2023年02月24日23時38分 / 提供:マイナビニュース
●CineBench / PCMark / Procyon / POV-Ray / TMPGEnc / Intel oneAPI/ 3DMark
既報の通り、Raptor Lakeの最速モデルとしてCore i9-13900KSが発表され、既に秋葉原などで発売が開始されている。P-Core/E-Coreともに1~2binほど動作周波数を高め、ピークで6GHzに到達した製品であり、PL2こそCore i9-13900Kと変わらない253Wだが、PL1は125W→150Wに引きあがっている。実売価格は11万円~12万円ほど。Core i9-13900Kの実売価格がAmazon.co.jpで\89,000ほど、GPUなしのCore i9-13900KFが\85,000ほどであることを考えると、スペシャル版とは言えやや高めではある。ということで、早速その性能を比較してみたい。
○評価機材
まずパッケージだが、公開された写真と比較すると、青というよりかなり濃いめの紺といった感じで、ちょっと見かけが異なる(Photo01)が、ウェハを模した金色のプラスチックケースに収まるあたりは変化なし。CPU自身も刻印以外は特に差はない(Photo02,03)。CPU-Zでも問題なく認識された(Photo04)し、Windowsからも問題なく認識された(Photo05)。
ちなみにテスト環境は表1の通り。Core i9-13900Kの速報版では都合上ROG Maximus Z790 Heroを使ったが、速報版冒頭で述べた様にPrime Z690-Aでも問題なく動作する事もあり、今回はZ690ベースに切り替えた。また速報版ではGeForce RTX 3080 Tiで比較を行ったが、今更GeForce RTX 3080 Tiというのもアレなので、今回はASUSよりTUF Gaming Radeon RX 7900 XT OC Edition 20GBを借用して比較に利用した(Photo06~14)。
今回は比較対象として、Core i9-13900K及びRyzen 9 7950Xを用意した。グラフ中の表記は
13900K :Core i9-13900K
13900KS:Core i9-13900KS
7950X :Ryzen 9 7950X
となっている。また解像度表記も何時もの通り
2K :1920×1080pixel
2.5K:2560×1440pixel
3K :3200×1800pixel
4K :3840×2160pixel
とさせていただく。
○◆CineBench R23(グラフ1)
CineBench R23
Maxon
https://www.maxon.net/ja/cinebench
まずは小手調べにCineBenchの結果だが、流石に定格ではギリギリ40000には届かなかったようだ。Singleの性能向上率も3%程度で、P-CoreのBase Frequencyの差(3.2GHz vs 3GHz)にも及ばない。むしろTurbo Boostの最大値(6GHz vs 5.8GHz)に近い程度の差である。要するにBoostで動作しており、そのBoostの掛かり方がちょっとCore i9-13900KSの方が上、といったあたりか。Multiの方だと性能向上率は更に低い1.7%ほどで、まぁ予想通りではあるが、定格状態で使う限りは余り性能向上は見込めないということになる。
○◆PCMark 10 v2.1.2574(グラフ2~7)
PCMark 10 v2.1.2574
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/pcmark10
まずOverall(グラフ2)を見ると、Applicationsだけは多少差があるが、基本的なテストでの差は非常に少ない。実際Essential~Digital Contents Creation(グラフ3~6)で性能差はあると言えばあるけれど、誤差の範囲と言っても良い程度の差でしかない。唯一差が大きいのはApplications(グラフ7)におけるExcelだろうか。もっとも実際のスコアを見ると
であって、何かが飛びぬけて高速というよりも、全項目じわっと高速という程度で、その差はそれほど大きくない。トータルとしてはそれなりの性能差になった、ということは評価しても良いかと思う。
○◆Procyon v2.1.657(グラフ8~11)
Procyon v2.1.657
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/procyon
