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『ダウンタウンvsZ世代』各局で昭和特集ブームでも盤石の理由

2023年02月08日11時00分 / 提供:マイナビニュース

●「ヤバイ昭和」は消費され続けているが…
テレビ解説者の木村隆志が、先週注目した“贔屓”のテレビ番組を紹介する「週刊テレ贔屓(びいき)」。第261回は、4日に放送された日本テレビ系バラエティ特番『ダウンタウン vs Z世代 ヤバイ昭和あり?なし?』(19:00~)をピックアップする。

昨年8月13日に「ダウンタウン6年ぶりの日テレ新特番」として放送され、高視聴率を獲得したほか、民放各局の番組制作に大きな影響を与えた大型特番の第2弾。今回も「ヤバイ昭和」で、当時の映像とともに昭和世代とZ世代のトークバトルが予告されていた。

前回放送からの約半年間、「ヤバイ昭和」は他局の番組に消費され続けているだけに、どんな違いを見せたのか。

○■序盤は『あぶない刑事』で手堅く爆笑

浜田雅功のタイトルコールに続いて、最初のテーマである「昭和の暮らし」がスタート。前回同様、昭和45年に放送された『暮らしの豆辞典』の映像が流れ、「賞味期限がなかった」「イチゴスプーン」「鳥型の皮むき器」などが紹介された。派手なものではなくあえて「軽めのあるある」を選んだところに、前回の成功を受けた自信が感じられる。

スタジオトークを挟んで「3色ふりかけ」を紹介し、「バタークリームケーキ」をスタジオで実食。池田美優、ゆうちゃみらがまずそうな顔でリアクションを取り、結局Z世代の判定は「あり2人・なし8人」だった。

続いて「風邪対策」「アポなし突撃の『突撃!隣の晩ごはん』」「蠅帳」「くみ取り式トイレ」「シートベルトはしない」「黒電話のカバー」「ドアノブカバー」「50音別の電話帳」「肝油」「ド派手な霊柩車」を立て続けに紹介。さらに「小学校の体育授業で行われた交通事故対策」としてフラッシュドッジボールや柔道の受け身の映像が流れ、最初の大きな笑いにつながった。中日映画社からの映像提供だったが、制作サイドの目利きが素晴らしい。

次にフィーチャーされたのは、昭和61年放送のドラマ『あぶない刑事』(日テレ系)。「刑事が犯人追跡のためにバイクを強奪し、持ち主が追いかけてくると殴って撃退する」「覚せい剤や麻薬をなめて確認する」などのシーンがピックアップされた。

さらに、「医学的になめるとどうなるのか」を医師に尋ね、「非常に強い味覚障害」などの解説を引き出して笑いを誘う。開始30分で一気にギアをトップに入れてたたみかける編集は日テレの真骨頂であり、視聴者の心をつかんだ感があった。

次に、スタジオでゆうちゃみが昭和のコカ・コーラ自動販売機を実演して「昭和の暮らし」は終了。2番目のテーマ「昭和の子ども」が始まった。
○■ダウンタウン初舞台を再現ドラマで

まず、危険な遊びとして「ぶらさがりシーソー」「回旋塔」を見せたあと、「裸で授業」の映像をピックアップ。教師が裸の理由について「表情が豊かになり、活発になりまして、食欲が出る」と話すコメントをかぶせて笑わせた。

続いて、「パチンコを打つ子ども」「10円ゲーム」「空き瓶探しで小遣い稼ぎ」「ラッセルヨーヨー」を紹介し、スタジオにヨーヨー名人を招いて往年の技を披露。「スーパーカーショー」「火薬のおもちゃ」の映像を見せたあと、スタジオで10円ゲームの「新幹線ゲームII」が実演された。

