2023年02月11日12時00分 / 提供:マイナビニュース
●「一番、やっちゃダメな番組だと思っていた」
福岡放送(FBS)のバラエティ番組『地元検証バラエティ 福岡くん。』(毎週日曜12:35~)のスペシャル版『福岡くん。東京におジャマしますSP』が、FBSと日本テレビの同時ネットで12日(14:00~ ※FBSは12:35から枠拡大)に放送される。
「福岡の醤油」「福岡県民溺愛の駅弁」など、ニッチすぎるローカルネタを検証し、「福岡県民以外は1ミリも面白くない」とまで言い切っている番組だが、日テレが系列局とともに番組を作り上げる「共創プロジェクト」の第1弾として、東京デビューを果たすことになった。
スタッフ全員が青天の霹靂と言っても過言ではない今回の取り組みに、ご多分に漏れず不安を抱えての収録に臨んだのは、MCの斉藤優(パラシュート部隊)と伊藤舞アナウンサー。本番を終えての心境や番組の魅力、そして図らずも東京での仕事が続くことについて、話を聞いた――。
○■小峠担当になった元マネージャーとまさかの再会
――東京進出を最初に聞いたときの感想はいかがでしたか?
斉藤:いや、シンプルに「ウソだ」と思いました(笑)。本当にありがたいことに、福岡ではお年寄りの方から子どもまでみんなで見てるっていう声がめちゃくちゃ入ってくるんですよ。最近あんまり家族でテレビを見るというのがなくなってきてる中で、福岡での体感はすごいんですけど、東京でやるっていうのはまた別じゃないすか。一番、やっちゃダメな番組だと思っていたので。
伊藤:本当にそうですね。
――それはなぜですか?
斉藤:本当に福岡のことしかやらないんですよ。「福岡県民以外は1ミリも面白くない」って言ってるんですから。
伊藤:いまだにドッキリなんじゃないかって、20%くらい思ってます。
斉藤:さっきポスターの撮影があって、その様子をカメラで回してたんですよ。だから、ここで「ネタばらし」かなと思って。それにしても、ゲストがバカリズムさんと小峠(英二)さんというのは、贅沢すぎるなと思って。
伊藤:ドッキリにしては壮大すぎるなと思いつつ。
斉藤:(最初に聞いたとき)マジで普通のテンションで、「なんで?」って聞きましたからね。「日テレさんのほうから面白いと言っていただいた」と聞いても、「本当なのかな?」って。今もどういう経緯でなぜやることになったのか、よく分からずに不安をリュックに入れて飛行機に乗ってきた感じです。
――実際に収録が終わりましたが、いかがですか?
斉藤:すごくいい手応えと、スタッフが肩ぐるぐる回してる感じをバカリズムさんと小峠さんがちゃんと制してくれたんで、ちょうどいい温度にはなってると思うんですけど、放送がどうなっているかは、ちょっと分かんないですね。
伊藤:福岡県で流す番組しか作ってきてないスタッフなので、東京向けに頑張ってはいたものの、大丈夫でしたかね?
斉藤:うちのスタッフ、僕も含めて地元球場じゃなかなか打つバッターなんですけど、極端にアウェーに弱いんですよ(笑)。でも、その辺はゲストのお二方がいいフィルターになって、いい意味でちょっと荒々しくて、優しいという福岡県民や福岡という土地の面白みがお伝えできたのではないかと……でも、こればっかりは分かりません。
伊藤:そうですね。OA当日まで我々もドキドキですよね。ただ、ずっと福岡にいると福岡の中では当たり前っていうことがたくさんあるので、そういうところを今回、東京の方に知ってもらえるというのは、うれしいです。
――バカリズムさんはレギュラー放送にもゲストにいらっしゃっているということですが、小峠さんと共演するのは久しぶりですか?
斉藤:もう僕は20年ぶりですね。元々同じ事務所(ワタナベエンターテインメント)だったんですけど、今はもうテレビで見る立場になりましたから。でも、一緒だった頃は小峠さんが福岡出身だって知らなかったんで、こうやって福岡の番組で一緒になれたのは、すごくうれしかったですね。それと、僕らの元マネージャーが、今小峠さんの担当なんですよ。なんだったら、マネージャーとの再会が、一番感慨深かったです(笑)
伊藤:収録でカメラが止まるタイミングになると、小峠さんが優さんに敬語で話しかけていて、不思議な感じがしました。
斉藤:この番組を東京でやるにあたって、まず皆さんが僕らのことを知らないところからスタートするわけじゃないですか。小峠はワタナベでは後輩だったんですけど、やっぱり知らない奴のほうが敬語を使われるのはややこしいということで、本番では僕から敬語にしたということですね。
○■果敢に攻める街頭インタビュー「僕らもちょっと怖い」
――東京で放送するにあたって、いつもと違う部分はありましたか?
