旬のトピック、最新ニュースのマピオンニュース。地図の確認も。

肥満に伴って生じる疾患リスクに男女差、減量だけでは不十分な場合も 神戸大が確認

2023年02月15日17時52分 / 提供:マイナビニュース


神戸大学は2月14日、65歳の神戸市民約1万1000人を対象に、肥満に合併する代表的な疾患である糖尿病、高血圧、脂質異常症の肥満度別の有病率と、普通体重に対して各疾患を有するリスクを検討した結果、各疾患の有病率は肥満度の上昇に伴い増加すること、および男性では普通体重に比較し肥満が進むと各疾患を有するリスクが増加するが、女性では糖尿病と高血圧のリスクが大きく増加する反面、脂質異常症のリスクは軽度の増加に留まることを明らかにしたと発表した。

同成果は、神戸大 医学部附属病院 栄養管理部の山田倫子特命助教/医師、同・大学院 医学研究科 健康創造推進学分野の田守義和特命教授らの研究チームによるもの。詳細は、英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載された。

肥満は万病のもとといわれるように、各種の疾患を招くことで健康寿命を短縮し、結果としてQOLの低下にもつながることが知られている。肥満に合併する代表的な疾患としては、糖尿病、高血圧、脂質異常症が挙げられるが、それらは動脈硬化を進展させ、脳卒中や心疾患といった生命を直接脅かす病気にもつながる。特に、日本人を含めた東アジア人は、軽度の肥満でも代謝異常を発症しやすいという特徴があるため、肥満にならないことが健康的な生活を送るためには重要とされているものの、その一方で、どの程度の肥満になれば、どういった疾患がどのくらい発症するのか、といった詳しい研究はこれまでほとんど行われてこなかったという。

また高齢者の入口である65歳という年齢においては、肥満を回避することが重要な一方で、サルコペニアやフレイルの原因となることから、肥満とは逆方向の低体重や痩せにも同時に注意を払う必要があるとされることから、研究チームは今回、65歳の神戸市民、約1万1000人を対象に糖尿病、高血圧、脂質異常症の肥満度ごとの有病率を明らかにすると共に、普通体重者と比較した時、肥満度別に疾患を有するリスクを検討することにしたという。


調査の結果、各疾患の有病率は、糖尿病が9.7%、高血圧が41.0%、脂質異常症が63.8%となり、どの疾患も肥満度の上昇と共に有病率が増加したが、糖尿病と高血圧は肥満の進行と共に有病率が大きく増加した一方、脂質異常症は普通体重者群でも有病率が60%を越えて高い反面、肥満の進行に伴う有病率の増加は緩やかであることも判明。また、この傾向は女性でより顕著だったとする。

疾患リスクについては、男性では肥満度の上昇に伴い、3疾患とも疾患リスクが増加したが、女性では糖尿病と高血圧のリスクが大きく増加する反面、脂質異常症については軽度増加するに留まり、そのピークも軽度の肥満者群で認められたという。

これまで肥満になると、どの肥満関連疾患もリスクが増加するという漠然とした認識しかこれまで無かったため、生活習慣病や肥満症の診療でも、どの程度減量すればどのくらい疾患リスクが低下するかといった具体的な指導ができないことが課題となっていたが、今回の研究によって、糖尿病、高血圧、脂質異常症の有病率を減らすためには、男性では減量が有効であることが示唆されたほか、女性では、糖尿病と高血圧を減らすには男性と同様に減量が有効であるものの、脂質異常症には体重を減らすだけでは不十分で、減量以外にも、食事や運動など、生活習慣の改善を見据えた指導や診療が必要となることが示唆されたと研究チームでは説明している。

なお、今回対象とした3疾患以外にも、脳梗塞や冠動脈疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患、睡眠時無呼吸症候群、変形性関節症といった運動器疾患など、肥満に関連する重要な疾患があることから、今後は、このような肥満に関連する健康障害が、どの程度の肥満でどのくらいの有病率を示すのかを、年齢別、性別で解明することが肥満に関連して発症する疾患を指導および診療して行く上で重要であり、また医療経済的な側面に対する減量の効果を推測する上でもとても参考になるとしている。

続きを読む ]

このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

ネタ・コラムカテゴリのその他の記事

地図を探す

今すぐ地図を見る

地図サービス

コンテンツ

電話帳

マピオンニュース ページ上部へ戻る