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阪大、かに星雲のガンマ線フレアの原因が磁気リコネクションによる可能性を確認

2023年01月17日20時30分 / 提供:マイナビニュース


大阪大学(阪大)は、米ロチェスター大学のOMEGAレーザーおよび米ローレンスリバモア国立研究所のTITANレーザーを用いてレーザー宇宙物理実験を実施して地上に強磁場を生成し、その磁場が変形する現象である「磁気リコネクション」を起こし、その結果として電子が高速に加速されることを発見したと発表した。

同成果は、阪大 レーザー科学研究所の藤岡慎介教授、阪大 理学研究科 物理学専攻の瀧澤龍之介大学院生のほか、ロチェスター大とローレンスリバモア国立研究所に加え、米・プリンストン大学、米・ロスアラモス国立研究所、米・ミシガン大学、米・メリーランド大学、ルーマニア・極限光施設原子核物理研究所、ルーマニア・ブカレスト大学、フランス・エコールポリテクニークの計約30名の研究者が参加した国際共同研究チームによるもの。詳細は、英科学誌「Nature」系の物理学全般を扱う学術誌「Nature Physics」に掲載された。

人類が有する最先端の技術を駆使しても到達できないほどの超高速まで加速された電子が、宇宙では多数確認されている。その超高速電子を生み出すメカニズムを説明するための理論やモデルが複数提唱されているが、まだ解明することができていない観測結果も複数あるという。

その説明不能な現象の1つが、おうし座の方向におよそ6500光年の距離に存在する、西暦1054年に出現した超新星の残骸である「かに星雲」におけるガンマ線フレアだという。

既存の粒子加速機構およびガンマ線放射機構では説明がつかない未解決の問題とされる中、磁力線がつなぎ替わる(リコネクションする)現象である磁気リコネクションが宇宙における加速機構として近年注目されるようになってきたという。同現象によって、磁場のエネルギーの一部が電子のエネルギーに移ることは、以前から知られていたものの、どこまで電子を加速させることができるのかまでは不明だったという。そこで研究チームは今回、地球の磁気圏やかに星雲と相似な状態を実験室で再現し、そこから加速される電子のエネルギーを直接観測することにしたとする。


今回の研究の責任者である、阪大レーザー科学研究所の藤岡教授らは、微小空間において短時間ではあるが、キロテスラ級の非常に強い磁場を発生できることを2013年に発表済み。国内最大のレーザー装置である同研究所の「激光XII号レーザー」を用いて、レーザーをキャパシター・コイル・ターゲットと呼ばれる磁場発生装置に当てることでそれを実現した。

そこで今回は、その強磁場発生技術を磁気リコネクション用に改良。プラズマの圧力よりも磁場の圧力の方が大きい、「磁場駆動型リコネクション」を実験室で起こすことを目指して開発を進め、実験を行ったところ、無事に成功となり、その結果、電子が高エネルギーにまで加速されることが確認され、かに星雲のガンマ線フレアを引き起こす電子の超高加速が、磁気リコネクションによって起こっている可能性が示されたという。

また、磁気リコネクション中のプラズマの温度と密度の同時計測が行われ、それらがコンピュータシミュレーションと比較されたところ、磁気リコネクションによる加速機構の中でも、「直接電場加速」が最も有力な加速機構であることが示されたという。

なお、今回のような宇宙における加速機構を理解することは、それを応用した革新的な粒子加速器の発明につながる可能性があると研究チームでは説明している。

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