2022年12月26日05時00分 / 提供:マイナビニュース
バラエティ番組『電波少年』などで知られる元日本テレビの土屋敏男氏が、25日に放送された同局のトーク番組『イントロ』(毎週日曜25:25~)に出演した。
今年9月に日本テレビを退社した土屋氏が代表取締役を務める「みんなのテレビの記憶」は、一人一人のテレビの記憶を集め、「2023年に70歳を迎える日本のテレビとは何だったのか?」「人が作ったものが人の心を動かしたことの意味」を後世に残すことを目的とする合同会社。その公式サイトでは、年代・季節・曜日を選択するだけで当時のテレビ欄を見ることができる。
MCの佐藤真知子アナは「私も自分が生まれた年(1993年)の番組表を初めて見たんですが、19時台に30分番組があることに驚きました。『(世界)まる見え(テレビ特捜部)』は今と同じ月曜日にやってる…」と話し、土屋氏は「この表を見ていると、“この番組の前にこれ見てたな”とか、他局も含めていろんなテレビの記憶が出てくると思う。今はみんなYouTubeをメインに見ているかもしれないけれど、“中学生や高校生の時はテレビを見てたよな”“テレビも頑張ってたじゃん”と思ってもらえたら、テレビマンとしてはうれしい」と語る。
また、佐藤アナが「今と昔ではテレビを取り巻く環境も変わってきましたよね」と聞くと、土屋氏は「入社当時は、お正月番組は『おせち番組』って言われてた。基本的には年内に撮っちゃう。でもそれだと収録中にお正月気分が出ないから、振り袖を着た人を客席に置く。だから振り袖の人が会社の中をウロチョロしているのを見ると“年末だな”と感じた。今は生放送をやるから、お正月の方が忙しい。昔の日本は、三が日はどこも開いてなかったから。コンビニもなかったし」と振り返った。
そんな土屋氏は、今のテレビについてどう見ているのか。
「最近は若い人たちが映画やテレビを早回しで見る。それってやっぱり、テレビしかなかった時代と比べるとコンテンツがたくさんあって、見なきゃ見なきゃって思うから。でも早回しで見るってことは濃縮される、濃いものになる。だからテレビも、出すものの濃さを変えないと見てもらえなくなっちゃう気がする。テレビは元々、日本中に向かって作っていたんだけど、今はそうじゃない時代。今までの濃度では、テレビは見てもらえなくなる」
バラエティ番組は今後、濃度を上げるために、“今ウケるもの”ではなく“見たことのないもの”を作るべきだと提言。「少なくともそのつもりで『電波少年』を作り、『アースマラソン』を作った。今はテクノロジーがたくさん手に入るから、それを使って見たことのないものを作れるのに、今ウケるものとか、今視聴率を取るものとか、そういうものにとらわれ過ぎてる。テレビって元々は見たことのないものを見せてくれるものだった。それに戻らなきゃいけない」と訴えた。
また、今のテレビマンに必要なものは、“ワクワクすること”だといい、「テレビ産業はちょっと下火かもしれないけれど、相変わらずモノは作って送り出している。ましてや今はインターネットを使って世界中に出せる。それはどう考えたってワクワクすべきこと。今この会社にいてワクワクしてないのは逆におかしい。ビジネスマンは“ヤバい”と思っているかもしれないけれど、モノを作って出している人間は絶対にワクワクすべき」と、後輩たちにメッセージを送った。
話題は、年末年始の特番に。佐藤アナが「年末年始に家族そろってテレビを見る、という風景が戻ってきてほしいと思います」と話すと、土屋氏は「それだけのものを作らないとね。“今年もやってます”じゃなくて、こんなふうに新しい年越しの仕方をするんだね! 元日にこんなことやるんだね! 大みそかにこんなことやるんだね! 見たことないよ! そういうものを出してほしい。ワクワクとドキドキは一緒だから。新しいことに挑戦するとドキドキする。それが見ている人にも伝わってワクワクしてくれる。だからどんどん壊して、どんどん新しいことをやって……どんどん新しい佐藤になることをお祈りして、締めの言葉にさせていただきたいと思います」とまとめ、佐藤アナは「これからも日本テレビと佐藤真知子をよろしくお願いします!」とアピールした。