斉藤:福岡でやってるときと全然変わらなかったです。「東京だから…」ってちょっとよそ行きの野球をすることもなく、本当に「味1個」しかできないんだと思いました(笑)
伊藤:東京の方々に街頭インタビューするときも、グイグイ行ってましたよね(笑)
斉藤:東京の人に「どげんですか? 福岡」って言いふらしてる感がすごかったですよね。
―― 一般の方への街頭インタビューは、どれも果敢に攻めるなという印象がありました。
斉藤:そうですよね、僕らもちょっと怖いですもん。ただ、あれは東京だからというアピールではなく、福岡でも「もうせんでいいことする」って感じなんですよ。ジャーナリズム精神って言ったらいいのかもしれないですけど。
伊藤:他の番組だと立ち入らない、もう一歩先まで踏み込んでいるからこそ、『福岡くん。』ならではの目線が生まれたり、福岡県の人たちにも新たな魅力に気づいてもらえたりというところがあると思います。
斉藤:掘っちゃダメなとこまで掘ることがありますからね。本当に僕もいろいろ番組やってるんですけど、ここのスタッフは情熱というか、労力がすごいんですよ。ちょっと取り憑かれたように、「面白いものを作りたい!」っていう思いがあるんで、そういうのが全国に伝わるといいなと思います。
――ロケのVTRは、現場に行って掘って掘ってたどり着く感じがすごかったです。
伊藤:私たちもわりと福岡の情報番組にずっと出ているので、大体のことは知っているはずなのに、毎回知らないことが『福岡くん。』には出てくるんですよ。
――ナレーションも独特のトーンだと思いました。
伊藤:大田こぞうさんという方で、『福岡くん。』の視聴者には、あのナレーションのファンっていう方もかなりいらっしゃるんです。
斉藤:あれも味の1つですね。
●「東京がダメだったら福岡がある」
――斉藤さんが出演されている『ゴリパラ見聞録』(テレビ西日本)が、1月にフジテレビの『ぽかぽか』で紹介されて、生出演された日にはスタジオの前におよそ300人のファンが集まるという出来事がありましたが、それに続いて今回の番組です。東京でも福岡のコンテンツが通用するんだと実感する部分はありますか?
斉藤:いやあ、どっちも降って湧いたような話なんで…。まあ、今日も緊張したんですけど、俺にはダメだったら福岡があるっていう気持ちで、いつでも煙玉投げて逃げる準備をしているので、基本はやっぱ福岡でやっていければと思いますけどね。福岡の番組がこうやって東京で流してもらえるっていうのは本当にありがたいんですけど、なるべく緊張したくないタイプなんで、ほどほどにしてほしいです(笑)。昨日の『めんたいワイド』(福岡放送)のロケが楽しくてしょうがなかったですから。
伊藤:東京と東京の間に『めんたいワイド』が挟まって、ちょうど良かったということですね。
――伊藤アナも、『ヒルナンデス!』(日本テレビ)の「日テレ系女性アナウンサー オシャレ日本一決定戦」で優勝して、「東京ガールズコレクション」でランウェイを歩きましたが、東京での仕事が続きますね。
伊藤:また違う形で日本テレビさんに呼んでいただけるなんて思わなかったです。でも、オシャレで日本一になれた人と、よく分からない不思議なバラエティにセーラー服で登場する人と、同一人物感ないですよね(笑)
斉藤:振り幅がすごいですよね。よくよく考えたら知らない学ラン着てるやつと知らないセーラー服着てる人が、日本テレビのお昼に出てくるなんてすごいことですよ。
伊藤:40前後の2人が(笑)
斉藤:僕は元々東京で活動してたんですけど、その頃は日テレに出れなかったですもん。東京にいたとき出れなかったのに、福岡に来て『福岡くん。』という番組で東京の日テレに出れるなんて、頑張って良かったなというか、人生何がどうなるか分かんないなと思いますね。
伊藤:テレビ出てる人も作る側もそうだと思うのですが、東京で作りたい、東京で流したい、東京で出たいって東京に目を向けていつの日か…って思ってる人はたくさんいるはずじゃないですか。でも、福岡で福岡に目を向けて作っていた番組が、「東京でどうぞ」って言われちゃうんだという驚きがありますよね。
斉藤:みんながそこを目がけて進んでもちょっと失敗したりするじゃないですか。逆に一番離れた遠いとこに行こうとしたら、実はそこが近道だったみたいな。この番組は、マジで東京でやるつもりなかったと思うんです。だから、色気がなくて、福岡県民による福岡県民のための番組がこうなって、逆にカッコいいなとちょっと思いますよね。
――TVerでも流してない番組ですから。
伊藤:そうなんですよ。
斉藤:TVerの人、『福岡くん。』のこと知らないんじゃないですか?(笑)
○■福岡は「嫌なとこがない」、一番の強みは「福岡愛」
――斉藤さんは福岡で活動されて17年ということですが、改めて感じる福岡の魅力はどんなところでしょうか?
斉藤:よく言われるのは、人が優しい、食べ物がおいしい、都会もあって田舎もあるとか、それはもちろんなんですけど、もう嫌なとこがないんですよ。今、福岡は人口がどんどん増えていってるんで、あんまりこれ以上来んといてほしい。僕、福岡に人を呼び寄せるアンバサダーやってるんですけど(笑)
――山梨出身で入社16年の伊藤アナは、福岡の魅力についていかがですか?
伊藤:優さんが言うように、食べ物とかいろんな良さはあるんですけど、一番の強みは福岡県の人たちが福岡のことを大好きだという愛の大きさだと思ってるんです。『福岡くん。』も、福岡愛がそのまま具現化された番組だと思っているので、それが今回、東京に行けて、バカリズムさんから「愛が強すぎる」とは言われたんですけど、やっぱり誇れるところはそこかなと思うので、東京の皆さんに伝わるといいですね。
●斉藤優1978年生まれ、大阪府出身。99年に矢野ペペとお笑いコンビ・パラシュート部隊を結成。06年から拠点を福岡県に移し、現在は『地元検証バラエティ 福岡くん。』のほか、『めんたいワイド』『ナンデモ特命係 発見らくちゃく!』(FBS)、『ゴリパラ見聞録』『ももち浜ストア』(テレビ西日本)などにレギュラー出演する。
●伊藤舞1984年生まれ、山梨県出身。お茶の水女子大学理学部卒業。06年に関東地区の『ケータイおは天』(ウェザーニューズ)などでお天気キャスターを務めたあと、07年に福岡放送入社。現在は『地元検証バラエティ 福岡くん。』のほか、『めんたいワイド』『ARNE』などに出演する。