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「2023年冬ドラマ」22作を視聴率無視で独自採点 ドラマ解説者が選ぶ“本当に面白い作品はコレだ”

2023年02月04日19時00分 / 提供:マイナビニュース

●6年のブランクを作った各局に猛省を促したくなる好演
主要22作がそろった2023年の冬ドラマ。今回もドラマ解説者の木村隆志が、主要新作の初回放送をウォッチし、俳優名や視聴率など「業界のしがらみを無視」したガチンコでオススメ作品を探っていく。

別記事(『星降る』『夕暮れ』『100万回』…“silent基準”に挑む大御所たち 2023年冬ドラマ22作の傾向&オススメ5作)において2023年冬ドラマの主な傾向を【[1]“silent基準”に挑む大御所たち [2]オリジナルだからこその“功罪”】の2つと分析。

おすすめドラマとして、『スタンドUPスタート』(フジ系 水曜22時)、『ブラッシュアップライフ』(日テレ系 日曜22時30分)、『ワタシってサバサバしてるから』(NHK 月~木曜22時45分)、『罠の戦争』(フジ系 月曜22時)、『大奥』(NHK 火曜22時) の5作を選んだ。

本記事では、それらを含む全作品のショートレビューと、目安の採点(3点満点)を挙げていく。

『女神の教室~リーガル青春白書~』 月曜21時~ フジ系

出演者:北川景子、山田裕貴、及川光博ほか
寸評:「ロースクール」は法律モノの安定感と若者群像劇の瑞々しさを併せ持つ好バランスな設定。純粋な主人公、対立する同僚教師、問題を抱える生徒などの定番で押す脚本が鮮度に欠け、“青春”感は消化不良か。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

『罠の戦争』 月曜22時~ カンテレ・フジ系

出演者:草なぎ剛、井川遙、杉野遥亮ほか
寸評:前2作より明らかに進化した草なぎの演技と彼を知り尽くすスタッフの力が見事に結集。セリフに頼らず表情や佇まいで勝負できる段違いの存在感を見て、6年のブランクを作った各局に猛省を促したくなった。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆☆】

『ワタシってサバサバしてるから』 月~木曜22時45分~ NHK

出演者:丸山礼、トリンドル玲奈、犬飼貴丈ほか
寸評:自身のSNS以上に突き抜けた丸山の演技は、民放各局ができそうでできないNHKの手柄。アドリブを生かした演出は福田雄一監督を彷彿とさせ、単に笑いを誘われる。「夜ドラ」の新たな可能性を示した。
採点:【脚本☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆☆】

『ダ・カーポしませんか?』 月曜23時6分~ テレ東系

出演者:武田鉄矢、伊野尾慧、観月ありさほか
寸評:もはや“秋元康枠”となった設定勝負のエンタメ枠に「金と命を懸けた運命ゲーム」というテーマがフィット。『カイジ』『イカゲーム』らと比べられるだけに、曲者がそろうキャストの熱演を引き出したい。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆】

『星降る夜に』 火曜21時~ テレ朝系

出演者:吉高由里子、北村匠海、ディーン・フジオカほか
寸評:『silent』直後で設定かぶりは痛恨だったが、そこは大御所の大石静。聴覚障害や手話を特別視せず、主人公たちの背景を描いて恋愛に留まらない人間ドラマに昇華させた。ネット上の反響がもっとほしい。
採点:【脚本☆☆ 演出☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

『夕暮れに、手をつなぐ』 火曜22時~ TBS系

出演者:広瀬すず、永瀬廉、夏木マリほか
寸評:極端な田舎娘や同居恋愛の古典的設定も、コンポーザーや仮面アーティストのトレンド添付も、表面的で深掘りなし。北川悦吏子を制作側がコントロールできていない感が濃い。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆】

『大奥』 火曜22時~ NHK

出演者:冨永愛、中島裕翔、山本耕史ほか
寸評:原作・よしながふみ×脚本・森下佳子の鉄板コンビ。予算も時間も余裕のあるNHKが初めて大政奉還まで描くだけに「反則」レベルか。ジェンダー、権力構図、疫病などを現在に重ねる楽しみもある。
採点:【脚本☆☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆☆】

●竜星涼の滑舌と助演俳優の安定感
『リバーサルオーケストラ』 水曜22時~ 日テレ系

出演者:門脇麦、田中圭、永山絢斗ほか
寸評:『のだめ』との比較は覚悟の上で挑む意欲作。落ちこぼれオケと夢を挫折した元天才の再生…という大筋は同じで予想の範疇を出ない。ただそれでも爽快感が得られ、胸が熱くなるのは音楽ドラマの力だろう。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

『スタンドUPスタート』 水曜22時~ フジ系

出演者:竜星涼、小泉孝太郎、反町隆史ほか
寸評:人間投資家の突き抜けた魅力と、訳アリ人材が成功をつかむ姿が静かな感動を誘う。スタートアップに至る過程や困難のディテールが確かで学びも得られる。竜星の滑舌と助演俳優の安定感が頼もしい。
採点:【脚本☆☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆☆】

『警視庁アウトサイダー』 木曜21時~ テレ朝系

出演者:西島秀俊、濱田岳、上白石萌歌ほか
寸評:これまでのテレ朝刑事モノとは一線を画すコメディ演出に戸惑いが続出。不慣れだからか小ネタも会話の間も笑いとして落ちていかず、肝心の事件や人物背景に関心が行かない。3話からやや盛り返したが…。
採点:【脚本☆ 演出☆ キャスト☆☆ 期待度☆】

