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「アンミカ5人衆」「別番組と遭遇」で深まる謎…カオス番組『ここにタイトルを入力』新作は“考察”要素も?(※ネタバレあり)

2023年01月06日06時00分 / 提供:マイナビニュース

●史上最も無意味なCMまたぎ
バイきんぐ・小峠英二が縦分割された衝撃的な姿をはじめ、昨年春に深夜の視聴者をザワつかせたフジテレビのバラエティ番組『ここにタイトルを入力』。フジ入社3年目の原田和実ディレクターが企画・演出を務める同番組の新作が3日、初の全国ネットで放送された。

今回は、NON STYLE・井上裕介MCによるトークバラエティ『すっぴん女の赤裸々ナイト』と、広大なレジャー施設で繰り広げられる逃亡ゲーム『run away 大逃亡』の2本立て。SNSでは「カオスすぎる」「頭いかれそう」「終始意味わからん番組だった」といった反応が続出し、正月休みを終えようとしていた視聴者を大いに混乱させた。

(※以下にネタバレがあります)

○■違和感持たず参加するノンスタ井上&山田裕貴

今回の1本目『すっぴん女の赤裸々ナイト』は、「今最も勢いのある俳優・山田裕貴が、赤裸々女子軍団と本音トークを展開するトークバラエティ」と予告されていたが、ここで発生したのは、年末年始特番の収録が集中する時期で、出演者のブッキングが絶不調という問題。冒頭、『ここにタイトルを入力』名物のMC打ち合わせ風景で、原田Dは「ちょっと現状、全然そろってないかなという感じでして」と説明し、それを聞いて不安な井上をよそに、「全然何とかはなるとは思うんですけど」と、謎の自信を見せた。

そして本編が始まると、この解決策が判明する。それは、“赤裸々女子軍団”5人を、全員アンミカで埋めるということ。それぞれ衣装を着替えて収録し直し、合成したと思われるアンミカ5人が、ひな壇にずらっと並んでいた。

井上とのオープニングトーク、男性ゲスト・山田裕貴を迎えてのトーク、本題のトークテーマと展開されていく中で、5人のアンミカはいつものテンポで矢継ぎ早に発言していくが、井上も山田もそこに違和感を持つ様子はなく、自然に進行していく。

それに、アンミカたちのトーク内容をよく聞いてみると、おっとりアンミカ、ズケズケアンミカ、おちゃらけアンミカ、出しゃばりアンミカ、達観アンミカ…といった具合に、性格の違いが見えてくる。ここで1つの疑問が浮かび上がった―――この5人のベースは本当に全員アンミカなのか。

山田に「5人の中から付き合うなら?」と質問が飛び、史上最も無意味なCMまたぎで山田が「アンミカさんです!」と発表すると、瞬時に一番右の黄色いジャケットを羽織ったアンミカ(以下、黄アンミカ)が歓喜し、他の4アンミカは残念がるリアクションを見せる。

一体、山田は現場で何を見て黄アンミカを選んだのか? 4人は急きょ集めた別タレントで、顔は年末話題になった『カワシマの穴』(日本テレビ)でも活用された超高画質のディープフェイクなのか? 声はAIで合成しているのか?……そんな可能性も想定しながらハテナが頭の中を駆け巡る中、相変わらず番組は何事もなく進行。ロケVTRのアンミカの友人にもアンミカが登場し、ワイプの2人もアンミカになって計4人のアンミカが同時に画面を覆ったかと思えば、街頭インタビュー、しまいには観覧席の女性全員も無数のアンミカに占められ、混乱は最高潮に達した。

こうなると完全にアンミカが頭の中を支配してしまい、最後に山田が新月9ドラマ『女神の教室』の番宣中に流れたワイプVTRの北川景子までアンミカではないかと疑いの目を向けている自分がいた。そこにつけ込んだ“裏切り”の展開も、終盤に用意されている。

『ここにタイトルを入力』は最後まで見ても、アンミカ撮影のからくりを教えてくれるような生やさしい番組ではない。やはりアンミカは、この番組のためにとんでもない稼働をしていたのだろうか。そして最後に黄アンミカがサラッと言った名前が指すのは……。ここで紹介していない“隠れアンミカ”もいるので、すでに見た視聴者もTVerの見逃し配信で再度確認し、ドラマで流行りの“考察”をしてみるのもいいだろう。

