2023年03月05日11時00分 / 提供:マイナビニュース
●香取慎吾からの差し入れに感動し、自身も後輩へ
俳優の草なぎ剛が主人公の鷲津亨を演じる、カンテレ・フジテレビ系ドラマ『罠の戦争』(毎週月曜22:00~)。復讐のため強き権力者たちへの罠を仕掛ける鷲津と、杉野遥亮や小野花梨演じる頼もしい秘書たちによる確かな絆は、緊迫感あふれる物語の中でひとときの安らぎを与えている。
そんな関係とリンクするように、後輩役者たちに対して「何か刺激になるものがあればと、出し惜しみしないで接している」と語る草なぎ。愛情たっぷりに「かわいい」と評しながらも、「皆が僕を立ててくれていることは理解している」と謙虚で、ときには香取慎吾から聞いたとっておきの差し入れで労う。今回は、助言を口にせず「感じてもらう」というスタンスで関わる“草なぎ流”先輩論、そして「成功すれば褒められる」と笑いながら話してくれた今作の役作りの裏側、「今は“超”幸福感上がってる!」と話す現在地の“幸せ”について話を聞いた。
○■杉野遥亮は「僕よりずっと真面目。かわいいんです」
今作『罠の戦争』は2015年の『銭の戦争』、2017年の『嘘の戦争』に続くシリーズ第3弾で、6年ぶりの最新作。草なぎが連続ドラマで主演を務めるのも実に6年ぶりだが、その間舞台や映画に多数出演し、2020年の映画『ミッドナイトスワン』では「第44回日本アカデミー賞 最優秀主演男優賞」を受賞するなど、自身でも「舞台や映画の現場で身についたものがある」と胸を張っての堂々たるカムバックとなった。
草なぎ演じる主人公・鷲津亨を支える秘書メンバーには、杉野遥亮、小野花梨、坂口涼太郎と、今をときめく若手俳優たちが名を連ねる。「何か刺激になるものがあれば、拾ってもらえるものがあればと、出し惜しみしないで接しています」と役者の先輩として関わることに前のめりな姿勢を見せながら、「そんな年になったというか、そんな時期になったというか」と自分の立場についてしみじみ。キャリアを重ねたことによる変化は後輩を見る目だけではない。「岸部一徳さんをはじめとする先輩方とお芝居できることを、いま改めて楽しく感じています。6年前には漣さんもいて、漣さんからももちろん感じるものがあったけど、今は先輩方への尊敬の思いがさらに強くなりました」と前2作に出演していた大杉漣さんを懐かしみながら、先輩に感じるものへの変化も明かした。
共演の多かった大杉さんからは「会うたびに何かしら褒めてもらっていた」という草なぎだが、後輩へは敢えて助言を口にせず「感じてもらう」というスタンス。「皆プロだし教えることなんてないんです。お芝居は“感じる”部分が多いので、言葉で表せないような温度感を受け取ってもらえれば」と持論を述べる。杉野とは過去にも共演経験があり、鷲津にとって杉野演じる蛯沢眞人が特別に思い入れのあるキャラクターということも相まって草なぎも杉野が特に気になるよう。「僕よりずっと真面目で、すごく考えるタイプ。不思議な魅力があって面白いしかわいいんです」と評し、「僕も杉野くんくらいの頃はいろいろと考えていたので気持ちが分かる」と寄り添う。もし杉野が何か考えている様子を感じ取っても、あくまで一歩引いて見守り、「そんなときは何も考えず寝たほうがいいよ」と休息を促すのが草なぎ流だ。
○■香取慎吾からの差し入れに感動し、自身も後輩へ
一方の小野は“からかいたくなる存在”だという。商店街で撮影をしている際、ちょうど小野を見つめるような位置にヤギの置物があり、「花梨ちゃんのこと見てるから絶対に買ったほうがいいよ」と冗談交じりに提案すると小野は実際に購入。「もう面白くて(笑)」と草なぎは思い出し笑いが止まらない。「健康法とか、僕の何気ない話をいつもニコニコしながら聞いてくれる。僕は自分の話を笑って聞いてくれる人が好きだから、楽しい時間を過ごさせてもらっています」と感謝を述べた。
