2023年02月23日11時10分 / 提供:マイナビニュース
●ディナスの「孤独」を感じた
2022年放送『ウルトラマンデッカー』テレビシリーズの続きを描いた長篇新作『ウルトラマンデッカー最終章 旅立ちの彼方へ…』が2023年2月23日より、「TSUBURAYA IMAGINATION」でオンライン配信&全国劇場にて公開される。宇宙浮遊物体スフィアの脅威が去り、アスミ カナタ(演:松本大輝)がウルトラマンデッカーになる力を失ってから1年、ふたたび地球に侵略者が襲来し、エキスパートチームGUTS-SELECTに最大の危機が訪れる。
映画の配信・公開を記念し、本作の重要キャラクター・ラヴィー星人ディナスを演じる中村加弥乃にインタビューを行った。たったひとりで凶悪な宇宙人軍団と戦っていたディナスは、カナタをはじめとするGUTS-SELECT隊員たちの協力を得て、地球侵略を企むプロフェッサー・ギベルスに立ち向かっていく。大切な生命を守りたいという決意を胸に、自分の危険をかえりみず戦いの道を歩むディナスを魅力的に演じた中村加弥乃に、ウルトラマンシリーズへの憧れや、共演者の優しさに触れたときの思い、そして映画の注目ポイントを尋ねた。
――中村さんはウルトラマンシリーズの大ファンだとうかがっています。子どものころからお好きだったのですか?
そうなんです! 物心ついたときからずっとウルトラマンや怪獣が大好きで、家でビデオを何回も観たり、ウルトラマンショップで怪獣やウルトラヒーローの指人形をたくさん買ってもらったりしていました。
――歴代ウルトラヒーローの中で、もっとも中村さんがお好きなのは誰ですか?
『ウルトラマンティガ』(1996年)です。今回の映画に出演できたことでウルトラマンデッカーも好きになりましたけど、私がウルトラマン好きになったきっかけがティガなので、これは外すことができません。いま改めて映像や写真を見返しても、ティガってカッコいいなあ……って思ってしまいます。ウルトラマンのパジャマで「変身スーツ」ってあるじゃないですか。子どものころ、ティガの変身スーツがお気に入りで「私服」として愛用していたみたいなんです(笑)。当時の楽しそうな写真も残っています。
――それでは、映画『ウルトラマンデッカー最終章 旅立ちの彼方へ…』への出演が決まったとき、すごく嬉しかったのではないですか。
ディナス役はオーディションを受けて決めていただきました。合格の報せがあった日、ちょうどマネージャーさんの誕生日だったので、とてもいいバースデープレゼントになったよと言われたのが心に残っています。私自身は、受かったと聞いても信じられなくて……。ウルトラマンに変身する役だとわかってオーディションを受けていたんですけど、「私がウルトラマンになるってこと?」みたいに、自分の状況がすぐには飲み込めないような気持ちでした。
――オーディションでも、中村さんの「ウルトラマン好き」のパワーが審査の方たちに伝わったのかもしれません。
自己紹介をするとき、どれだけ自分がウルトラマンティガを大好きなのか、熱烈にアピールしました! でもあまり熱く話しすぎたのか、武居正能監督からは「ウルトラマン愛はわかりましたから、そろそろお芝居のテストに移りましょう」なんて言われたんです(笑)。私としては、ウルトラマンへの愛を伝えるのにこんな短い時間では足りない!と思っていました。
――近年はウルトラウーマンの方たちも増えてきましたが、女性から男性タイプのウルトラマン(ウルトラマンディナス)に変身する中村さんは、“単独の変身者”ということではウルトラマンシリーズ史上「2例目」にあたるんですね。
そうです。“単独の変身者”ということでは、吹石一恵さんが演じられたジュリ/ウルトラマンジャスティス以来なんです。
――あっ、先に言われてしまいました。さすが詳しいですね。中村さんが演じるラヴィー星人ディナスは、本来戦うことに慣れていない種族でありながら、それでも人々を守るため凶悪宇宙人と激しい格闘を行うキャラクターだとうかがっています。役柄についての思いを聞かせてください。
たったひとりで戦ってきたディナスの「孤独」を感じました。戦う相手も1人じゃなく、複数の敵を相手にしていて、精神的にもキツかったと思うんです。そんなディナスが地球へやってきて、カナタたちGUTS-SELECTのみんなと出会ったのは、ものすごく大きなこと。身体的な強さではなく、精神面でいっそう強くなることができた。そんなところが素敵だなと思いました。
――撮影に入られたのは、まだ『ウルトラマンデッカー』テレビシリーズが放送されていない時期だったそうですね。
基本設定くらいしか知らない状態で撮影に入りましたから、カナタが「デッカーのおっさん」って言ってる意味が最初は理解できなかったりして(笑)。撮影中、いろいろな展開について教えていただきました。
――地球に飛来したディナスは、カナタ、リュウモン(演:大地伸永)、イチカ(演:村山優香)のGUTS-SELECT若手チームと行動を共にするシーンが多かったと思います。共演のみなさんの印象はどうでしたか。