次に、「ハチに刺されたらオシッコをかける」という当時の習慣が映され、再び医師が「尿は雑菌だらけ」とバッサリ。さらに、「一方、昭和のお父さんは」というナレーションで流れた通勤ラッシュの映像には、電車からはみ出るようにぶらさがったサラリーマンの姿が映されていた。「海外ではなく日本の映像です」というナレーションでオチをつけたが、ローカル独立局のサンテレビから提供を受けた映像であり、ここでもスタッフの仕事が光る。

続けざまに紹介されたのは、昭和40年代に流行った「昆虫採集セット」。注射器や殺虫と腐敗防止の薬剤が問題となって販売中止になったようだが、スタジオのZ世代ジャッジは「あり2人・なし8人」だった。

話題が「昭和の学校」に変わり、映されたのは昭和61年のドラマ『妻たちの課外授業II』(日テレ系)。教師が小学生たちを次々に殴っていくシーンで衝撃を誘ったあと、「天然パーマを証明する頭髪証明書」「制服のプラスチックカラー」「林間学校」などの“あるある”ネタを連続した。

さらに、ダウンタウンが中学2年生のときに初めて同じクラスになり、林間学校での発表会で初ステージを飾ったエピソードをドラマ仕立てで再現。「いかにダウンタウンの昭和時代エピソードを引き出して盛り上げるか」はこの特番のマストテーマであり、今回はここがポイントだったのだろう。

最後に「スパルタ教育」がピックアップされ、昭和のアニメ『巨人の星』『アタックNo.1』が紹介されて「昭和の子ども」は終了した。

●昭和のテレビ好きも納得のチョイス
3つ目のテーマは「昭和のアイドル」。柏原芳恵、早見優と強烈な親衛隊のやり取りを紹介したあと、『ザ・トップテン』(日テレ系)の巨大すぎるセットが次々に映し出された。しっかり尺を取って河合奈保子、田原俊彦、近藤真彦など、さまざまなアイドルの歌唱シーンが見られたが、制作サイドとしては最もアーカイブが充実していて計算できるところなのだろう。

続いて、「無許可で撮った生写真を1枚150円で売る路面店」「ファンレターの送り先として雑誌に自宅の住所を掲載」「出身校や成績表の中身やゴミ袋の中身も掲載」が紹介されたあと、スタジオにレコードプレーヤーが登場。これを「Z世代が使えるのか」が実演されたほか、雑誌付録の定番だったソノシートも用意されるなど細部まで妥協がない。

4つ目のテーマ「昭和の恋愛」では、「花占い」「好きな子の家へ直接行く」「修学旅行の写真をこっそり購入」「セーラー服のスカーフをはみ出して恋人募集中の目印に」「ナンパ島の新島」「憧れの職業・ハウスマヌカン」をピックアップ。

5つ目のテーマ「昭和の婚活」では、「ビデオお見合い」「お見合い風呂」「上から目線のプロポーズ」「嫁入り道具」が紹介され、新沼謙治「嫁に来ないか」、さだまさし「関白宣言」の歌唱シーンが流れた。

さらに、昭和63年放送の『恋々!!ときめき倶楽部』(日テレ)をピックアップ。「ダウンタウンの本格的な東京進出後、初のレギュラー出演」「のちに仕事をする土屋敏男や菅賢治らも関わっていた」と言われる日テレとしては隠し球のような番組であり、昭和のテレビ好きをうならせるチョイスだった。

○■最後に自局バラエティを選ぶ無難さ

残り1時間を切ったところで、川島明が進行役を務める「松本人志の大予言」がスタート。まず1999年の『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』(フジテレビ系)で「携帯電話にカメラがついて芸能人が撮られる時代が来る」というコメントがピックアップされた。

続いて2002年の著書『プレイ坊主』に「暴走族を“珍走団”という呼び方に」と書いたら福岡市のポスターに採用されたことが紹介。さらに、松本自らAIBOの充電方法やリップクリームの形にも影響を与えたことを明かした。