以前インタビューした際に小野が語ってくれたのが、草なぎが秘書チームへうなぎの弁当を差し入れしたというエピソード。別の仕事をしていてその場にいなかった坂口のもとへ届けるようマネージャーに依頼していた草なぎの姿に、小野は「『食べられなくて残念だね』が普通の会話だと思うのですが、『持って行ってあげて』だなんて、私は思いつきもしなかった発想だったので、最早常軌を逸する“神”!」と驚きと感動を熱弁してくれた。草なぎに小野の思いを伝えたところ、まずはうなぎの弁当について「差し入れの世界で一番美味しいんじゃないかと思っているほど僕が大好きなお弁当。こんなに素敵なお弁当を差し入れする男はこの世にいないぞというくらい美味しい。だからこそもう、どうしても食べてもらいたくて(笑)」と魅力を語ったあと、「僕もそのお弁当を差し入れしてもらったことがあって……(香取)慎吾ちゃんになんですけど」と打ち明け、照れ笑い。「そのとき、こんなすごいものを差し入れしてもらえるなんてとうれしかったんです。その感動を味わってほしくて」。香取に許可を取りここぞというときの差し入れに使っているうなぎの弁当。しかしその情報を小耳に挟んだ岸辺に「俺うなぎの弁当好きなんだよね」とアピールされてしまい、「岸辺さんは秘書チームじゃないから!(笑)」とツッコむ一幕もあったよう。
秘書メンバーを演じる3人へは「チームになって僕の復讐のために動いてくれているんだと思うと、なんだかかわいくて」と愛情たっぷり。小野が草なぎを“神”と呼んでいたと伝えられても、「子どもっぽいところもあるこんな僕を、皆が立ててくれていることは理解しています」と謙虚に受け止め、差し入れはそんな後輩への「礼儀としてやっている」と説明。「僕も杉野くん、花梨ちゃん、坂口くんから刺激を受けています。現場では大変なこともありますが、皆の力でここまで乗り越えられてきたので最終話もいいものになるんじゃないかな」とチームワークに太鼓判を押す。
●幸福感が“超”上がっていると語る現在地
○■豪華な差し入れでドラマの評判を察知
今作は毎週Twitter世界&日本トレンド入りを果たし、配信されているNetflixのデイリーランキングでも1位を獲得するなど絶好調。その反響は草なぎにも「公式Twitterを覗くと、楽しんでいただいているな、と」と伝わっている様子。近年のドラマはSNSの更新も盛んでキャストの稼働も増えているが「TikTokの配信は6年前にはなかった活動なので、今のドラマはまた楽しくなっている」と新鮮に楽しむ。そのほか反響の大きさを感じる理由に差し入れを挙げ、「高級ハンバーグのお弁当が届いていて『このドラマ、さては評判がいいんだな』と。スイーツが並んでいる日もあって、差し入れが途絶えない現場なんです。そういうときは上手くいっている証拠なんですよ。長くこの世界にいるので、差し入れで分かっちゃいます(笑)」とニッコリ。
これまでメディアでは「台本は自分のところしか読まないタイプ」と役者としてのこだわりを口にしてきたが、今作は「犯人が誰なのか、近い人間も罠を仕掛けてくるのか気になって」とスタンスを覆して脚本を夢中で読み進めた。「前2作もハラハラドキドキしたのですが、今回は罠だけにさらに“ワナワナ”が加わっている。後藤(法子・脚本)さん、シャレも利かせてタイトルをつけたんじゃないかな」と声を弾ませる。鷲津の第一印象は「普通のキャラクター」だった。「派手にやりすぎず自然に演じて、1点の小さなシミがじわじわと広がりを見せるような役になれば」とイメージを膨らませ、「普通のキャラクターが静かに変わっていって、見ている方たちに『鷲津、どうした?』と違和感を覚えさせるのが狙い」と繊細さやリアリティに重きを置いて作り上げた。「シリーズの中で一番普通のキャラクターなのに、一番大きな復讐を成し遂げる男になり得るんじゃないか」とこの先の展開を予想させるコメントもポツリと漏らした。