もう少し実アプリケーションに近いところでProcyonだが、意外にもPhoto Editingでむしろスコアが落ちているのはちょっと興味深い。Detail(グラフ9)を見ると、Batch Processing(つまりLightroom Classic)は問題ないのだが、Image Retouching(つまりPhotoshop)のスコアが芳しくない。見ると、Export Imageの処理がCore i9-13900Kで3.05secなのがCore i9-13900KSではなぜか4.41sec(ちなみにRyzen 9 7950Xは4.78sec)になっており、これが足を引っ張っていた模様だ。逆にそれ以外の処理はほぼ同等か、むしろ僅かながらCore i9-13900KSが高速である。もっと細かく見ると、複数回ベンチを回した結果、たまたまCore i9-13900Kが1.5secでこれを完了したケースがあり(それ以外は4.5sec程度)、平均を取ったら妙に高速化したというのが実情で、なので今回は無視して良いかと思う。Video Digital Editing(グラフ10)はまぁほぼセオリー通り。Office Productivity(グラフ11)では逆にPowerPointだけ妙にCore i9-13900KSのスコアが良いが、こちらも
と、Core i9-13900KSの方が全体的に少し高速で、それの積み重ねという感じである。なので性能が上がっているのは間違いない。まぁそれがコストとか消費電力の差に見合う物か? というのはまた別の問題だが。
○◆POV-Ray V3.8.2 Beta2(グラフ12)
POV-Ray V3.8.2 Beta2
Persistence of Vision Raytracer Pty. Ltd
http://www.povray.org/
一応POV-Rayの結果も実施してみたが、予想通りCineBenchと同じ傾向である。
○◆TMPGEnc Video Mastering Works 7 V7.0.26.29(グラフ13)
TMPGEnc Video Mastering Works 7 V7.0.26.29
ペガシス
http://tmpgenc.pegasys-inc.com/ja/product/tvmw7.html
久々にバージョンアップが行われたTMPGEnc Video Mastering Worksだが、大きな変更点は無し。そろそろAV1なりH.266(←最近Open Sourceの実装も出て来たが、ちょっと普及する気配がさっぱり見えないのが残念)なりの対応が欲しいところ。ただおそらくはメジャーバージョンが変わるんじゃないかと思う。
それはともかくとして何時ものHEVCでのトランスコード性能で、ここまで殆ど良いところが無かったRyzen 9 7950Xが圧勝しているのが印象的ではある。それはともかくとしてCore i9-13900KSの性能は、確かに若干Core i9-13900Kよりも上がっているのだが、フレームレート換算で0.1~0.3fpsと、ほんの僅かに過ぎないのは動作周波数の差を考えれば致し方ないところか。
○◆Intel oneAPI Math Kernel Library Benchmarks Suite 2022.0.2_92(グラフ14)
Intel oneAPI Math Kernel Library Benchmarks Suite 2022.0.2_92(グラフ14)
Intel
https://www.intel.com/content/www/us/en/developer/articles/technical/onemkl-benchmarks-suite.html
一応こちらもやってみた。ここではRyzen 9 7950Xは比較から外している(動作しないため)。
結果は中々面白く、ピーク性能そのものは僅かな差(887.2GFlops vs 902.8GFlops)であるが、Core i9-13900Kが割と変動が大きいのに、Core i9-13900KSはそこまで変動が無いのが興味深いところである。
○◆3DMark v2.25.8056(グラフ15~18)
3DMark v2.25.8056
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/3dmark
次は定番3DMarkの結果を。Overall(グラフ15)を見ると、比較的GPU負荷が軽いWildLifeやNightRaid、FIreStrikeなどではそれでも性能差が見られるが、それより負荷が上がるともう性能差は殆ど無い、という結果はある意味当然である。これはGraphics(グラフ16)もそうで、WildLife ExtremeとかFireStrike Extreme以上では、そもそもRyzen 9 7950Xも含めてほぼ同等の性能と考えて良い程度の差しかない。CPU/Physics Test(グラフ17)も予想通りCore i9-13900KとCore i9-13900Kの間に性能差は無し。それはともかくとしてCombined Test、GraphicsやPhysicsではそこまで性能が出ていない筈のRyzen 9 7950Xが異様に成績が良いのがちょっと不思議である。まぁそれはともかくとして3DMarkの結果を見る限り、Gamingの方もそれほど高い性能が望めそうには思えない。プレスリリースによれば"to power world-class gaming and creating experiences for desktop enthusiasts."とされるが、さてどこまで性能差が発揮できるだろうか?
