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【免税事業者向け】インボイスは導入すべきなのか? 第3回 登録申請から登録までの具体的な流れ

2023年02月02日11時00分 / 提供:マイナビニュース

インボイス発行事業者の登録制度は、インボイス制度で新たに設けられた制度です。このインボイス発行事業者の登録申請は2021年10月から受付が開始され、すでに約199万件(2022年12月末現在)の事業者が登録をしています。

消費税の課税事業者は「2021年3月31日までに終了した課税期間の消費税申告件数」によると、約317万件です。現状は課税事業者から登録が進んでいると考えると、課税事業者の約63%が登録を済ませているということになります。

課税事業者でもまだこれくらいの登録割合ですから、免税事業者の方がインボイス発行事業者になることを決めてその登録申請をするのは、これから本格化するのではないでしょうか。今回はインボイス発行事業者の登録申請方法や免税事業者への経過措置についてみていきましょう。
インボイス発行事業者登録申請の仕組みと経過措置
登録申請から登録までの流れ

インボイス発行事業者の登録を受けるためには「適格請求書発行事業者の登録申請書」(以下「登録申請書」)を納税地の所轄の税務署長へ提出する必要があります。なお、書面で郵送する場合は税務署宛ではなく、各国税局のインボイス登録センターに送付することになります。また、国税電子申告・納税システム(e-Tax)を利用して登録申請データを送信することもできます。

その後、提出を受けた税務署長による審査を経て、インボイス発行事業者の登録を受けることになります。「登録申請書」を提出した事業者には登録番号などが「適格請求書発行事業者の登録通知書」により通知されます。また、インボイス発行事業者として、その氏名または名称や登録番号などの情報が国税庁の「インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト」に公表されます。
免税事業者への発行事業者登録の経過措置

インボイス発行事業者になれるのは課税事業者だけです。免税事業者が課税事業者になるには、本来課税事業者となる事業期間の初日の前日、つまり前事業期間の末日までに「消費税課税事業者選択届出書」(以下「課税事業者選択届出」)を提出する必要があります。

しかしインボイス発行事業者の登録制度では、免税事業者は「課税事業者選択届出」を提出しなくてもインボイス発行事業者になれる経過措置が設けられています。具体的には、免税事業者が2023年10月1日から2029年9月30日までの日の属する課税期間中にインボイス発行事業者の登録を受けることとなった場合には、その登録日から課税事業者となることができます。

[図1]は免税事業者である個人事業主が2023年10月1日に登録を受けるために2023年3月31日までに「登録申請書」を提出し、2023年10月1日に登録を受けた場合を図で示したものです。

免税事業者が2023年10月1日にインボイス発行事業者になるために、事前に課税事業者となる場合、個人事業主であれば「課税事業者選択届出」の提出期限は2022年12月末日となります。本来であれば、それまでに課税事業者になる判断をする必要があります。

しかし、上記の経過措置により事前の「課税事業者選択届出」なしでも、原則2023年3月31日までにインボイス発行事業者の登録申請を行えば良いことになります。この経過措置を利用する場合は、インボイス発行事業者の登録日から課税事業者になります。

なお、2023年3月31日までに登録申請することができなかった場合、できなかった理由について「困難な事情」を記載して2023年9月30日までに登録申請すれば2023年10月1日に登録を受けたものとみなされる猶予措置が設けられています。2023年度税制改正大綱では、インボイス制度への準備があまり進んでいない状況を考慮してさらに柔軟な対応が追加され「困難な事情」を記載しなくても良いことになりました。

免税事業者の方がインボイス事業者になるかどうかの決断がつかず、2023年3月末までに登録申請できない場合はこの2023年4月以降の期間をうまく使って適切な判断ができるようにしていきましょう。
簡易課税制度を選択するかどうかの検討と「2割特例」

免税事業者の方がインボイス発行事業者登録の経過措置を利用する場合、登録日の属する事業期間中([図1]の例では2023年10月1日~2023年12月31日)にその事業期間から簡易課税制度の適用を受ける旨を記載した「消費税簡易課税制度選択届出書」(以下「簡易課税選択届出書)を、納税地を所轄する税務署長に提出した場合には、その事業期間の始まる前日に「簡易課税選択届出書」を提出したものとみなされ、簡易課税制度の適用を受けることができます。

そのため免税事業者の場合、インボイス発行事業者の登録申請と併せて納税計算を簡単にするため「簡易課税選択届出書」を提出することが一般的になっているようです。

2023年度税制改正大綱では、免税事業者がインボイス発行事業者になり課税事業者となった場合の激変緩和措置として、消費税の納税額を課税売上で預かった税額の20%とする「2割特例」が設けられました。2割特例は届出なしで適用でき、簡易課税制度を選択しているかどうかは関係ありません。

この2割特例や簡易課税制度など消費税の納税に関することは、以降の連載で詳しく解説しますが、2割特例を適用することを前提に考えると、まずはインボイス発行事業者になるかどうかの判断と登録申請を優先しましょう。
インボイス発行事業者の登録申請を簡単に済ませるには

インボイス発行事業者の登録を受けるために作成・提出する「適格請求書発行事業者の登録申請書」は2頁で構成されています。[図2]はその1頁目です。

2頁目も含めて記入しなければならない項目はさほど多くはありませんが、どうしても法律用語が多いため実際に作成しようとすると、書き方をじっくり読み、分からない言葉を調べたりと意外と手間がかかります。そのため、申請書をみただけで後回しにされる方も多いのではないでしょうか。

そういう方のために、freee株式会社では無料で利用できる「freeeインボイス登録申請ナビ」をご用意しています。分かりづらいところもやさしい解説がついていますので、安心して申請書を作成することができると、ご利用いただいたお客様にも好評をえています。

インボイス発行事業者になると決めたら早めに登録申請することが大事です。インボイス制度が始まる2023年10月1日にインボイス発行事業者になるための登録申請の最終期限までは時間がありますが、すでにインボイス発行事業者になると決めているのであれば原則である2023年3月31日を目処に登録申請していきましょう。「freeeインボイス登録申請ナビ」を利用して、早めに登録申請しましょう。

次回はインボイス事業者として準備すべきことをみていきます。

中尾 健一 なかお けんいち プロダクトマネージャー 1982年、日本デジタル研究所 (JDL)入社。40年以上にわたって日本の会計事務所のコンピュータ化をソフトウェアの観点から支えてきた。2009年、税理士向けクラウド税務・会計・給与システム「A-SaaS(エーサース)」を企画・開発・運営するアカウンティング・サース・ジャパン(その後Mikatus株式会社に社名変更)に創業メンバーとして参画、取締役に就任。現在は、freee株式会社で税理士向けシステムのプロダクトマネージャーを努め、その観点から中小企業に影響を与える社会の変化について解説する。 この著者の記事一覧はこちら

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