続いて、松本が主演を務めた2000年のドラマ『伝説の教師』(日テレ系)が映され、中居正広とのアドリブ集や劇中のノーカット漫才を紹介。一方の浜田も、三谷幸喜が脚本を務めた1996年放送のドラマ『竜馬におまかせ!』(日テレ系)の映像が流された。これらはいずれも平成の出来事であり、昭和とは無関係。しかし、そんな制作サイドの強引さを感じさせないのは、ダウンタウンが時代の違いなどを無視できるほど突き抜けた存在だからかもしれない。

最後は「昭和のテレビ」というテーマに戻り、昭和50年開始の『目方でドーン!』、昭和48年放送の『火曜スペシャル 引田天功の脱出シリーズ』、昭和32年開始の『ミユキ野球教室』、昭和44年放送の『裏番組をぶっ飛ばせ!』、昭和49年開始の『カリキュラマシーン』を立て続けに放送。いずれもパンチの効いた日テレの番組であり、今の時代では考えられない破天荒さがあった。

これをオープニングでなく、最後に持ってきたのは、「自局の制作で批判を受けるリスクがあるため」なのだろうか。これらのアーカイブは日テレに限らず民放各局の武器だけに、Z世代が『カリキュラマシーン』を「あり6人」「なし4人」でジャッジしたことも含め、もっと前面に押し出してほしいと感じてしまった。

●大衆性では現在トップの特番か
ラストは川島が、昭和61年に放送された『木曜スペシャル 世界ビックリ大賞』(日テレ系)に登場した「世界一爪の長い男」をピックアップ。25年間伸ばしていた爪を「そろそろ自由になりたい」という本人の希望で切ったのに、「なぜか涙を流した」というオチだったが、長すぎる爪の異様な映像はオープニングではなく、エンディングに最適だった。

今回も3時間の長丁場がアッという間に終了。前回同様、テレビ番組でよく見る昭和50~60年代だけではなく、昭和30~40年代の放送もふんだんに盛り込むことで、現在とのギャップを生み出していた。妥協なきリサーチ、映像収集、再現ドラマ制作から、圧倒的な手数の多さを生み出すマンパワーは、「さすが日テレのバラエティ」と思わせられる。

昨夏の第1弾放送以降、「ヤバイ昭和」をフィーチャーした番組は多かったが、ここまでやり切ったものはなく、むしろクオリティの差が際立つ感があった。終始楽しそうな表情を見せるなど、ダウンタウンのノリは前回以上に良く、密度の濃さを見る限りまだまだネタや映像も余力を感じさせられる。「もし他番組が昭和特集で追随しても揺るがないほどの独走状態」と言っていいかもしれない。

前回放送時は「なぜ昭和やZ世代にダウンタウン?」という必然性がそれほど感じられなかったが、今回で「これほど昭和をよく知り、Z世代とのトークに違和感がないのはダウンタウンしかいない」と感じさせられた。笑いという意味ではさておき、「幅広い世代を巻き込む大衆性という意味では現在、日本トップの特番」と言っていいのではないか。

果たして夏の第3弾、そして大みそかの放送はあるのか……そんなウワサ話ですら楽しめることが特別な番組であることの証しだ。

○■次の“贔屓”は――注目度上昇中の「学校かくれんぼ」第3弾!『新しいカギ』

今週後半放送の番組からピックアップする次回の“贔屓”は、11日に放送されるフジテレビ系バラエティ番組『新しいカギSP』(19:00~)。

今回の目玉企画は、「学校かくれんぼ」の第3弾。この企画は昨年11月12日と今年1月14日に放送され、学校で行われるタレントVS学生のゲームバトルが話題を集めた。

新しいカギチームは第1弾で圧勝し、第2弾で完敗と対照的な結果だっただけに、隠れ方の難易度などをどう調整するのか。若年層の視聴者をつかむ上で重要な企画だけに、この段階で掘り下げておきたい。

木村隆志 きむらたかし コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月30本のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組にも出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』など。 この著者の記事一覧はこちら

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