2022年12月31日07時00分 / 提供:マイナビニュース
●演者と裏方の格好が似てしまう珍現象
“埼玉の奇祭”と呼ばれる『埼玉政財界人チャリティ歌謡祭』を生み出した埼玉県の独立局・テレビ埼玉(テレ玉)が、大みそかの国民的番組『NHK紅白歌合戦』の裏で新たに立ち上げる特番『大晦日職人歌合戦 ~2022年もおつかれさまでした~』が、きょう31日(20:00~)に放送される。
この番組では、建築業を中心に、埼玉、日本を支える“職人”たちが主役となり、企業PRも兼ねて歌唱とトークを展開。11月に行われた収録では、社長自らの独唱や、社員たちによるバックダンサーを従えたパフォーマンスなどが繰り広げられ、テレ玉のスタジオは“奇祭”に劣らぬ熱気に包まれた。
マイナビニュースでは、このリハーサル現場に潜入。そこには、本業の仕事と同じように、本番のステージに向けて入念な準備を怠らないプロフェッショナルたちの姿があった――。
○■歌詞が飛び、激しいダンスに息が切れ…ハプニング続出
出場企業は、建設業や道具の販売店に加え、塗装業、太陽光発電工事、さらには便利屋まで幅広いジャンルから参加。自分たちの会社の特色を出そうと、現場の作業着姿で仕事道具を身に着けてパフォーマンスする出場者もいて、社長からバックダンサーに「もっと腰袋見せるようにしよう」と指示が飛ぶ場面が。その結果、図らずも番組の技術スタッフと格好が似てしまい、演者と裏方が一瞬で見分けがつかないという他の番組では発生しない光景が見られた。
大道具を持ち込むことも可能で、中には会社の電話番号を大きく明記した看板がステージの半分を占める企業も。慣れないテレビ収録で表情の硬いダンサーと、みっちり稽古を重ねて笑顔あふれるパフォーマーとの対比が見られるのも、この番組の醍醐味だ。
収録台本には、テレ玉の敷地外にある喫煙所の場所が地図付きで明記され、職人たちへの細やかな配慮がうかがえる。
どの出場者も、“素人”でありながら堂々たるパフォーマンスを見せていくが、クレーンも含めた4台のカメラを向けられ、スタジオセットや照明、音響に至るまで、本気の音楽番組のステージには、やはり緊張を隠せない。歌詞が飛んでしまったり、歌唱が先走ってしまったり、激しいダンスで息が切れてしまったり、マイクを落としてしまったりと、ハプニングが続出した。
音響スタッフに「もうちょっとエコーが欲しい」とこだわりを見せる人もいれば、「(スピーカーの音の)返しはどうですか?」と聞かれて「よく分かんないんで大丈夫です」と恐縮する人も。果たして、この違いは本番でどのように影響するのか。
○■大トリはまさかのオリジナルソング
ここで、出場者と披露楽曲を紹介する。トップバッターは、株式会社かじ兵衛・笠原誠児さんで、SMAP「世界に一つだけの花」を披露。ステージに立つのは5人だが、ボーカルは1人という構成で、サビではあの有名な振り付けを一生懸命そろえている。
2番目は、株式会社平野屋工務店・平野至哲さんで、北島三郎「函館の女」。こちらは打って変わって独唱スタイルで、脂が乗った男の美声を響かせる。スタッフが「函館の“おんな”」と曲名を間違えると、「函館の“ひと”だから」と間髪入れず訂正し、曲への愛が伝わってきた。
3番目は、便利屋ミヤナミ・宮南洋さんで、DJ OZMA「アゲ♂アゲ♂EVERY☆騎士」。今回の出場者で最も激しい動きを見せるパワフルなステージだが、注目は端にたたずむ女性。「大好き」と書かれたうちわを持ってただ応援しているように見えるが、重要な役割を果たすので注目だ。
4番目は、株式会社塗藤・藤ノ木善大さんで、欧陽菲菲「ラヴ・イズ・オーヴァー」。男気ありそうな社長が果敢に女性ボーカルに挑むだけでなく、うちわを振っていた社員とスケッチブックでメッセージを伝え合う感動的な演出を用意している。
