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近未来テクノロジー見聞録 第296回 原料は虫の糞! 無限大の可能性が広がるお茶「虫秘茶」とは?

2023年01月22日08時03分 / 提供:マイナビニュース

京都大学で昆虫の研究を行う大学院生の丸岡毅氏は、ユニークなお茶の研究をしている。それは、"虫の糞から淹れたお茶"。その名も「虫秘茶(ちゅうひちゃ)」だ。では、このお茶はどういったものだろうか。そして、どのような魅力があるのだろうか。今回は、こんな話題について紹介したいと思う。
虫の糞からお茶を淹れた、そのきっかけとは?

京大大学院 農学研究科の丸岡毅氏は、「科学生態学研究室」に在籍し、昆虫と植物の関係性に関する研究を行ってきたという。そんな彼が着想したことから開発されたのが、虫の糞から淹れたお茶の虫秘茶だ。このお茶については現在、特許の出願やクラウドファンディングでの販売などが行われている。

とてもインパクトの強いお茶だが、丸岡氏はなぜ、虫の糞から淹れたお茶に気がついたのだろうか。彼は、研究室の先輩がとってきたマイマイガを育てることになり、桜の葉を餌としてあたえていたところ、その糞からとても良い香りがすることに気がついたという。そしてすぐに給湯室に向かってお湯を注いだところ、桜のいい香りがしておいしかったというのだ。そこから彼は、お茶として活用できると直感したのだという。

丸岡氏の好奇心はこれだけにとどまらない。その後は桜の葉以外にも、リンゴの葉やどんぐりの葉をマイマイガに餌として与え、その糞を集めてお茶を淹れてみたとのこと。するとやはり、香りもよくおいしく味わえたという。ちなみに彼は、そのようなエピソードを自身のnoteでも語っている。
虫秘茶は紅茶と同じプロセスで生産されている?

では、虫の糞から淹れるこの虫秘茶について詳しく見ていこう。同製品は、植物を食べた虫の糞から淹れたお茶。つまり、植物の葉が虫の体内で消化されて出てきたものだ。そして実は、消化というのは発酵とほぼ同じ仕組み。この発酵というプロセスは一般的な中国茶や紅茶と同じ原理であり、美味しいお茶の生産に用いられる工程だ。また、虫と餌にする植物の葉の種類は組み合わせが無限大なため、糞から生み出されるお茶の香りや味も同じく無限大とのことだ。

虫秘茶の生産から地方創生へ

丸岡氏によると、この虫秘茶は販売だけを考えて開発・生産されているわけではなく、お茶のサプライチェーン、さらにはもう少し広義に捉えて生態系まで踏み込んだ発想をしている。地球上には約27万種類の植物が存在し、虫は蛾だけでも約16万種類がいるが、これらはまだ未開拓・未利用の資源だ。彼はこれらをうまく利用することで、お茶の多様性を広げられるとする。そして、虫や植物には「地域性」があるという。つまり、地方創生といった観点でもメリットがあるのだ。そしてさらに噛み砕いて言えば、虫秘茶の先には新産業の創出が見えているのだ。丸岡氏の知的さや発想力には驚かされる。

いかがだったろうか。虫の糞のお茶というユニークさとインパクトの強さにとても心惹かれるのだが、それに加えて、サプライチェーン全体の最適化や生態系のサステナビリティまで考えている構想にも驚く。ぜひクラウドファンディングサイトから虫秘茶を購入してみてはいかがだろうか。

齊田興哉 さいだともや 2004年東北大学大学院工学研究科を修了、工学博士。同年、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に入社し、2機の人工衛星プロジェクトチームに配属。2012年日本総合研究所に入社。官公庁、企業向けの宇宙ビジネスのコンサルティングに従事。 現在は、コンサルティングと情報発信に注力。書籍に「宇宙ビジネス第三の波」、「図解入門業界研究 最新宇宙ビジネスの動向とカラクリがよ~くわかる本」など。テレビ、新聞、Webサイト、セミナー・講演も多数。 この著者の記事一覧はこちら

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