○■難役への挑戦も「成功すれば褒められる」とニヤリ
そんな鷲津は「親近感があって、今の僕にぴったり」と、いま正に求めていた役どころ。「大河ドラマの徳川慶喜(『青天を衝け』NHK、21年)のような、現実とかけ離れた役もやったからこそ、今リアルな役をやりたかった。難しいけどやり甲斐があります」と喜ぶ裏で、「演じている僕まで大人っぽく見える気がするんです。それにこんな役をちゃんと演じられたらまた僕が褒めてもらえるじゃないですか? だから“しめしめ”と(笑)」とニヤリ。願っていたタイミングでの巡り合わせに「役は人生に寄り添ってくれている」と草なぎは目を細める。鷲津を生み出した後藤氏に「言葉を交わさずとも今の僕に寄り添って考えてくれたのかなと思えて、すごくうれしい」と不思議な意思の疎通を感じながらも、「どこか“役”は神様にもらっている気持ちがあるんです。いつも僕の人生に沿った役をいただけて、幸せなことです」と運命に感謝。次に出会いたいのは「すごく悪い役」。「今演じている鷲津も、政治の世界に揉まれて“悪い”一面を見せていますが、やっぱり悪い役は面白い。今またそんな役に挑戦できたら楽しそう」と目を輝かせる。
○■幸福感が“超”上がっていると語る現在地
1月20日に配信されたYou Tubeの動画では、現在地を「幸福感が上がっている」「すごく幸せ」と語っていた草なぎ。その理由を聞くと、HIITというトレーニング法が大きいと話す。「この2、3年毎日運動していることで、ホルモンバランスが変わってきたような感覚があります。毎日体を動かすのって本当に大切で、今日も朝5分ほど運動してから現場入りしました」。その大切さに気付いたのは、新しい地図を立ち上げた後に舞台の仕事が増え、体を動かす機会が多くなったことがきっかけ。夜は睡眠を大事にしていることで、遅い時間にラーメンを食べるなどの不摂生もなくなった。「そんな生活を送っていたら、若いときより元気になっちゃったんです(笑)。単純だけど若いときは意外とできていなかった睡眠と運動のおかげで、今は“超”幸福感上がってる!」と幸せに満ちた笑顔を見せる。
『罠の戦争』はいよいよ残すところあと4話。「誰が罠を仕掛けているのか、誰が敵で誰が味方なのかも分からない世界で、鷲津は最後にどこへ行き着くのか。“ワナワナ”しながら最後まで行方を見守ってほしい」とアピール。草なぎが丁寧に作り上げてきた「普通のキャラクター」鷲津がどんな結末を迎えるのか、復讐の行方に注目だ。
■草なぎ剛
1974年7月9日生まれ。91年にCDデビュー以来、数々の名曲を世に送り出し、『NHK紅白歌合戦』に23回出場。17年9月に稲垣吾郎、香取慎吾と「新しい地図」を立ち上げた。俳優、歌手、タレント、YouTuberなど幅広く活躍。近年の主な出演作は、映画『台風家族』(2019)、「第44回日本アカデミー賞」最優秀主演男優賞を受賞した『ミッドナイトスワン』(2020)、『サバカン SABAKAN』(2022)、大河ドラマ『青天を衝け』(2021)など。NHK Eテレ『ワルイコあつまれ』、読売テレビ『草なぎやすともの うさぎとかめ』、NHK『ブラタモリ』(ナレーション)、bayfm『ShinTsuyo POWER SPLASH』、ABEMA『7.2新しい別の窓』にレギュラー出演中。
■ヘアメイク:永嶋麻子(Pri.ash)、スタイリング:黒澤彰乃