●ゲームその1:Borderlands 3 / Cyberpunk 2077 / F1 22
○◆Borderlands 3(グラフ19~25)
Borderlands 3
2K Games
https://borderlands.com/ja-JP/
ベンチマーク方法はこちらのBorderland 3の項目に準ずる。設定は
全体的な品質:ウルトラ
アンチエイリアス:テンポラル
である。
というわけで結果(グラフ19~21)だが、辛うじて2Kでのフレームレートが上がっている(233.5fps→237.5fps)とは言え、全体からすれば誤差という気もしなくはない。まぁこれより解像度が上がるともっとブレが無くなるから、諭して明確にあるのはあるのだろうが。最大/最小フレームレートはむしろ低めだが、これは問題になるほどのことではないだろう。フレームレート変動を見ると、2KではCore i9-13900Kが細かくスパイク的にフレームレートが落ちる事があり、Core i9-13900KSではこれが減っているあたりが平均フレームレートに多少影響を及ぼしているというのが正確なところで、フレームレートそのものが上がっているという感じではなさそうなのがちょっと残念だ。2.5K以上(グラフ23~25)はもう差が無し、という感じだ。
○◆Cyberpunk 2077(グラフ26~32)
Cyberpunk 2077
CD PROJEKT RED
https://www.cyberpunk.net/us/ja/
ベンチマーク方法はこちらのCyberpunk 2077の項目に準ずる。設定は
Quick Preset:High
DXR:Off
とした。ちなみにCyberpunk 2077をRadeonで利用すると、Quality HighではデフォルトでFSR:Qualityが設定されてしまうので、今回はその設定のままにしている(なのでフレームレートは高めである)。
さて結果(グラフ26~28)を見ると、果たして差があると言っていいのかどうか。2Kで226.7fps→228.8fpsだからCore i9-13900KSは2.1fps程向上したという事になるが、比率から言えば1%弱でしかない。その上の解像度は当然差がもっと少ない。
もっともフレームレート変動をみると、2K(グラフ29)では意外に違いが見られる。もっともグラフに違いがあるといっても、平均すると大差ない事から判るように、常にCore i9-13900KSがフレームレートが上というわけでもない。強いて言えば50秒付近で若干大差がついているが、他は全然変わらない感じである。2.5K以上(グラフ30~32)は、もう1本の線になってしまっており、差が見られないとして良い。
○◆F1 22(グラフ33~39)
F1 22
EA Sports
https://www.ea.com/ja-jp/games/f1/f1-22
ベンチマーク方法はこちらのF1 22の項目に準じる。設定は
Anti Alias:TAA only
Anisotropic Filter:16X
Detail Preset:Ultra High
とし、その他は全てデフォルト設定のままとした。
結果(グラフ33~35)を見ると、平均フレームレートはRyzen 9 7950Xを含めて「大差なし」といったところ。最大フレームレートのみCore i9-13900KSがやや上だが、これはちょっと暴れているだけだろう。実際フレームレート変動(グラフ36~39)を見ても、2Kを含めて有意な差があるとは言いにくい。要するに「差はないようなもの」である。
●ゲームその2:Far Cry 6 / Hitman 3 / Metro Exodus
○◆Far Cry 6(グラフ40~46)
Far Cry 6
Ubisoft Entertainment
https://www.ubisoft.com/ja-jp/game/far-cry/far-cry-6
ベンチマーク方法はこちらに準ずる。設定は
Quality:High
Antialias:TAA
DXR Reflections/Shadows Off
としている。
さて結果(グラフ40~42)を見ると、Ryzen 9 7950XはともかくとしてCore i9-13900KとCore i9-13900KSの間には差が無いと言わざるをえない。実際フレームレート変動(グラフ43~46)をみても、ほぼ同じとして良い。実際には線が微妙に離れて見えているが、これFar Cryがフレームレートを整数に丸めて示しているが故の現象で、きちんと小数点以下まで示してくれたらもう少し差が縮まる(というか、多分重なって見える)程度の差だろう。総じて「差はない」という結論である。
○◆Hitman 3(グラフ47~53)
Hitman 3
IO Interactive A/S
https://www.epicgames.com/store/ja/product/hitman-3/home
