2023年02月09日09時00分 / 提供:マイナビニュース
●社会的課題の解決がイノベーションにつながる
市場を取り巻く環境が日々めまぐるしく変化する今、製造業の多くが「良いものを安く」から「価値を価格に変える」という方向に発想を転換し始めているという。これを具現化していく上で避けては通れないのがDXであることはもはや言うまでもない。とは言え実際、製造業はDXとどのように向き合っていけばよいのだろうか。
1月19日に開催された「TECH+セミナー 製造業DX Day 2023 Jan. デジタルがものづくりにもたらすもの」に、京都大学 経営管理大学院 客員教授で、オムロン イノベーション推進本部 シニアアドバイザーの竹林一氏が登壇。「ものづくり企業の未来をデザインする」と題して、製造業のDXにおいて、未来を見据えて考えるべきことや、育成すべき人材について解説した。
○社会的課題の解決がイノベーションにつながる
講演冒頭で竹林氏は、DXのベースになるのがイノベーションであり、実現するには「イノベーションとは何か」という組織全体の共通認識が必要になると語った。オムロンにおいては、イノベーションとは「社会的課題の解決」だと定義されているという。同社がこれまで開発してきた製品やシステムには世界や日本で初となったものが数多くあるが、それらは全て社会的課題を解決すべく世に送り出したものだと同氏は強調する。
例えば、1964年に開発した全自動感応式電子信号機は、当時の社会的課題である交通渋滞を解決するためのものであったし、1967年に開発した自動改札による無人駅システムは、高度成長期における駅員の負担を軽減することが目的だった。いずれも常に社会的課題の解決をベースとしてビジネスを展開してきたのだ。
「社会的課題を1つ解決すると、イノベーションが1つ起きているのです」(竹林氏)