(大地)伸永くんとは以前、リアリティショー『恋愛ドラマな恋がしたい~Kissing the tears away~』でずっと寝食を共にしてきましたので、彼と再会できたのをきっかけに、みなさんとはすぐに仲良くなることができました。最初は、半年間ものテレビシリーズ撮影期間を経て、チームワークができあがっているところに私が飛び込んで大丈夫かな?という不安があったのですが、そんな思いはあっという間になくなって、すてきな共演者の方々に囲まれて演技をすることができました。
本当にみんな、優しかったんですよ。GUTS-SELECTのみんながお揃いで持っているデッカーのバッグがあるんですけど、(松本)大輝くんのバッグが壊れちゃって、スタッフさんから新しいものを用意してもらっていたんです。すると伸永くんが「加弥乃にもあげたいので、バッグもうひとつありませんか」って言ってくれて……。それだけでも「優しいなあ」と思っていたのに、大輝くんが「いまひとつしかないらしくて、それじゃあ僕のをあげます」って、私にプレゼントしてくれました。ウルトラマンの世界って、こんなに優しい人が集まってできているんだなあって、感動しました。バッグは今も大事に使っています。
●「光」の絆が受け継がれる
――村山優香さん演じるイチカとの熱い友情がみなぎるシーンは、心に残るものを与えてくれます。見た目の可憐さとは反対に、怪獣や宇宙人に挑んでいく勇敢な女性という意味では、お2人には似た雰囲気を感じましたが、撮影中の様子はいかがでしたか。
優香ちゃんとは、ずっと女子トークをしてました(笑)。ある日、ご飯を食べたあと、私と優香ちゃん、大輝くんと伸永くんに分かれて歯磨きをしに行ったんです。そうしたら、私たちの話す声が大きすぎて2人から「仲いいね~」って言われたんです。もう、以前から知り合いだったっけ?って思えるくらいお互い打ち解けられて、いっぱいお話をしてくれました。嬉しかったです。
――大人チームというべき、ムラホシ隊長役の黄川田雅哉さん、カイザキサワ役・宮澤佐江さんとも共演されました。お2人の印象についても聞かせてください。
黄川田さんは天才的に面白い方でした。もう、黄川田さんが何か言うたびにゲラゲラ笑っていたんです。周りのみんなはテレビシリーズの半年間で、隊長の面白さに免疫ができていたのか、リアクションが薄いんですよ(笑)。最初は、私たちに合わせてギャグを言っているのかなって思っていたら、ぜんぜんそんなことなくて、ご自身で現場を楽しんでいるのがとても素敵に思えました。あと、黄川田さんからグミをたくさんいただいたのが印象的でした。この撮影が終わってからも、グミが好きになりましたから(笑)。
佐江ちゃんとはAKB48で2年間、ずっと一緒に活動していましたし、卒業後もよく舞台を観に行っていましたから、ウルトラマンの現場でご一緒できたのはすごく嬉しかったです。私が初めて撮影に入って、ガチガチに緊張していたら、そんな空気を佐江ちゃんが察してくれて「私も最初は緊張したけど、大丈夫!」って優しく励ましてくれました。そのとき、昔からぜんぜん変わらない素敵な「お姉さん」だなあって思いました。撮影最終日は一緒に帰ることができ、思い出話をして盛り上がりました。
――ベムスターやザンドリアスなど、歴代ウルトラ怪獣の能力を引き出して敵と戦うディナスですが、中村さんのアクションが決まっていて、懸命に戦っているという印象を強めてくれます。アクションはもともとお得意だったのですか。
金子修介監督の『少女は異世界で戦った』(2014年)に出演したとき初めてアクションを経験したのですが、これがきっかけとなってアクションに目覚め、アクションチームの道場で練習をするようになりました。ここ数年はコロナ禍の影響でお休みしていましたが、本作の撮影に入るにあたり、練習を再開しました。その成果は画面にも表れていると思います。
――今回はペダン星人やゼラン星人、バド星人など、不気味な外見をした敵の宇宙人ばかりでしたが、戦っているとき怖かったですか?。
初対面のときはちょっと怖いなと思いましたけど、戦っているときは夢中で、気にしていられません(笑)。今回の撮影で改めて、アクションというのは自分と相手の「信頼」なくして成り立たない作業だなと痛感しました。一歩間違えば大怪我をするかもしれないですから、お互いの動きを信じ、息を合わせることが大切なんです。
――アクションシーンで、特にお気に入りがあれば教えてください。
共演の方たちやスタッフさんから褒めてもらったのは「蹴り」でしたね。最初のシーンでディナスが暗闇の中で複数の宇宙人と戦うところは、あとで映像を観ながら「ああ、よく頑張ったなあ……」なんてしみじみ思いました(笑)。
――映画にはいろいろな怪獣・宇宙人が登場し、大暴れします。中村さんのオススメキャラクターを教えてください。
たくさん怪獣が出てくるんですけど、ペダン星人が操る「キングジョー」が好きです。合体・分離するときに姿勢をまっすぐ正すじゃないですか。あの仕草がかわいくて、たまらなかったです(笑)。
――最後に、『ウルトラマンデッカー最終章 旅立ちの彼方へ…』の配信&劇場公開を楽しみにしているファンのため、中村さんから見どころをお聞かせください。
ウルトラマンシリーズは、先輩ウルトラマンから後輩ウルトラマンへと「光」のバトンをつなぐことによって、長い歴史を作ってきました。今回の映画でも、大切な仲間、愛する人々を守るため、「光」の絆が受け継がれる瞬間が観られると思います。ウルトラマンの魅力が詰まった作品ですので、たくさんの人たちにご覧いただきたいです!