2023年02月24日11時26分 / 提供:マイナビニュース
「ヴィンテージ」のワインやウィスキーは高値で取引されていますが、日本酒も長期熟成をして楽しめることを知っていましたか?
日本酒「霧筑波」や「浦里」の醸造元である、茨城県つくば市の「浦里酒造店」(@kiritsukuba1877)が、30年超え“ヴィンテージ日本酒”を開栓してみた結果に注目が集まっています。
お客様が「自宅の床下貯蔵庫から古い大吟醸が出てきたが呑めるのか?」とお持ちになりました。
確認したところ本生の平成元醸造年度 全国新酒鑑評会 金賞酒で、33年ヴィンテージでした。
お客様の同意のもと品質チェックのために開栓したところ、素晴らしい熟成をしていました!!(@kiritsukuba1877より引用)
浦里酒造店に「まだ呑めるのだろうか?」と持ち込まれた平成元年(1989年)醸造の日本酒。浦里酒造店が手掛ける「霧筑波」です。お客さんの同意を得て開栓してみたところ、
素晴らしい熟成ぶりが判明。琥珀色に染まった30年越えの大吟醸は、カラメル様の熟成香と、水よりもなめらかな味わいが楽しめたそうです。
酒はメイラード反応による琥珀色を呈しており、カラメル様の素晴らしい熟成香、水よりも滑らかな味わいでした。30年越えなのでタンパク質が凝固した黒澱が浮遊していましたが、火落ち(アルコール耐性乳酸菌の繁殖)することなく非常に素晴らしい熟成をしており「感動」のひと言です。(続く)— 浦里酒造店【霧筑波/浦里】醸造元 (@kiritsukuba1877) February 13, 2023
この投稿に対し、リプライや引用リツイートでは、「飲めるのか…すげぇ…」「酢になったりはしないのね」「日本酒って琥珀色になるのか」といった驚きの声が相次ぎ、元ツイートは2.7万件もの「いいね」を集めました(2月24日時点)。
日本酒の長期貯蔵は一般家庭でもできるのでしょうか。浦里酒造店の「中の人」にうかがいました。
○“ヴィンテージ日本酒”、投稿者に聞いてみた
――改めて、30年越えの日本酒はどのような味わいでしたか?
カラメル様の甘い香りと、濃縮されたような複雑な甘みと旨味が口いっぱいに広がりました。
口に含んだ瞬間のアルコールの刺激は一切なく、水よりもなめらかな口当たりでした。熟成によって水とアルコールが完全になじんで、超なめらかな味わいになったのだと考えられます。
――今回のご投稿では、床下貯蔵庫で保存されているとのことでした。一般家庭でも日本酒をおいしく保存できるものでしょうか?
もし、ご自宅で長期貯蔵にトライするのであれば、
(1)火入済みのお酒(生酒以外のお酒)
(2)新聞紙でくるむなど、光が当たらないようにする
(3)なるべく温度が一定の場所で貯蔵する(押し入れの中など)
上記3つの条件を揃えれば確実に10年以上の長期熟成が可能です。
――お客さまから持ち込まれたという浦里酒造店の「霧筑波」はどのようなお酒なのでしょうか。
弊社の「霧筑波」は。引き算の美学を追求した淡麗辛口の味わいが特徴です。辛口のお酒ですので、ぜひ食中酒としてお召し上がりいただきたいです。
――投稿に大きな反響が寄せられたことについて、率直な感想をお聞かせください。
まず、素直に驚いております。
今回、このツイートに大きな反響があったのは、日本酒が長期熟成できるということがまったく知られていなかったからだと思います。リプライを見ると、「酢になると思った」「色がついて飲めなくなる」などの投稿が多く見られたので、間違った認識が広まってしまっているのかと……。
日本酒もワインと同じ醸造物なので、ワインと同様に長期間の熟成が可能です。もちろん、酢になったり、腐ったりすることはあり得ません。今回のツイートが広まったことで、日本酒も長期熟成することができ、熟成による新たなおいしさや魅力が増していくということが広まればうれしいです。
浦里酒造店では、「日本酒にも必ずヴィンテージの価値が認められる時代くる」と信じて、1985年から氷温での熟成を続けているとか。ワインと同様、日本酒も長期熟成ができるという認識が広まれば、日本酒ファンがさらに増えそうですね。
お客様が「自宅の床下貯蔵庫から古い大吟醸が出てきたが呑めるのか?」とお持ちになりました。確認したところ本生の平成元醸造年度 全国新酒鑑評会 金賞酒で、33年ヴィンテージでした。お客様の同意のもと品質チェックのために開栓したところ、素晴らしい熟成をしていました!!(続く) pic.twitter.com/S4w8Op2KMb— 浦里酒造店【霧筑波/浦里】醸造元 (@kiritsukuba1877) February 13, 2023