ベンチマーク方法はこちらのHitman 3の項目を参照されたい。設定は
Adaptive Supersampling Technique:Off
Ray Tracing:Off
Level of Detail:Ultra
Texture Quality:High
Texture Filter:Anisotropic 16x
SSAO:Ultra
Shadow Quality:Ultra
Mirrors Refrection Quality:High
Reflection Quality:High
Variable Rate Shading:Off
Motion Blur:High
Simulation Quality(Graphics):Best
としている。
さて結果(グラフ47~49)だが、こちらもCore i9-13900KとCore i9-13900KSの間に差があるとは言いにくい。フレームレート変動(グラフ50~53)も同じくで、どちらが高速という事も言いにくい(ちょくちょくCore i9-13900Kの方が高速な場面もあり、均すと同程度のフレームレートになるから)。とりあえずRyzen 9 7950Xよりは高速、とはしても良いとは思う。
○◆Metro Exodus PC:Enhanced Edition(グラフ54~60)
Metro Exodus PC:Enhanced Edition
4A Games
https://www.metrothegame.com/
ベンチマーク方法はこちらのMetro Exodus Enhanced Editionの項に準じる。設定は
Shading Quality:Ultra
Ray Tracing:High
DLSS:Off
Reflections:Hybrid
Variable Rate Shading:4x
Hairworks/Advanced PhysX:Off
Tesselation:Full
とした。
さてこちらの結果(グラフ54~56)も結論は同じである。一番差が出るはずの2Kですら平均フレームレートは152.5fpsと153.4fpsというのは、もう差が無いとして差し支えない程度である。フレームレート変動(グラフ57~60)もCore i9-13900KとCore i9-13900KSは綺麗に一本の線になっており、これは差が無いとしか言いようがない。
●ゲームその3:The Division 2 / Shadow of the Tomb Raider / Watch Dogs:Legion
○◆Tom Clancy's The Division 2(グラフ61~67)
Tom Clancy's The Division 2
Ubisoft
https://www.ubisoft.co.jp/division2/
ベンチマーク方法はこちらの"Tom Clancy's The Division 2"に準ずる。設定は
品質:ウルトラ
とした。
品質ウルトラとはいえ、2Kで250fps前後だから負荷としてはかなり軽い部類に入る訳だが、結果(グラフ61~63)を見るとCore i9-13900KとCore i9-13900KSの間に有意な差があるとは言いにくい。それでも平均フレームレートに着目すれば2Kで250.8fps vs 254.4fps、2.5Kで180.8fps vs 182.8fpsだから一応性能が上がっている事は事実ではあるが、2Kで3.6fpsの差というのは1%少々でしかない。Metro Exodusよりは違いの分かる結果ではあるのだが、フレームレート変動(グラフ64~67)を見ても差があると言いずらい程度でしかない。一応他に比べれば差があると言えばあるのだが、若干の向上があるという程度であろう。
○◆Shadow of the Tomb Raider(グラフ68~74)
Shadow of the Tomb Raider
SQUARE ENIX
https://tombraider.square-enix-games.com/en-us
ベンチマーク方法はこちらに準じる。設定は
Quality:Highest
Ray Tracing:Off
とした。XeSSも無効化している。
さて結果(グラフ68~70)だが、平均フレームレートで遂にRyzen 9 7950Xまで並んだのは数字のあやであって、フレームレート変動を見ればこの謎は解ける。ただそれはともかくとして、Core i9-13900KとCore i9-13900KSの差は2Kですら1fps未満。2.5Kで0.4fpsというあたりはもう「差が無い」だろう。フレームレート変動の方だが2K(グラフ71)を見ると、Ryzen 9 7950Xは全体的にやや低めで推移しつつ80~110secあたりで急にフレームレートが持ち上がり、平均するとCore i9-13900K/Core i9-13900KSと同じ程度、というある意味マジックであり、実際にはRyzen 9 7950Xは少し低めと考えておいた方が良いかと思う。ただ2.5K以上(グラフ72~74)では御覧の通り全く差が無いわけだが。そしてCore i9-13900KとCore i9-13900KSの差は、こちらも御覧の通りあまり無い。
