2023年03月05日19時48分 / 提供:マイナビニュース
●桃月なしこの一つの代名詞ができた
『魔進戦隊キラメイジャー』に登場した悪の幹部、ヨドンナ(演:桃月なしこ)が主役のスピンオフ作品「ヨドンナ」シリーズ第3弾『ヨドンナ3 ヨドンナのバレンタイン』が、東映特撮ファンクラブ(TTFC)で3月5日22時より配信スタートする。
新フォーム「ヨドンナ・バースト」も話題となっている本作。昨年10月某日にインタビューを行うと、東映の望月卓プロデューサーが作品の内容を桃月に伝える貴重な瞬間に立ち会うことができた。
――いままさに望月Pから作品の説明があったようですが、新作ではなんと新しい衣裳もあるそうですね。
新しい衣裳は動きやすくなるみたいなので喜んだのですが、望月さんから「もう衣裳を理由にNG出せなくなるね」って言われちゃいました(笑)。本編から着ているこの衣裳は、愛着はあるけど重いんですよ。特に肩に乗るカラス、タロウとジョニーが重い……。
――名前が付いていたんですね。
そうなんです。勝手に呼んでいたら公式になっていました。新衣裳は"イニシエの悪の幹部感"が出ていますよね。
――『ヨドンナ2』のラストでなんとなく続きを予感させる終わり方でしたが、その時はまだ決まっていなかったのでしょうか。
『ヨドンナ』『ヨドンナ2』は同時に撮っていたんです。あのラストも、続きが撮れたらいいねくらいで、決まっていたわけではまったくありませんでした。続編の話も本当に最近聞いたくらいなんです。ふとスケジュールを見たら「ヨドンナ」って書いてあって。でも仮押さえだとしたら、なくなったらショックなので深く確認せずにいたんです。それから少しして、マネージャーさんから「ヨドンナ決まったよ」って。
――あらためて、ヨドンナを演じて反響をどのように感じていらっしゃいましたか?
本編放送の時からすごい反響をいただきました。毎週放送されるとTwitterでは「ヨドンナ様」がトレンドに入っていて驚いたんです。ほかの現場へお仕事に行った時も、「ヨドンナ様」って言ってくださる方が多くて、桃月なしこの一つの代名詞ができたんじゃないかなと感じるくらい大切な役です。
――スピンオフである『ヨドンナ』シリーズは、本編とは異なるちょっとダーティなアクションも見どころでした。卑怯だけど下品にならないバランスが、ヨドンナというキャラの魅力だなと思いました。
アクション撮影はすごく大変だったんですよ。本編は全部自分でやっていて、Vシネクスト『魔進戦隊キラメイジャーVSリュウソウジャー』(2021年)と『ヨドンナ』は若干吹き替えは入っているのですが、『ヨドンナ』以外は全部ムチを使ったアクションでした。『ヨドンナ』で初めて素手のアクションをやらせていただくことになり、クランクイン前にアクション練習があるというのを初めて経験しました。最初は3日の予定だったんですけれど、あまりにも私が下手すぎて4日目を追加していただくという……。練習期間を設けての撮影でしたし、現場に入ってからは周りのサポートもあってスムーズに動けるようになっていました。
『ヨドンナ』は女の子が活躍するアクションであったり、かわいらしいメイドの衣裳だったり、ファンの方からは坂本浩一監督の趣味全開だねと言われることもあるんですけど、実はこれ、私の意見をけっこう反映していただいているんです。
『魔進戦隊キラメイジャーVSリュウソウジャー』の撮影の時に、塚田英明プロデューサーから、ヨドンナとしてやり残したことはないか聞かれたんです。それで、強いて言うならというところで、アクションをもうちょっとやりたかったというところと、フリフリのかわいいゴスロリみたいな衣裳を着たいですなんて言っていたんです。坂本監督の名誉のためにいうと、監督の趣味ではなくて、私の趣味をあくまで形にしてくださっただけなんです!というところを強調しておきたいです(笑)。
――塚田Pにインタビューをした際に、キラメイジャーのメンバーは役を演じていったことで、役が移ってご自身たちも途中からキラキラ明るくなっていったことが印象的だったとおっしゃっていました。ヨドンナ様を演じられて桃月さんはどんな変化がありましたか?
