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月9『女神の教室』野田悠介Pが込めた問題提起「効率だけが重要視されてもいいのか」

2023年02月20日06時00分 / 提供:マイナビニュース

●“今”このドラマを制作する意義
女優の北川景子が主演するフジテレビ系ドラマ『女神の教室~リーガル青春白書~』(毎週月曜21:00~)。裁判官からロースクールへ派遣され教鞭に立つことになった主人公が、未来の法律家を目指す学生たちとともに成長していく物語だが、司法試験に合格するための “法”だけでなく “人”を学ぶがテーマとなっており、毎回の出される課題を生徒たちとともに考え、視聴者も授業を受けているような感覚が味わえる新しいリーガルドラマに仕上がっている。

プロデューサーを務めるのは、これまで『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』や『ナイト・ドクター』などを手がけてきた野田悠介氏。物語に込めた思いや、終盤への見どころを聞いた――。

○■法律家を目指すきっかけになってくれたら

放送枠の「月9」では、検事が主人公の大ヒットシリーズ『HERO』(木村拓哉主演、01・14年)を皮切りに、弁護士の『SUITS/スーツ』(織田裕二主演、18・20年)、『元彼の遺言状』(綾瀬はるか主演、22年)、そして裁判官の『イチケイのカラス』(竹野内豊主演、21年)など、“法曹三者”を描いたヒット作がある。

今作は、その前段階である司法試験の合格を目指すロースクールを舞台にしているが、野田Pは「『HERO』や『イチケイのカラス』などは、真相解明の“真実は何だ”みたいなところが視点にあったと思うんですけど、そこに至るまでに法律家の人はどういうことを学んで、どうやって良い法律家になっていくんだろうと疑問に思ったのがこのドラマを作ったきっかけです」と企画の経緯を語る。

続けて、「ロースクールが舞台のドラマは海外ではよく出てくると思うんですけど、日本では全く描かれていないと思って、目新しさがあるなと感じました」という狙いも。また、「2004年に法科大学院制度が開始されたのですが、当初70校近くあったのが今では半分くらいに減っているんですね。法律家の方が少なくなってしまったら困るのは自分たちであるという思いもあったので、ロースクールが舞台のドラマを作って、法律家を目指すきっかけになってくれたらいいなと」という思いを込めた。

そして2023年から、ロースクール在学中に司法試験を受けることが可能になるというタイミングも重なり、“今”このドラマを制作する意義をつかんだ。

○■月9で“司法修習生”が主人公の『ビギナー』との違い

「月9」ではかつて、司法試験合格後の“司法修習生”を主人公にした『ビギナー』(ミムラ主演、03年)を放送している。この作品は『女神の教室』と同様、個性豊かな生徒たちが繰り広げる青春群像劇で、毎回授業で取り上げる“事案”を生徒たちが一緒になって議論していくなど、共通点も多い。

その意識について尋ねると、「『ビギナー』はもちろん見ているんですが、参考にしているということはなくて、出てくる学生たちがどう考えるのかというところを主軸に置くと、見え方も変わってくるだろうなと思いました」と言うように、演出で明確な違いを感じる。それは“事案”の追いかけ方だ。『ビギナー』では課題として出される事案の詳細を、コミカルなイラストや再現VTRを用いて分かりやすく解説するという演出が施されていたが、今作ではそれが一切見られない。

その意図は、「司法試験合格のみを目指している、文字面だけを見ている彼らというのを描くときに、“人を感じていない”ということを表現したかったんです。再現などが入ってくると、彼らはすでに人間というものを感じて物事を語っているという表現になってしまうので、それをやめたかったというのが大前提であります」とのこと。そして、あえて映像で解説しないことで、「見ている方も一緒にイメージしながら、考えながらドラマにのめり込んでいただけるとありがたいなという思いも込めています」と狙いを明かした。

●リアリティー追求へロースクール出身者が脚本協力

今作には、野田プロデューサーの“ある問題提起”も込められているという。「昨今言われている『“効率”だけが重要視されてもいいのか』ということを、このドラマで描いていきたいと思ったんです」

そこで、主人公の柊木(北川景子)は、“法”より“人”を学ばせるという、ある意味“非効率”な女性として描き、対となるように藍井(山田裕貴)は、司法試験に合格させるためだけの“効率”のキャラクターとして配置している。

「藍井が『早く起案をまとめろ』といった指示を出すのに対して、柊木はいつも『みんなはどう思う?』という問いかけをしていますよね。そのことで学生たちは『そんなことに意味があるのか?』と考えていくうちに気付きを得るというのも一つの正解でしょうし、かといってやっぱり司法試験に合格しないと次はないという藍井の意見もまっとうだと思います。その2人が、この現代の効率・非効率というところにすごくマッチしていると思っていて、どちらも欠かせないものだし、役割を補い合うことが大事なんじゃないかと思いながら作っています」

そんな様々な思いが込められた物語は、どのように作られるのか。

「毎回登場する事案については実際にあるものをモチーフにして、少し改造しながらやっていくパターンもありますし、2話の“タトゥーの入浴拒否”のお話は、5人の価値観をぶつけさせる議論をするためにどういったものが一番いいだろうかと考えて作りました。タトゥーに批判的な人もいれば、友達にタトゥーの人もいるから平気という人もいて、意見がバラバラに分かれると思うんですね。そういったことを、柊木を通じて学生たちが一緒に考えるというところに行き着きたいと思ったんです」

脚本協力にはロースクールの出身者が参加しており、「もちろん監修の方にも入っていただいているのですが、おととし(フジテレビ)ヤングシナリオ大賞の佳作を取った伊吹(一)くんがロースクールの卒業生で脚本家へ転身したという特殊な経歴を持っていて、彼からも取材をしたり、ロースクールの現状を聞いたりすることで、リアリティーを追求しています」と、独特の体制を組んでいる。
○■柊木たちが風見にどう向き合っていくのか

最後に、終盤へ向けての見どころを伺うと、「皆さん、尾上松也さん演じる風見が気になっていると思います。1話から少しずつ描いていますが、ある事件の判決に不服を持っている風見という人間に対し、柊木を含めて藍井や学生たちがどのように向き合っていくかというところが、大きな部分になってきます」と予告し、それと同時に、「藍井がなぜああいう考え方になったのか。彼の人生観みたいなところが見どころかなと思います」と紹介。

13日放送の第6話では、学生たちに嫌がらせをしていた“crow”の物語が完結したかに見えたが、「第6話で完結したであろう事件が、さらにその奥がある…というようなこととか、隅々まで見ていただけるとヒントがいっぱい隠されているので、ぜひ注目していただきたいと思っています」と呼びかけた。

そんな縦軸の物語や、学生たちが司法試験に合格できるのか?など、今後の展開や結末はもちろん気になるところだが、このドラマの本質は、どれだけ“人”に思いを寄せられるか。その部分をいかに丁寧に、ドラマチックに描いてくれるのかを楽しみにしながら、最終回まで学生たちと一緒に学んでいきたい。

●野田悠介1985年生まれ、愛知県出身。関西学院大学卒業後、08年にフジテレビジョン入社。1年目で『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』に関わって以来、『グッド・ドクター』『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』、『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』など多くの医療系ドラマのディレクター、プロデューサーを担当。月9では『ナイト・ドクター』『競争の番人』も手がけた。

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