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データでひも解く“silent現象” 脚本集、駅乗降、手話講座、音声認識アプリ…多方面に影響波及

2022年12月22日06時00分 / 提供:マイナビニュース

●TVerお気に入り登録数は全番組最多
きょう22日に最終話を迎えるフジテレビ系ドラマ『silent』(毎週木曜22:00~)。見逃し配信が絶好調で、第1話からの累計再生数は第8話で早くもフジ歴代記録を更新し、放送されるたびにTwitterのトレンド欄を席巻するなど、大きな話題となっている。

テレビ番組は長らく「世帯視聴率」のみで評価される時代が続いてきたが、この数字では1ケタ台の今作が「ヒット」と呼ばれる状況になったのは、テレビの転換期を裏付ける事象と言えるだろう。そこで、様々な指標やデータから、この“silent現象”をひも解いていく。

(※各種数値データは、12月20日現在)

○■コア視聴率上昇、画面注目度も高数値

視聴率の中でも、フジテレビが重点指標の1つとしているコア(男女13~49歳、ビデオリサーチ調べ・関東地区)では、初回で2.9%をマークしてから上昇気流に乗り、第9話で5.1%を記録。TVerのリアルタイム配信での視聴数は、非公開ながら好数値を記録しているといい、若年層を中心とした視聴者の支持を受けていることが分かる。TVerのお気に入り登録数は、全番組最多の248.0万人に達した。

REVISIOが調査したコア視聴層の「注目度」ランキングでは、12月5日~11日週で『silent』が71.7%という数値で、フジが中継したサッカー・ワールドカップ「日本×クロアチア」(67.8%)も上回りトップに立った。この「注目度」は、人体認識技術を用いて、テレビの前にいる人(滞在者)のうち、テレビ画面に視線を向けていた人(注視者)の割合を調査したもので、いかに視聴者が作品に没入しているかがうかがえる。
○■脚本集は異例のベストセラーへ

連ドラ初脚本の生方美久氏が紡ぐセリフにも注目が集まる今作。24日に発売される脚本集『silent シナリオブック 完全版』(扶桑社)は、予約が殺到して4度の発売前重版となり、累計10万部を突破した。ドラマのシナリオブックの発行部数は、通常1万部程度だといい、異例のベストセラーが見えている。

同書では、本編でカットしたシーンも完全収録。主演の川口春奈は「どのシーンを取っても思い入れはたくさんあって選ぶのが難しいですが、高校時代の初々しいシーンはまぶしくてキラキラしてて印象的です。2話、カフェで初めて想の前で一生懸命覚えた手話で自己紹介をするところも、健気でまっすぐで、そんな紬が大好きです。シナリオブックを読んで、まだまだじっくりと『silent』の世界観に浸ってください」とコメントを寄せた。

●“聖地”世田谷代田駅の乗降客が大幅増

今作は実在するスポットで撮影を行い、ドラマのファンが訪れて“聖地化”する現象が起きている。紬(川口)が頻繁に使い、想(目黒蓮)と切ない再会を果たした小田急線の世田谷代田駅は、定期外乗降人員数がドラマスタート前の9月から放送中の11月を比較して、22.7%増という大幅な上昇率を記録した。

同駅では、来年1月31日まで、劇中音楽「silent main theme」を構内で放送。最終話放送のきょう22日は、 Official髭男dismが歌う主題歌「Subtitle」を流している。

川口がイメージキャラクターを務める不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S」は、 世田谷代田駅のドラマ放送前後の賃貸物件一覧ページのPVデータを公表。スタート前1週間(9月29日~10月5日)から、第2話放送日以降の1週間(10月13日~19日)で18%増加した。
○■火曜日に客入りが増えるCDショップだが…

紬がアルバイトしているタワーレコード渋谷店では、来店客数の傾向に変化が生まれている。CDショップは火曜日が新譜入荷のいわゆる“フラゲ日”にあたるため、客入りが増える傾向にあるが、『silent』がスタートした10月以降は、放送翌日の金曜日の来店客数が上昇。回を追うごとに火曜と金曜の差が縮まり、12月でついに逆転したという。

同店では、劇中に登場するスピッツのコーナーを3階に再現しているが、担当者は「来店客数はJ-POPの新譜の影響で上下する数値ですが、週末の3階の展開回りに人だかりができるというのは、見たことがない光景です」と驚きを語る。

また、同社が運営するサブスクサービス「タワーレコードミュージック」では、スピッツの1日当たりの楽曲再生数が、ドラマスタート前に比べて最高2.8倍に増加。第5話と第9話の放送終了後23時に、脚本の生方氏とプロデューサーの村瀬健氏が選曲した公式プレイリストを公開し、「【公式】ドラマ『silent』〈紬と想がきいていた曲〉 スピッツ編」ページのクリック数は2万を超えている。