演じることで、心がどんどんよどんでいった……とかはもちろんないですよ(笑)。私は25話からの登場だったんですけれど、Vシネやスピンオフもあり、なんだかんだで1年以上ヨドンナを演じさせていただいているんです。一つの役にこんなに長い期間向き合えることは今までになくて、私自身レギュラードラマも初めてだったというのもあったので、すごくいい機会を与えていただいたなと思っています。
実は、『キラメイジャー』に出演するより前に、殺陣のある舞台をやることがあったんです。その時はアクションが初めてというのもあり、なかなかうまくいかず、少しトラウマになってしまっていたんです。
そんな思いで迎えたヨドンナの初登場シーンは、為朝くん(射水為朝/キラメイイエロー 演:木原瑠生)を蹴り飛ばす、アクションからでした。それも、単に蹴るだけではなくて、何手かついた演技でした。でもその時につけてもらったアクションが楽しくて、いま思い返すとトラウマが払しょくできたんです。楽しくなった結果として、もっとアクションがやりたいですと提案して本編でもアクションが増えることになりました。
●アクションの手応え
――それは、今までの作品とどんなところが違っていて克服できたのでしょう。
やっぱり、アクション部の方たちのプロとしてのレベルの高さが大きいと思います。受けの演技がものすごく上手なんですよね。それに撮影の技術もレベルが高いので、自分がうまく見せてもらえてしまうんです。それで、「もしかしたら私、できるかも」という自信を持つことができました。舞台だと自分の実力がそのまま見えてしまうんですけれど、映像はカメラマンさんの腕で上手にできるように見せてくださっていたんです。
――でもそうやって自信をはぐくむ現場というのは、上達していくのにはものすごくいい環境かもしれませんね。
『キラメイジャー』に出会っていなかったら、アクションをやっていなかったと思います。ましてや自分から「やりたい」と提案するようになるなんてとても考えられませんでした。アクションが楽しくなったことで、役者としての幅も広がったと思っています。できないってあきらめるんじゃなくて、とにかくやってみることって大事だなと思いました。
――ヨドンナというキャラクターを作り上げる上で、大きく影響を受けた方を一人挙げるとするなら?
ヨドンナの初登場回を撮っていただいた山口恭平監督でしょうか。初登場回も最終回も山口監督だったんです。山口監督は初めてのホン読みから付き合っていただいていました。キャラクターもそこまでガチガチに決まっていたわけではなかったので、監督からも演じていくなかでみんなで定着させていこうと言っていただいていました。いまのヨドンナを形成していく方向性にもっていってくれたのは、やっぱり山口監督なのかなあと思います。
――そういう定まっていないキャラクターを作っていくところの面白さは感じましたか?
最初のうちはどうしたらいいのかわからず、どうにかキャラを確立させるために考えすぎてしまうこともありました。でも長期間にわたって同じ役を演じるということは、それだけチャンスがあるということなので、いろんな演技の仕方やアクションを試すことができて、みなさんの前に出して、ちょっとずつヨドンナができあがっていきました。普通のドラマだと、撮影現場までに役を固めて、完璧に仕上げてからお見せしなければならないと思うんですけど、『キラメイジャー』では1年をかけて役と向き合うことができ、一体化ではないですけれど少しずつヨドンナに近づいていって、私自身もどんどんヨドンナのことが好きになっていきました。
――キラメイジャーのみなさんとは交流は続いているのでしょうか。
近況報告を兼ねて連絡したり、みんなで会うこともあります。「ヨドンナ」続編が決まったよって報告したら、みんな出たがっていました。つい先日も、工藤美桜ちゃんの誕生日が10月だったので、「誕生日会をさせてください!」とLINEを送ったばかりなんです。新條由芽ちゃんとはファッション誌の撮影で共演して、やっと連絡先を交換できました。女の子会もやりたいねと話しているのですが、みんな忙しいのでなかなかタイミングが合わずに実現できていません。
――やっぱりハードな撮影を1年間にわたって乗り越えると絆も強まるという感じなのでしょうか。
いや~私の場合はちょっと違うかもしれません(笑)。キラメイジャーのみんなはそうだと思うんですけれど、私はあまり撮影時間がかぶっていなかったので一緒にいる時間はあまりなかったんです。ヨドンナは変身後の姿と戦うことが多かったので、スーツアクターさんとのほうが交流は多かったんです。キラメイジャーチームとは撮影期間が終わってから仲良くなった感じです。
――あらためて、『ヨドンナ』新作への意気込みをお聞かせください。
(2022年10月時点では)まだ台本もいただいてなくて、さっきプロデューサーから断片を聞いた以外は何も知らないんです。『ヨドンナ2』までのストーリーでは、ヨドンナは「喜怒哀楽」を学べば現世に復活できるということだったんですけれど、ズルしちゃったので復活できなかったんです。でも、愛情を覚えたら復活できるというルールは『2』のラストで示されたので、おそらく新作でヨドンナは愛を学ぼうとするストーリーになっているんじゃないかなと。
本編25話で登場した時から為朝くんとは何かあるんじゃないかと思わせて、結局1ミリもなびかなかったヨドンナです。果たしてこれからの展開で為朝に落とすことができるのか? そんなところも気になります。正直本当にどういう話になるのかわからないので、ファンのみなさまと同じ気持ちで私も楽しみにしています!
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