2023年02月04日18時00分 / 提供:マイナビニュース
●『ザ・ノンフィクション』で知った日本最高齢のストリッパー
女優の本仮屋ユイカが、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、5日・12日に2週連続で放送される『私が踊り続けるわけ2 ~56歳のストリッパー物語~』。日本最高齢と言われるストリッパー・星愛美さん(56)とそのファンたちを追った作品だ。
2021年2月7日放送回の続編となる今作。前回もナレーションを担当して感銘を受けたという本仮屋は、すぐさま愛美さんのステージをプライベートで見に行ったそうで、「“女性の体は、こんなに美しいんだ!”という驚きがありました」と感動を語る――。
○■がんで余命宣告を受けたファンのために満身創痍でも…
愛美さんを全国各地に追いかける熱心なファンたちは「星組」と呼ばれ、彼女を応援することがきっかけとなり、互いを支え合う“ファミリー”のように強い絆で結ばれている。そんな「星組」の中心メンバー、元警察官のスーさんは、ふらりと入った劇場で愛美さんと出会うと、全身全霊で舞台に立つ姿にすっかり心を奪われ、応援に駆けつけるようになった。
しかし、がんを患い、余命宣告を受けたスーさん。生きている限り愛美さんの舞台を見続けると決意し、全身の痛みに耐えて全国を巡っている。一方の愛美さんも、がんにより子宮を全摘出して体中に痛みが絶えず、股関節も悲鳴を上げていた。それでもスーさんが劇場に足を運んでくれる限り踊り続けると誓うが、スーさんとの連絡が途絶えてしまう…。
○■“賛歌”を浴びる気持ちになるパフォーマンス
前回のナレーション収録後、初めてストリップ劇場を訪れたという本仮屋。「男性のお客様がたくさんいらっしゃるので、最初は場違いだと思って緊張してたんですけど、ショーが始まると踊っていて美しいのは愛美さんなのに、私が自分の誇りを取り戻すような気持ちになって、その前の緊張を一切忘れました。同じ人間で女性として生まれて、いろいろ個体差はあるけど、同じものを持っているんだと思ったら、生きていることがすごくうれしくなったんですよね。ストリップってこんなに生きることの歓喜を表現しているんだという発見がありました」と振り返る。
星組には女性ファンも多いが、その理由を肌で感じたようで、「愛美さんと自分はこんなに違うのに、私自身が肯定されて、『良かったねー、元気だよー、生きてるよねー』と“賛歌”を浴びているような気持ちになるパフォーマンスをされるんです」と力説。
また、愛美さんのパフォーマンスを生で見たことで、「映像からでも、愛美さんの優しくて誠実なお人柄を知っていたつもりだったんですけど、踊るまなざしや指先、ご自身で用意された小道具や衣装、そのすべての端々から、彼女の愛と感謝があふれ出ていて、“なんてすごい人なんだろう!”と思って圧巻でした。本当に素晴らしかったです。この番組で巡り会えていなかったら、直接足を運んで見ることもなかった人生だったと思うので、本当に感謝しています」と興奮気味に話した。
完全に一般客として訪れたため、愛美さんや星組の人と挨拶を交わすこともなかったのだそう。前回の放送に対して、当人たちがどんな感想を持っていたのか気になっていたが、今回の収録前に、番組を気に入ってくれていたという話をディレクターから聞いて、「ああ、良かったなあと思いました」と安堵したそうだ。
●「奇跡的にナレーションをやらせていただけた」
今回、再びナレーションのオファーを受けたが、スケジュールの都合で担当できないおそれがあった。それでも、「この作品に関わってくださった皆さんのおかげでかなうことができて、奇跡的にナレーションをやらせていただけたので、こうやって声を入れることができて、本当にうれしいです」と、喜びもひとしおだ。
それだけ思い入れが強い作品だけに、読むにあたっては“距離感”を考えたという。
「ここまで自分を重ねて愛美さんを応援しちゃってるから、その姿勢は良くないかなとディレクターさんに確認したら、『そのままの思いを全部投影して大丈夫です』と言っていただいたので、愛美さんを愛する気持ち、星組の方を尊敬する気持ち、そして自分自身を表現することに対しての誇りや、自分がファンの皆さんに思っていることとか、本仮屋ユイカとして感じる思いも、たくさん入れさせていただきました。ただ、『(スタッフに)ナレーションでそこまで気持ちを入れなくてもいいです』と言われたのは初めてです(笑)」
○■収録中に何度も涙「自分も“ミニ星組”だと思って」
収録に向けて、読みの練習をした際、「あまりにも感動して、『これ、本番で読めるのかな…』と思うくらい泣いてしまったんです」と心配を抱えながら臨み、実際に本番中は何度も涙があふれてしまった。
しかし、「その悩みを全部取ってくれたのも愛美さんの姿でした」といい、「愛美さんは何かを見つめているとき、それしか目に入っていないような目の輝きがあるから、一瞬も目が離せないんです。真っすぐさとさらけ出す勇気を持っていて、かつ人の心に寄り添える愛情の深さが、美しさになっているんだと思います」と分析。涙で収録が中断してしまうことはなく、「星組の皆さんの熱量の足元にも及びませんが、自分も“ミニ星組”だと思って、気持ちを込めて読みました」と手応えを語った。
2年ぶりに愛美さんの映像を見て、「また愛美さんのショーを見に行きたいです」という本仮屋。だが、実際に対面するのは、「あんなに命を削っている愛美さんのまなざしを頂くことは申し訳ないので、またひっそり見て帰りたいと思います(笑)」と恐縮しながら、「私のこの熱い思いは、ラブレターとしてナレーションに込めているので、きっと放送で受け取ってもらえると思います」と願っている。
●本仮屋ユイカ1987年生まれ、東京都出身。99年『わくわくサイエンス』(NHK)で芸能界デビュー。01年のドラマ『3年B組金八先生』(TBS)などの演技で注目を集め、05年NHK連続テレビ小説『ファイト』のヒロインに選ばれる。映画・ドラマのほか、『王様のブランチ』(TBS)で情報バラエティのMCも担当した。近年の出演作は『私の夫は冷蔵庫に眠っている』(テレビ東京)、『愛しい嘘~優しい闇~』(テレビ朝日)など。21年から「ゆいか」名義で歌手活動をスタート、現在は『地方創生プログラム ONE-J』(TBSラジオ)のパーソナリティも務める。