なお、主題歌「Subtitle」を歌うOfficial髭男dismは、「2022年11月度dヒッツアーティストランキング」(NTTドコモ)で1位を獲得。「Subtitle」は、「楽曲再生回数ランキング」でも11月度の1位となった。

●「手話入門」通信講座の申込みが2.5倍に

耳の聴こえない想や奈々(夏帆)とのコミュニケーション言語として描かれる「手話」にも注目が集まっている。通信講座を展開するユーキャンの「手話入門講座」は、11月の受講申込数が9月と比較して約2.5倍と大きく伸びた。

順位で見ると、これまでは約150講座中で60位前後と中堅に位置していたが、11月は20位以内に食い込んでいるという。上位には医療事務や宅建士などの定番資格が占め、なかなか顔ぶれが変わりにくい中で、健闘していると言えるだろう。

こうした動きに、聴覚障害者に関連する事業を行う社会福祉法人・聴力障害者情報文化センターの担当者は「配信でドラマを見ているような若い方たちが興味を持ってくださるというのは、とても良いことだと思います」と歓迎。また、作品についても、「これまでも、聴覚障害者を扱ったドラマはあったのですが、ろう者の役をろう者が演じるですとか、音声がなくて字幕だけで見せるいうシーンも今までのドラマではなかったと思います。よく取材されていて、こうしたドラマのブームが起きるたびに、実際の状況に近くなっている感じがあります」と評価した。

○■音声認識アプリのDL数増「選択肢に加わった」

劇中に登場する音声認識の文字起こしアプリは、「UDトーク」という実在するサービスだ。こちらのダウンロード数は、7~9月の3カ月間で約19,000という実績だったが、ドラマの放送が始まって動きが出た。

初登場した第2話で3,000、第3話で5,000、そしてプロ野球・日本シリーズ中継で90分の繰り下げとなった中でも話題となった第4話では20,000と、3カ月分を上回る数字を記録。担当者は「5話以降も1日のダウンロード数がコンスタントに底上げされている状況が続いています」と話す。

UDトークの公式Twitterでは「ドラマで取り上げられることで耳が聞こえない人に話を伝える手段として、『手話』『筆談』に加えて『音声認識』が選択肢として加わった気がします」と普及を実感した上で、「ベストではなくベター。どれか一つに決めるのではなく、自分が伝えたい相手に伝わる手段をそのつど自分で選んでいきたいですよね」とコメントしている。

●番組別衣装人気ランキングでも1位、SNS戦略が奏功
アイエントが自社サービス「芸能人が着用した衣装が見つかるコミュニティサイト(コレカウ)」で取得したデータから調査した、2022年の番組別衣装人気ランキングでは『silent』が1位、タレント別では「川口春奈」が1位、「目黒蓮」が19位(男性1位)になった。

同社では「TwitterやInstagramを設けてオフショット、メイキングムービーなどを積極的に投稿。話題のシーンをTikTokで公開するなど、SNSプロモーションは、見ていなかった視聴者の取り込みや根強いファンを獲得し、大きな成功を収めたと言えます」と分析。

『silent』公式SNSアカウントのフォロワー数を見ると、Twitterは64.3万、Instagramは129.1万、TikTokは24.5万という規模で、日本シリーズ中継で放送時間が大幅に繰り下がった日や、サッカー・ワールドカップ中継で休止になった日も、このSNSを上手く活用してドラマファンとコミュニケーションを築いていたのが印象的だった。

○■「流行語」「トレンドランキング」に相次ぎ登場

近年は様々な世代・ジャンルの「流行語」「トレンドランキング」が発表されているが、相次いで『silent』関連の言葉が並んだ。

「Z世代が選ぶ2022下半期トレンドランキング」(Z総研)では、「流行ったコト・モノ」の2位に「silent」がランクイン。「流行った俳優・女優」の4位に「目黒蓮」、6位に「川口春奈」、10位に「鈴鹿央士」が入った。

ほかにも、「SNS流行語大賞2022」(イー・ガーディアン)では、「#silent」が2位。「JC・JK流行語大賞2022」(AMF)では、「モノ部門」3位に「silent」、「ヒト部門」2位に「目黒蓮」。「2022年 SNSトレンド番付」(SNSトレンドマーケティング協会)では、「前頭」に「silent」。「2022年インスタ流行語大賞」(Petrel)では、「silent」が2位にランクインしている。

「国宝級イケメンランキング 2022年 下半期」(ViVi)では、NOW部門1位に目黒蓮、NEXT部門1位に鈴鹿央士が輝き、「下半期最もヒットしたドラマ『silent』の人気ぶりがうかがえる結果となりました」と講評された。

このように、各方面に影響が波及している『silent』。今夜の最終話放送後も、配信の再生回数をはじめ、様々な記録を打ち立ててくれるに違いない。

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