●“ポリス”より大きな敵と戦う構図に

2本目の『run away 大逃亡』は、「“30分間ポリスから逃げきれたら100万円!”という全く新しい逃亡ゲームに野田クリスタル、平子祐希、後藤拓実、水谷隼、井上咲楽が挑戦! 果たしてゲームの行方は?」と予告されていた。

こちらの問題は、やはり年末年始特番の収録が多い時期のため、同じロケ場所で他局の別番組の撮影が入ってしまったということ。説明を受けた出場者たちが一様に驚く中、原田Dは「でもそんなに気にしなければ、何とかなるとは思うんで」と、常套句で押し切った。

CMが明け、別番組のロケが入っているという振りが効いた「無人のテーマパークに集められた5人の逃亡者」という大ウソのナレーションから、いよいよゲームがスタートするが、開始わずか1分少々で別番組と思われるキャラクターが画面に映り込んでしまう。しかも、フィールドサバイバルゲームというジャンルまでかぶっているようだ。これは先が思いやられる。

その後、別番組のキャラクターやプレイヤーに遭遇しそうになると、タレントの本能で避けようとする逃亡者たち。もはや“ポリス”より大きな敵と戦わなければならない構図ができ上がってしまった。

しかし、当然全てを回避することはできず、完全に鉢合わせてしまったり、別番組の仕掛けを引いてしまったり、逆に別番組がこちらの仕掛けに触ってしまったりと、両番組が侵食し合う事態が続出。それに乗じて、別番組のミッションに図らずも協力する形になったり、ポリスを撒く棚ぼた展開も発生したりと、カオス度が増していく。

こうして『run away 大逃亡』が進行していくうちに、ベールに包まれた別番組の断片が徐々に見えてくる。コンセプトやミッション、詳細なルールはどうなっているのか、タレントたちの役割はどう分かれているのか……遭遇するたびにヒントが与えられるが、核心が明かされそうになるとCMや別場面に飛んでしまうので、気づいたらこちらでも“考察”的な楽しみ方をしている自分がいた。

もっとも、『ここにタイトルを入力』の制作陣がその正解を用意しているとは限らないが、原田Dは自身のTwitterで『ドクロバスター』という番組名をロゴ写真で公開している。

本番前の打ち合わせで、井上咲楽が「最近こういう番組多くないですか?」と言うとおり、昨年の大みそかにゴールデンタイムで『逃走中』(フジテレビ)と『THE鬼タイジ』(TBS)という同ジャンルの番組が直接対決となったことで話題になったが、そこへの皮肉とも便乗とも捉えられる今回の企画。いずれにせよ、“全く新しい逃亡ゲーム”という看板に偽りなしであることは間違いない。

○■これは“成立”した番組なのか

毎回別企画を展開する『ここにタイトルを入力』は、昨年4月から6回シリーズで、小峠が縦分割して同時出演した『クイズ・ファイブセンス』『Rest Garden』、街ブラロケを防犯カメラなどの映像でつなぎ合わせた『フワちゃんの浅草のんびりツアー』、1つのテーブルマジックを延々遠回りして見せた『KING OF ILLUSION』、予算不足を次々に反映したドラマ『足りない世界で愛を描く。』、奇怪なルールの恋愛バラエティに放り込まれる『その恋、買い取ってもいいですか?』、姿の見えない出演者たちで進行していく『真夜中のおしゃべり倶楽部』を放送。

“凡ミスを犯したスタッフが無謀な手段で挽回しようとする”、“トラブルを過剰に恐れるスタッフが斜め上の解決策で乗り切ろうとする”といった切り口により、原田Dいわく「テレビのテンプレートを崩して再構築」し、これまでの常識をぶち壊す番組を放ってきた。

元日にNHKで放送された『あたらしいテレビ2023』で、テレビ朝日の小山テリハ氏、テレビ東京の大森時生氏などとともに、若手制作者らの座談会に参加した原田D。この中で、番組の実現にいくつもの理屈が必要となり、“成立”という言葉が今のテレビ局で頻繁に飛び交っているという話題でみな共感していたが、今回の『ここにタイトルを入力』は果たして“成立”させた上で放たれた番組なのか。はたまた、これまでの実績で信頼を築き、制作者の思いで突っ走った番組になっているのか。ぜひ、目撃して確かめてほしい。

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