『忍者に結婚は難しい』 木曜22時~ フジ系

出演者:菜々緒、鈴木伸之、勝地涼ほか
寸評:伊賀と甲賀の結婚に加えて、与党と野党を絡めた設定が絶妙。忍者居酒屋、忍者ダンス配信などの遊び心も楽しいが、夫婦間のエピソードはステレオタイプか。同じ原作者の『ルパンの娘』とは別次元の作品。
採点:【脚本☆☆ 演出☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

『しょうもない僕らの恋愛論』 木曜23時59分~ 読売テレビ・日テレ系

出演者:眞島秀和、矢田亜希子、中田青渚ほか
寸評:どこにでもいる不器用な男女がすれ違いを越え人生を動していく…切なく優しい世界観は原作漫画を手がけた原秀則らしく、90年前後のムードが漂う。ヒロインの中田が不思議な魅力を放ち、物語をけん引。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

『100万回言えばよかった』 金曜22時~ TBS系

出演者:井上真央、佐藤健、松山ケンイチほか
寸評:なぜ幽霊という使い古された設定を選んだのか。TBSは入れ替わり、乗り移り、タイムスリップとベタばかりで脚本家・安達奈緒子の持ち味は限定的に。俳優と演出の力で見応えを生み出しているだけに残念。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

『リエゾン―こどものこころ診療所―』 金曜23時15分~ テレ朝系

出演者:山崎育三郎、松本穂香、栗山千明ほか
寸評:発達障害を抱える児童精神科医と研修医、生きづらさを持つ子どもと親。どちらにも苦しさがあるからこそ、まっすぐで温かい関係性が育まれ、涙を誘われる。自然あふれる病院そのものが理想郷のよう。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

●凡庸な設定を忘れさせる高品質で緻密な脚本
『今夜すきやきだよ』 金曜24時12分~ テレ東系

出演者:蓮佛美沙子、トリンドル玲奈、鈴木仁ほか
寸評:テレ東グルメドラマの中でも物語寄りの作品。むしろグルメより恋愛体質とアロマンティック、仕事と家事、感情的と抑制的の対比がメインで共感度は高め。2人の距離感が現代的で、憧れる人もいるはず。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆】

『探偵ロマンス』 土曜22時 NHK

出演者:濱田岳、石橋静河、草刈正雄ほか
寸評:『カムカム』チームが描く江戸川乱歩誕生秘話。NHKしかできないレトロな世界観に加えて、笑い、涙、アクション…エンタメを詰め込んだが、登場人物が渋滞気味で物語を追うことが難しい大人の作品。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

『大病院占拠』 土曜22時~ 日テレ系

出演者:櫻井翔、比嘉愛未、渡部篤郎ほか
寸評:大病院を武装集団が占拠…『SP』などで見た設定だが、色違いの鬼仮面で“少年向け”のムードに。なぜか不死身の主人公、爆破や転落シーン、犯人の目的など、シリアスではなくツッコミベースで見る作品。
採点:【脚本☆☆ 演出☆ キャスト☆☆ 期待度☆】

『ハマる男に蹴りたい女』 土曜23時~ テレ朝系

出演者:藤ヶ谷太輔、関水渚、京本大我ほか
寸評:元エリートとズボラ女子、最悪の出会い、一つ屋根の下での生活…これぞ女性向け漫画の実写版。藤ヶ谷が家事をする姿と、関水とのキュン描写でどこまで突き抜けるか。もう少し深夜帯のほうが映えそう。
採点:【脚本☆ 演出☆ キャスト☆ 期待度☆】

『6秒間の軌跡~花火師・望月星太郞の憂鬱』 土曜23時30分~ テレ朝系

出演者:高橋一生、橋爪功、本田翼ほか
寸評:こちらも幽霊。舞台共演で意気投合した高橋+橋爪の二人芝居は味わい深いが、幽霊以上に浮いてしまう本田の扱いが難しい。橋部敦子の脚本も得意ジャンルで万全だが、古典的な演出が感動を薄めている。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

『三千円の使いかた』 土曜23時40分~ 東海テレビ・フジ系

出演者:葵わかな、山崎紘菜、中尾ミエほか
寸評:深夜ドラマらしからぬお金がテーマの作品だが、女性優位の目線から描くことで軽やかな作品に。3世代家族のエピソードは等身大で見やすい反面、もう少し葛藤や節約ノウハウを丁寧に描いてほしい。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

『Get Ready!』 日曜21時~ TBS系

出演者:妻夫木聡、松下奈緒、藤原竜也ほか
寸評:あえて『ブラックジャック』を匂わせつつカラフルな堤幸彦演出を交えて「医療ドラマの間口を広めよう」という意図は鮮明。ただどちらも過去の栄光をベースにした守りのプロデュースだけに話題性は低い。
採点:【脚本☆ 演出☆ キャスト☆☆ 期待度☆】

『ブラッシュアップライフ』 日曜22時30分~ 日テレ系

出演者:安藤サクラ、夏帆、木南晴夏ほか
寸評:深夜帯に多い「生き直し」の設定こそ凡庸だが、バカリズムの脚本はそれを忘れさせる高品質。「徳」の積み方から、女優3人のトーク、役所→薬剤師→ドラマ班の職変遷、週替わりの選曲まで全てが緻密。
採点:【脚本☆☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆☆】

木村隆志 きむらたかし コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月30本のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組にも出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』など。 この著者の記事一覧はこちら

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