2023年01月13日18時18分 / 提供:マイナビニュース
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国立成育医療研究センター(NCCHD)は1月12日、2001年に生まれた日本全国の1万8510人の子どもがいる家庭を対象にして、乳児期における父親の育児への関わりが、子どもが16歳時点でのメンタルヘルスの不調とどのように関連しているのかを分析した結果、最も関わりが多い群は、最も少ない群と比べて、メンタルヘルスの不調のリスクが10%ほど下がっていることを確認したと発表した。
同成果は、NCCHD 研究所 社会医学研究部の加藤承彦室長らの研究チームによるもの。詳細は、メンタルヘルスに関する全般を扱う学術誌「Journal of Affective Disorders」に掲載された。
思春期の子どものメンタルヘルスの問題は先進諸国に共通する大きな課題で、日本もその例外ではない。加えてここ数年は、コロナ禍における子どものメンタルヘルスの不調も懸念されるようになっており、NCCHDが2021年12月に実施した調査では、小学5~6年生の9~13%、中学生の13~22%に、中等度以上の抑うつ症状が見られたという。
思春期の子どものメンタルヘルスに大きく影響するのが親子関係とされているが、明確なことはまだよくわかっていないという。こうした研究において先進的で知られる英国では、幼少期の父親の育児への関わりが、子どものメンタルヘルスに与える長期的な影響について、複数の研究結果が報告されているが、それらの結果は一致しておらず、またアジア圏においては、このような研究はこれまでのところ実施されていなかったという。
そこで研究チームは今回、2001年に生まれた子どもの家庭を対象にして、乳児期における父親の育児への関わりが、子どもが16歳時点でのメンタルヘルスの不調とどのように関連しているのかを分析することにしたという。
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分析には、厚生労働省および文部科学省が実施している21世紀出生児縦断調査の2001年コホートが用いられた。分析対象は、2001年に生まれた日本全国の1万8510人の子どもがいる世帯。「おむつを取り換える」や「入浴させる」など、父親の育児への関わりの程度を最も少ない群から多い群まで4群に分けて、それぞれの群における16歳時点での子どものメンタルヘルスの状況の比較が行われた。
その結果、最も関わりが多い群は、最も少ない群と比較して、メンタルヘルスの不調のリスクが10%ほど下がっていることが確認されたという。今回の研究結果から、乳児期における父親の育児への関わりが多いことが、長期的に子どものメンタルヘルスの不調を予防する可能性が示唆されたと研究チームでは説明している。
日本の社会は、父親が外で働き、子育ては母親が行うといった考え方が根強い時代が長かったが、近年は、イクメンという言葉も登場し、父親の育児休業取得推進の義務化など、父親が積極的に育児に関わることが推奨される社会になりつつある(ただし、育児休業を取得しておきながら、実際には育児に参加せずにただ本人が休んでいるだけの父親も見受けられる点も、母親側などからの問題点として提起されている)。
今回の研究から得られた知見は、そういった日本社会の変化が子どもの成長にとって好ましい影響をもたらす可能性を示唆していると研究チームでは説明している。なお、今回用いられたデータは2001年時点での父親の育児への関わりであることから、今後より新しいデータを用いて検証する必要があるともしている。