥がスーパーバンタム級初戦で、いきなり王者フルトンに挑戦! 年内に2階級「4団体世界王座統一」の可能性は?

2023年03月07日07時30分 / 提供:マイナビニュース

昨年12月にプロボクシングのバンタム級4団体世界王座を統一した井上尚弥(大橋)は、年明けにスーパーバンタムへの階級アップを正式に表明。そして先日、転級初戦の日時と場所、対戦相手が決定した。

5月7日、横浜アリーナでWBC、WBO両世界スーパーバンタム級王者スティーブン・フルトン(米国)と対戦する運びとなったのだ。いきなりの2団体世界王座挑戦の行方はいかに? 年内に2階級「4団体世界王座統一」の可能性はあるのか?
○■21戦全勝の王者フルトン

「スーパーバンタム級で闘えるカラダは、すでにつくれているし準備もしてきた。だから今回も『強い選手とやりたい』というのが自分の希望だった。チャンピオンと闘えることは嬉しい。(もう1階級上の)フェザー級ならテストマッチも必要かもしれないが、この階級では必要ない」

「(フルトンは)自分よりも身長とリーチがある。ジャブを突いて距離をとって判定で勝とうとするタイプ。そういう選手ほど倒すのは難しい。判定までもつれ込むイメージも持って準備している。チャンスがあれば倒しにいくが、それ以外ではしっかりポイントを重ねていくことも重要。勝ちに徹する試合をしたい」

3月6日午後、東京・六本木で開かれた記者会見で井上尚弥は、そう話した。
いきなり巡ってきた2団体世界王者と拳を交えるチャンス。気持ちが高揚しないはずがない。モンスターは瞳を輝かせ、口調も力強かった。

まずは、対戦相手のスティーブン・フルトンに触れよう。
ペンシルバニア州フィラデルフィア出身の28歳、井上より1つ歳下。アマチュア戦績90戦75勝15敗、プロ戦績21戦全勝(8KO)を誇るオーソドックス(右構え)のボクサーファイターで長く伸ばした顎髭がトレードマークの黒人選手だ。
一昨年1月にアンジェロ・レオ(米国)を破りWBO王座を奪取、同年11月にはブランドン・フィゲロア(米国)も下しWBC王座も獲得した。昨年6月にはダニエル・ローマン(米国)にも勝利し両王座防衛を果たしている。いずれも判定決着だった。
これまでの試合を観る限り、試合巧者ではあるが強打者ではない。スピードはあるが後半に失速する傾向にある。それでもクリンチ等の捌きは上手い、またメンタルが強く劣勢をしいられても粘りを持って闘うことができるタイプだ。

○■12月か来春に好機が

フルトンよりも優っている点は何だと思うか?
会見で、メディアからそう問われ井上が答える。
「パワーでは負けていない。スピードに関しても一瞬の速さでは自分が上だと思っている。ゲームプラン、戦術面は闘ってみないとわからない」
自信に満ちた口調で、すでにフルトン攻略法を得ているようにも感じられた。
私も両者の実力を比較すれば、井上が上位と感じる。フルトンが打ち合いを避け、アウトボクシングに徹しようとしても、モンスターは試合後半に突破口を見出すだろう。

ただ一つ脅威なのは、フルトンの耐久力が未知なこと。これは単に打たれ強いという意味だけではない。相手の強打を喰らってもダメージを最小限にとどめる術を彼は身につけているように思えるのだ。その脅威を井上も理解しているのだろう。だからこそ「判定になる闘いもイメージしている」と口にした。
フルトンは言う。
「お互いにゲームプランを持って、試合ではそれを遂行しようとする。パワーではイノウエが上だが、私は賢い。勝者となってリングを下りるのは私だ」
井上が「8-2」で優位と見るが、不気味さもある。

さて、井上がフルトンに勝利すれば日本人2人目、井岡一翔(志成)に続く「4階級制覇王者」となるが、その先には、史上初の2階級「4団体世界王座統一」の快挙も見えてくる。
現在、スーパーバンタム級でWBAとIBFのベルトを保持しているのは、ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)。
彼は4月8日(現地時間)に米国サンアントニオで、IBF同級1位のマーロン・タパレス(フィリピン)と4度目の防衛戦を行う。これはIBFの指名試合で、タパレスを退ければ次は夏か秋にWBAから指名試合を義務付けられることになろう。

それでも、アフマダリエフは次のように話している。
「私は、この階級で全団体の王座を統一したいと考えている。フルトンとイノウエの勝者と闘うことに異存はない。誰が最強なのかをハッキリさせようじゃないか」

井上がフルトンに勝利すれば、2階級「4団体王座統一」のチャンスは意外と早く訪れるかもしれない。12月、もしくは来春にスーパーファイト実現の可能性も十分にある。
モンスターは、どこまで輝けるのか─。
まずはゴールデンウィーク最終日の横浜で、無敗同士のスリリングな闘いをしかと見届けたい。

文/近藤隆夫

近藤隆夫 こんどうたかお 1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等でコメンテイターとしても活躍中。『プロレスが死んだ日。~ヒクソン・グレイシーvs.高田延彦20年目の真実~』(集英社インターナショナル)『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文藝春秋)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『柔道の父、体育の父 嘉納治五郎』(ともに汐文社)ほか著書多数。
『伝説のオリンピックランナー〝いだてん〟金栗四三』(汐文社)
『プロレスが死んだ日 ヒクソン・グレイシーVS髙田延彦 20年目の真実』(集英社インターナショナル) この著者の記事一覧はこちら

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