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中央線「昭和グルメ」を巡る 第170回 中野の路地裏で見つけた隠れ家 「ミュージック イン(Music-Inn)」(中野)

2023年02月14日11時00分 / 提供:マイナビニュース

いまなお昭和の雰囲気を残す中央線沿線の穴場スポットを、ご自身も中央線人間である作家・書評家の印南敦史さんがご紹介。喫茶店から食堂まで、沿線ならではの個性的なお店が続々と登場します。

今回は、中野の喫茶店「ミュージック イン(Music-Inn)」をご紹介。

○ヴィンテージ感濃厚、隠れ家的な空間

自転車で中野をうろついていた先日、ブロードウェイよりもちょっと駅寄りの、「三番街」という狭い路地に迷い込んでしまったんですよ。中野に関する知識はそれなりに持っていたつもりだったのだけど、この通りのことは知らなかったなー。

などと思いながら進んでみたら、ファミリーマートのすぐ先に気になる店を発見。正確にいうと、通り過ぎてちょっとしてから「え、いま"Music"とか書いてあるお店があったよね?」と気づいたんですけどね。だから、ぐるっとひと回りして戻ってきたわけです。

ともあれ、共立病院診療所の斜め向かいにひっそりと、そのお店はあったのでした。正式名称は「Music-Inn」というようです。JBLのスピーカーを模した看板が目印。

という時点で気になって仕方がなかったのでドアを開けてみたところ、なるほど、すぐ右側にJBL4430というスピーカーが鎮座しておりました。1980年代初頭の発売当時、1台で40万円以上した(だから左右で80万円以上)名機です。

他にも1970年代に人気だったオーディオ・ブランド、ダイヤトーンのスピーカーもあるし、お店の中央あたりにはビクターの蓄音機も。

表に「蓄音機でSP盤が聴けます」と書いてあったので、これは現役なのでしょう。

なお、基本的にはジャズのお店のようですが、店頭の看板にモーツァルトのポートレートがあしらわれていたり、JBLの横のアップライト・ピアノの上にMISIAのアナログ・レコードが飾ってあったりするところをみると、ジャンルにガチガチに縛られているような感じではなさそう。そういう姿勢って、共感できるわー。

という話はともかく、ここは完全に趣味に振り切ったお店ですね。オーディオ機器の選び方にも明確なポリシーを感じるし、ヴィンテージ感濃厚な家具や楽器、ポスターなど、コンパクトにまとめられた店内に懐かしいものがぎっしり詰まっている印象。しかも、それらすべてに統一感があるのです。

なお、昼間はカフェ、夜はバー(予約制)という業態のよう。ちなみにカフェのメニューはコーヒーのみという潔さで、コーヒー専門店を謳っているだけのことはありますね。

で、深煎りの「かふぇInn"ブラック"」とマイルドな「かふぇInn"ゴールド"」があるとのことだったので、後者をお願いしてみました。

このとき店内に流れていたのは、オランダのカレル・ボエリーというピアニストが率いるトリオの作品。渋いセレクションだなー。端の席でおばあさんが静かに耳を傾けていたり、なかなかいい雰囲気です。ちょうど他にお客さんがおらずゆったりと落ち着くことができたので、僕も読みかけの本の世界にじっくり入り込むことができました。

ほどなく運ばれてきた「かふぇInn"ゴールド"」は、有田焼のカップ&ソーサーも上品。

いただいてみれば、たしかにマイルドでありながら深いコクを感じることができました。

インテリアからコーヒーの味まで、随所に深いこだわりを感じさせるお店なので、もしやマスターは頑固な人なのかなと思ったものの、まったくそんなことはありませんでした。それどころか人当たりの柔らかな、とても感じのいい方。

お聞きしてみたところ、開業したのは2002年だそう。ってことは平成 14年ですから、昭和のお店ではありませんね。とはいえ、店内の雰囲気もオーディオも調度品も昭和の香りであふれているので、ここは昭和テイストのお店としてご紹介する価値があると思った次第でございます。

「駅に近くても、このあたりはなかなか目につきにくい場所なんですよ」とマスターはおっしゃっておりましたが、たしかにそうかもしれません。まったく気づかなかったもんなー。

でも、だからこそ隠れ家的に利用できるはず。

ちなみに以前はライヴも定期的に開催されていたようですが、「コロナ以降はなかなか……」とのこと。そうですよね。ライヴもぜひ体験してみたいところだけれど、それは仕方がない話です。

ともあれバー・タイムにはまた違った楽しみ方ができそうだし、今度は夜にもお邪魔してみよう。

いいお店を見つけることができました。中野に用があったときには、ぜひ立ち寄ってみてください。駅前とはまったく違う空気が流れているので、とても新鮮に感じるはずですよ。

●ミュージック イン(Music-Inn)
住所: 東京都中野区中野5-36-14
営業時間: 12:00~24:00
定休日: 月曜日(火曜日は18時まで)

印南敦史 作家、書評家。1962年東京生まれ。音楽ライター、音楽雑誌編集長を経て独立。現在は書評家として月間50本以上の書評を執筆。ベストセラー『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社、のちPHP研究所より文庫化)を筆頭に、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)、『読書する家族のつくりかた 親子で本好きになる25のゲームメソッド』(星海社新書)、『書評の仕事』(ワニブックスPLUS新書)、『読書に学んだライフハック――「仕事」「生活」「心」人生の質を高める25の習慣』(サンガ)、『それはきっと必要ない: 年間500本書評を書く人の「捨てる」技術』(誠文堂新光社)、『音楽の記憶 僕をつくったポップ・ミュージックの話』(自由国民社)、『「書くのが苦手」な人のための文章術』(PHP研究所)ほか著書多数。最新刊は『いま自分に必要なビジネススキルが1テーマ3冊で身につく本』(日本実業出版社)。 この著者の記事一覧はこちら

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