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ホップ由来のビールの苦味成分が注意力を向上させる! 慶大とキリンが確認

2023年01月17日16時56分 / 提供:マイナビニュース


慶應義塾大学(慶大)は1月16日、ビールの苦味成分である熟成ホップ由来苦味酸の単回摂取が、注意力を必要とする認知機能検査中の自律神経活動を調節し、注意力を向上させる機能があることを、健常成人を対象としたランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較の臨床試験で確認したと発表した。

同成果は、慶大 文学部心理学研究室の梅田聡教授、キリンホールディングス R&D本部キリン中央研究所らの共同研究チームによるもの。詳細は、健康食品や生理活性食品成分に関する全般を扱う学術誌「Journal of Functional Foods」に掲載された。

近年の疫学調査では、少量の酒類の摂取は脳の健康に良い作用があるという報告がなされている。また、香りと苦味を付与するためビール醸造で伝統的に使用されている薬用ハーブのホップは、さまざまな健康効果を持つ植物として古くから知られている。

そうした中、キリングループによるこれまでの研究では、ホップに含まれる「イソα酸」や、ホップを加熱熟成することで生じる熟成ホップ由来苦味酸には、アルツハイマー病予防や、加齢に伴う認知機能低下の抑制、うつ様行動抑制の効果があることが非臨床試験で確認されていた。

さらに、二重盲検ランダム化比較試験において、熟成ホップ由来苦味酸を含むサプリメントを6週間もしくは12週間摂取することによって、健康な中高齢男女の記憶力や注意力、気分状態が改善されることも報告していた。

しかし、ヒトにおける熟成ホップ由来苦味酸のメカニズムについては、これまで検証がなされていなかったことから、研究チームは今回の調査を開始したという。


これまでの非臨床研究においては、熟成ホップ由来苦味酸が、自律神経の1つである迷走神経を介して認知機能や精神機能を改善することが確認されていた。そこで今回は、熟成ホップ由来苦味酸によるヒトの自律神経活動への影響を検証するため、ランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験を実施したとする。

まず、事前検査を通過した34名の参加者(年齢30~64歳)が、試験食品の摂取順番が異なる2つのシークエンス(17名ずつ)に無作為に割り付けられた。そして、参加者にプラセボまたは熟成ホップ由来苦味酸のカプセルを1回摂取してもらい、試験食品の摂取前後に認知機能課題が実施された。また、試験実施中の自律神経活動をモニターするために、心拍計によって心拍変動の測定が行われた。

その結果、プラセボ群と比較して熟成ホップ由来苦味酸群では、認知機能課題実施中の総自律神経活動の指標であるTPが、統計学的に有意に増加していることが判明。また、注意機能を評価する注意シフトテストの成績や、注意シフトテストの結果から算出される実行機能スコアについて、プラセボ群と比較して熟成ホップ由来苦味酸群では統計学的に有意に向上していることも確認されたという。

これらの結果から、熟成ホップ由来苦味酸の摂取は、健康な成人の自律神経活動を調節する効果があることが明らかにされた。また、これまでの臨床試験では、熟成ホップ由来苦味酸の継続摂取により、記憶力や注意力などの認知機能改善効果が確認されていたが、今回の試験で、1回の摂取でも注意力が向上することが新たに発見された。それに加え、これまでの試験は中高齢を対象とした試験だった一方で、今回の試験では30~60代というより幅広い世代に対して熟成ホップ由来苦味酸が効果を発揮することも示されたとする。

研究チームは今後、熟成ホップ由来苦味酸のさらなる作用機序の解明や、アルツハイマー病への有用性の臨床試験での検証が期待されるとしている。

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