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グアーガム分解物の摂取がやる気維持に関与する可能性 太陽化学などが報告

2023年01月18日20時42分 / 提供:マイナビニュース


太陽化学と摂南大学の両者は1月17日、健常成人の腸内環境およびメンタルヘルスに対する、グアー豆から作られた水溶性食物繊維「グアーガム分解物」(PHGG)の有効性について検証したところ、同分解物の1日3gの摂取が腸内細菌叢に好影響を与えることを解明し、併せて同分解物が睡眠の質を改善すること、仕事や勉強に対するやる気の維持にも関与することを発見したと発表した。

同成果は、太陽化学、摂南大 農学部応用生物科学科の井上亮教授、栄養・病理学研究所、京都府立医科大学 寄附講座「生体免疫栄養学(太陽化学)講座」の内藤裕二教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、日本酸化ストレス学会の刊行する医学関連の欧文学術誌「Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition」に掲載された。

生物の進化の歴史をたどると、腸は脳よりも先に誕生しており、神経が張り巡らされていることから「第2の脳」と例えられる。かつて体内の臓器は、脳を司令塔とするトップダウン型の支配構造的なものとして考えられていたが、近年の研究では、臓器と脳は情報をやり取りして相互に影響を与えることがわかってきている。

中でも脳と腸の関係は深く、腸内環境が身体の健康だけでなく、心の健康の維持にも重要な役割を果たすことが明らかになりつつある。この脳と腸の関係は「脳腸相関」と呼ばれて注目されており、過労やストレスからメンタルヘルスを損なう人が増えている現代社会では、心の健康を維持するため、脳腸相関の改善をターゲットとする食品も登場している。

PHGGとは、インドやパキスタンなどでよく食べられるグアー豆から作られた水溶性食物繊維だ。この食物繊維については、これまでもさまざまな研究において優れた腸内環境改善作用が示されているが、メンタルヘルスへの有効性については十分に検証されていなかったという。そこで研究チームは今回、PHGGによる腸内環境の改善を介したメンタルヘルスへの有効性について調査を行うことにしたとする。またそれと同時に、1日あたり3gという、これまでの臨床試験と比較すると少ない摂取量でも、腸内細菌叢に影響を与えるのかという点も検証したとする。


同実験では、60名の健常者をプラセボ群(PHGG非摂取群)、PHGGを1日に3g摂取する群(3g/日摂取群)、5gを摂取する群(5g/日摂取群)の3群に分け、ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間試験を実施した。被験者は8週の間、プラセボもしくはPHGGを毎日継続して摂取し、腸内細菌叢・排便状況・便成分・身体検査・メンタルヘルス(睡眠や意欲など)に与える影響の検証が行われた。

まず腸内細菌叢については、プラセボ群と比較して、摂取した2つの群では短鎖脂肪酸産生に寄与する菌が増加し、ムチン分解および炎症への関与が示唆される菌の増殖が抑制されるなど、腸内細菌叢に良い変化が認められたという。中でも5g/日摂取群では、プラセボ群に比べて排便頻度が増加し、排便のすっきり感が改善するなど、便通改善作用が確認されたとした。

そしてメンタルヘルスに関しては、試験期間中は新型コロナウイルス感染症が急拡大していた時期であり、ストレスを感じやすい状況だったためか、摂取開始4週後に全群においてスコアが低下したという。摂取開始8週後には全群でスコアが回復したが、プラセボ群よりもPHGGを摂取した2群の方がスコアが改善する傾向にあったとする。特に5g/日摂取群に関しては、「目覚めのすっきり感」、「起床時の疲労感」、「仕事や勉強に対するやる気」のスコアにおいてプラセボ群に比べて有意な改善が確認されたとした。

今回の研究により、PHGGの摂取によって健常者の腸内環境が良好に維持され、睡眠の質の改善、仕事や勉強に対するやる気の維持などが確認された。これらのことからPHGGは、腸内環境改善を介してメンタルヘルスに寄与する可能性が示されたとする。また、1日3gのPHGG摂取でも腸内細菌叢に良い影響を与えることも判明した。

研究チームは今後、詳細なメカニズムの解明を目指して、より大規模な試験が望まれるとしている。また併せて、PHGGは腸内環境改善だけではなく心の健康の維持にも活用できることが期待されるとした。

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