2023年01月11日06時00分 / 提供:マイナビニュース
物質・材料研究機構(NIMS、茨城県つくば市)は、新構造材料技術研究組合(ISMA、東京都千代田区)が2013年度から10年間にわたって研究開発を続けてきた「革新的新構造材料プロジェクト」が2023年3月に終わることを受けて、これまでの研究開発成果を受け継ぐためのNIMS鉄鋼信頼性拠点を築き始め、「例えば2GPa級の超々ハイテンション・スチール(通称:ハイテン=高張力鋼)を実用化するための研究開発・技術支援をする体制を固めつつある」と、津崎兼彰NIMSフェローは解説する。
「革新的新構造材料プロジェクト」の中で、日本製鉄やJFE、神戸製鋼所などの企業は1.5GPa級や2GPa級の超々ハイテン・スチールの研究開発を続けてきた(参考記事1)。こうした超々ハイテン・スチールを実用化するには、その超々ハイテン・スチールの使用時に疲労によって起こるき裂の進展などをきちんと調べる研究開発が当然、不可欠になる。こうした実用化ニーズを考えて、「実は、NIMSでは高倍率パノラマ撮影法によって、鋼の疲労時のき裂の発生・進展を調べる“その場観察法”の装置を導入し、研究開発し始めている」と、津崎フェローは解説する。しかも、この“その場観察法”の装置では、「超々ハイテン鋼のき裂発生位置とそのき裂の進展挙動を、鋼のミクロ組織と“紐づけ”して観察できる“自動その場観察”できる疲労き裂進展追跡装置による研究開発が進んでいる」と、津崎フェローは具体的に解説する。
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