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ZrO2を用いた光触媒がCO2を選択的に燃料化できる仕組みを解明、千葉大

2023年01月30日16時06分 / 提供:マイナビニュース


千葉大学は1月27日、酸化ジルコニウム(ZrO2)とニッケル(Ni)からなる光触媒を用いた二酸化炭素(CO2)光還元反応の機構を検討した結果、ZrO2表面で酸素原子を失ったサイト(以下、□サイトと表記)がCO2を捉え、紫外可視光の力で一酸化炭素(CO)に変え、COをNiに受け渡してメタン(CH4)を生成することを明らかにしたと発表した。

同成果は、千葉大大学院 融合理工学府の原慶輔大学院生、同・平山瑠海子大学院生、同・大学院 理学研究院の二木かおり助教、同・泉康雄教授らの研究チームによるもの。詳細は、米国化学会が刊行するナノ・低次元・バルク材料の物理化学を扱う学術誌「The Journal of Physical Chemistry C」に掲載された。

カーボンニュートラルへの関心が高まる昨今、CO2を吸収して再資源化するための研究が世界中で進められている。その際に注意すべきは、再資源化のためのエネルギーを生み出すのにCO2を発生させてしまっては本末転倒だということだ。そのため、そのプロセスには再生可能エネルギーを用いる必要があり、また燃料に戻す過程で必要な化学反応を起こすための薬品や機器などが、可能な限り安価である必要もある。

太陽光発電は、再生可能エネルギーの代表的存在だ。地球が太陽から受け取っている光エネルギーは全放射量に比べるとわずかだが、それでも1時間あたりの総量は、人類が1年間に消費する全エネルギーに匹敵するほどである。つまり、人類は地球に届いている分の大部分を活用できていないことになる。また、日本で導入が進む現行の太陽電池は、重量があって固く、設置場所が限られてきているとされる。そうしたこともあり、太陽光をさらに有効活用する手段の1つとして、光反応システムのさらなる効率化が求められていた。

研究チームはこれまでの研究で、ZrO2とNiとを組み合わせた光触媒として、CO2から光触媒1グラムあたり毎時0.98mmol(ミリモル)のCH4を生成する、世界最高レベルの触媒活性を開発することに成功している。しかしその開発の中で、ZrO2を用いた時はCO2からCH4が選択的に得られるのに対し、酸化チタン(TiO2)や酸化亜鉛(ZnO)を用いた時には不純物からのCH4が多く見られる点が、大きな謎になっていたという。そこで研究チームは今回、その謎の解明を目指すことにしたとする。


同研究ではまず、CO2を捉える役割を持つZrO2表面の□サイトの濃度が求められた。炭素の安定同位体13Cで標識した13CO2の光還元反応試験の後、真空にして12CO2を入れることで、□サイトに吸着した13CO2が脱離する様子を観察。その脱離する速度は非常に遅く、□サイトの濃度は1nm四方あたり0.96個と求められたとした。

次に、□サイトに吸着したCO2がどのように反応するか、シミュレーションを用いた分析を行い、光触媒やCO2に含まれる電子のエネルギーや分布についての式を解いたという。その結果、CO2はまず□サイト上に捉えられ、次に水素(H)原子と反応してOCOHとなり、四角形状に変形。さらに、□サイトに水酸基(OH)が入り込むと同時にCOが生成され、このCOがZrO2表面の□サイトから近くのニッケルに移ることで、メチン、メチルを経てメタンが生成されることが判明した。

触媒として進むためには、上述した反応サイクルが繰り返されることが条件となる。そしてO原子がH2Oとして抜けるには、本来は5.6eV(エレクトロンボルト)のエネルギーが必要だが、ZrO2の□サイトにCO2が吸着すると3.9eVの熱が出るため、実質1.7eVを与えるだけでH2Oが抜け、□サイトが再生されることが確認され、このことがポイントとなっていた(なお、TiO2、ZnO、CuxO(x=1,2)では1.7eVよりも大きなエネルギー供給が必要)。つまり、ZrO2のみでCO2光燃料化が進む鍵は、この3.9eVのエネルギー供給により□サイトが再生されることにあったのである。

研究チームは、今回解明された反応経路や有効なサイトの情報を基に、さらに有効なCO2光燃料化、あるいはCO2光資源化(光エチレンや光プロピレン)反応設計が可能になり、再生可能社会への実用化が期待できるとした。

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