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近未来テクノロジー見聞録 第282回 ハワイで発生した小さな群発地震の原因は「地中のパンケーキ型空洞」?

2023年01月11日07時55分 / 提供:マイナビニュース

2022年12月22日、カリフォルニア工科大学は、ハワイで発生した小さな群発地震の原因を明らかしたというプレスリリースを発表した。では、この原因とはどのようなものだろうか。今回は、こんな話題について紹介したいと思う。

ハワイで発生した小さな群発地震の原因とは?

では早速、ハワイで発生している小さな群発地震の原因に迫ろう。

ハワイの地下深くには、パンケーキのような空洞があるという。研究チームはこのパンケーキのような空洞を"sills"と呼んでいる。日本語に訳すと「敷居」や「土台」といった意味だ。このsillsは相互に連結していて、複雑な構造体のようになっている。この空洞をマグマが縦へ横へと動き、それによって小規模な群発地震が発生していたというのだ。

彼らは今回、2018年から2022年までに発生したマグニチュード3.0未満の小規模地震のデータを活用。約192,000回にも及ぶこれらの地震データは、島内の米国地質調査所の地震計によって収集されたという。そしてこれらを基に、機械学習アルゴリズムを活用してノイズなどを除去し、12以上のsillsのマッピングと構造化に成功したという。このノイズ除去により、どんな小さな地震信号でも正確に特定でき、群発地震の物理的メカニズムの洞察を得ることができるのだという。

以下の画像をご覧いただきたい。黒い点は約192,000回もの地震の発生地点で、この点群がsillsの構造や位置を意味しているという。ちなみに、sillsの大きさは大きい物で6km×7kmほどで、厚さは300mにもなるという。

また、地中35kmあたりには"境界"があるといい、そこではマグマの注入に伴う岩石の化学組成の遷移が起きているという。そして、この遷移により岩石にストレスが発生し、地震を引き起こすとしている。

これまでに、ハワイの地中深くで、マグマがどのように輸送され、貯蔵されているのかわかってはいなかった。また、地中15kmあたりでのマグマの動きはわかっていたが、さらに深い40kmあたりの挙動については不明だったとのこと。今回の研究成果では、これらを初めて明らかにしている。

しかし研究チームによると、このsillsにおけるマグマの挙動がハワイ特有のものなのか、地球のどの場所でも当てはまるものなのかについて、現時点では不明だとする。

いかがだっただろうか。今回の発表で、地震研究にも機械学習が活用されていることを初めて知った。日本の地震研究の詳細については知識が浅いが、このような研究成果を見ると、地震研究はこれからもますます進展していくのだろうと感じる。

齊田興哉 さいだともや 2004年東北大学大学院工学研究科を修了、工学博士。同年、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に入社し、2機の人工衛星プロジェクトチームに配属。2012年日本総合研究所に入社。官公庁、企業向けの宇宙ビジネスのコンサルティングに従事。 現在は、コンサルティングと情報発信に注力。書籍に「宇宙ビジネス第三の波」、「図解入門業界研究 最新宇宙ビジネスの動向とカラクリがよ~くわかる本」など。テレビ、新聞、Webサイト、セミナー・講演も多数。 この著者の記事一覧はこちら

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