○◆Watch Dogs:Legion(グラフ75~81)
Watch Dogs:Legion
Ubisoft
https://www.ubisoft.co.jp/wdlegion/
ゲームベンチの最後はこちら。ベンチマーク方法はこちらの"Watch Dogs:Legion"に準ずる。ちなみに設定は
Quality:Very High
RT Reflection:Off
DLSS:Off
とした。
さて結果(グラフ75~77)だが、Ryzen 9 7950Xはともかくとして13900Kと13900KSの間には差が見られないといったところ。勿論数字を見ると2Kの平均フレームレートでは1fpsの差はあるが、160fpsオーバーでの1fpsだから1%未満の差である。これは性能差があると言うにはあまりに微妙でしかない。フレームレート変動(グラフ78~81)もそうで、一本の線というにはやや凸凹があるが、均すと同程度という程度の差であり、明確な性能差があるとはちょっと言いにくい程度だ。
●消費電力測定 / 考察
○◆消費電力測定(グラフ82~89)
さて最後はおなじみ消費電力測定である。いつも通りにまずSandra 2021のDhrystone/Whetstone(グラフ82)、CineBench R23(グラフ83)、TMPGEnc Video Mastering Worksで4Streamトランスコード時の最初の240秒(グラフ84)、LINPACK(SIZE/STRIDE=60000)(グラフ85)、3DMark FireStrike Demo(グラフ86)、Metro Exodus(2K)(グラフ87)の消費電力変動と、それぞれの平均値(グラフ88)、及び待機状態との差(グラフ89)をまとめてみた。
まぁ予想通りの結果というか、Core i9-13900KSはCore i9-13900Kにも増して消費電力が増えている。まずSandraの結果をまとめたのが表2であるが、Core i9-13900KSの効率はDhrystone Intでこそ僅かに向上しているもののWhetstone Floatではむしろ悪化。そしてRyzen 9 7950Xには遠く及ばない。これはその他のベンチマークでも同じであり、Core i9-13900KSはCore i9-13900K比で軒並み15~20Wほど消費電力が増えている。唯一差が無いのはFireStrikeのDemo程度で、ただしMetro Exodusではやっぱり13Wほど増えているから別に3Dなら増えないという訳では無い。TDPというかPL1の増加に伴い、きっちり実効消費電力も増えた、というのが正確なところだろう。
なので効率という面では概ね悪化する。例えばLINPACKでは先に示したようにSIZE/LDA=60000における性能は764.9GFlops/809.9GFlopsであり、実効消費電力はそれぞれ312.8W/333.5WだからCore i9-13900Kは2.45GFlops/W、Core i9-13900KSは2.43GFlops/Wと言った具合。他のベンチマークの結果も概ね同じで、予想できたことではあるが、動作周波数を引き上げた事で効率は悪化せざるをえない。
○考察 - 「最高」だが、あくまで非日常のエンスージアスト用CPU
ということでざっくりと性能及び消費電力をご紹介した。予想通りであるが、確かに性能は上がる。ただしそれは動作周波数に比例した範囲内での性能の差でしかなく、なのでゲームのフレームレートで言えば1%程度にとどまることがある。その一方で消費電力は上がる。性能/消費電力比を語る製品でないことはわかるが、ここは悪化する。何というか、電力費高騰が話題になっている時期には、少し気まずい思いをする製品かもしれない。
個人的には、Core i9-13900KSは定格で使う事を前提にしたプロセッサではなく、OCを前提に使うべきプロセッサなのだろうと考える。もっとも、この製品のターゲットユーザーは恐らく最初からそういった層だろう。今回はそうした準備も無い(簡易水冷程度ではCore i9-13900KSの本領は発揮できない。液体窒素とは言わないまでも、本格的なチラーを用意するとかはすべきだろう)から試さなかったが、IntelのイスラエルのLabでは目の前で8.2GHz動作(ただし液体窒素冷却)を実現しており、本格水冷で7GHz駆動を目指すとか、そうした「遊び方」のためには最適な製品になるだろう。逆に言えば日常使いには不向きというか無駄が多く、Core i9-13900Kで十分、というのが筆者の感想だ。