5番目は、株式会社吉村・吉村久朋さんで、長渕剛「西新宿の親父の歌」。平野屋工務店と同様の独唱スタイルだが、こちらはスタンドマイクで貫禄のステージを見せてくれる。
6番目は、株式会社エコグリーン開発・内ヶ島圭吾さんで、西城秀樹「YOUNG MAN(Y.M.C.A.)」。8人のダンサーを従えたパワフルなステージで、サビの「Y・M・C・A」では、テレビの前で思わず振りを一緒にやってしまう視聴者が続出することだろう。
7番目は、株式会社ジェイズ・地蔵堂俊介さんで、きゃない「バニラ」。3組目の独唱スタイルで「めっちゃ手震える」と緊張しながらも、唯一令和にリリースされた楽曲で、新時代の空気を吹かせた。
そしてトリは、株式会社秀久・阿部博生さんで、なんとオリジナルソング「キミはパパのタカラモノ」。ボーカル、DJ、ギター、ダンサーという布陣で、圧巻のパフォーマンスを披露している。練習の模様はYouTubeで公開しており、同社の楽しそうな社風が伝わってくるステージだ。
ほとんどの出場者がリハーサルの持ち時間をフルに使い、本番に向けて準備万端。この8チームから、「ベストパフォーマンス賞」を選定し、賞品として、これを装着して現場に出れば誰もが羨望の眼差しを受けるであろう「金のインパクトドライバー」「金の作業靴」「金のヘルメット」が贈呈される。
秀久は出場者でありながら、この賞品を提供し、番組のスポンサーにも名を連ねるという大車輪の活躍だ。
●恥ずかしそうに踊る人も…「職人は内気な人が多い」
MCを務めるのは、埼玉の土木工事会社で働いていた元職人の芸人・オヤカタくんと、実家が特殊舗装業を営むテレ玉の塩原桜アナウンサーというこれ以上ない人選。実家に帰ったときは家業を手伝うこともあるという塩原アナのピンクのつなぎと小道具は、自前のアイテムだ。
取材に応じたオヤカタくんは、今回の企画に「めちゃめちゃ楽しそうだなと思って、テレ玉さんも攻めたなと思いまいた」と称賛。リハーサルを見て、「皆さん結構うまくて、はっちゃけていたんで本番が楽しみですね。踊りとか恥ずかしそうな人もいて、職人は結構内気な人が多いんですよ。だから、両極端に分かれていたなと思いました」と印象を語る。
また、「写真とか撮り合いっこして、忘年会というか文化祭みたいで、『青春やってんな』と思いました」というが、自分もそこに参加したいかを聞くと、「僕は歌があんまり得意じゃないんで、遠慮しておきます。今回も『歌います?』って言われたんですけど、『絶対嫌です』って言いました(笑)」と、全力で拒否したのだそう。
職人は横のつながりが強いそうで、「やっぱり1人じゃできない仕事なので、仲間と一致団結していくんです。なので、今回もそれが出るといいんじゃないかなと思います」と話し、「職人さんって結構怖いイメージがあるかもしれないですけど、こんな感じでみんなでワイワイふざけてるので、距離感が近くなっていったらいいなって思います」と、放送の効果に期待を示した。
○■プロラッパーが断言「絶対に家族で見るべき」
ゲストには、今回の出場者であるジェイズにかつて勤務した経験を持つラッパー・舟平/SAMが登場。この日のために作り上げたという職人をテーマにしたフリースタイルラップを披露する。
SAMは「『紅白』の裏じゃなくて、『紅白』が裏ですよね」と番組の位置付けを強調した上で、「ずっと頭の中に、職人って昭和の家族のイメージがあるんです。なので、『職人歌合戦』は絶対に家族で見るべきです」とアピールした。
この番組は、テレ玉アプリとテレ玉公式YouTubeチャンネルで見逃し配信を実施予定。埼玉を越え、全国の人たちに元気を与えてくれるはずだ。