2022年12月09日22時00分 / 提供:マイナビニュース
米モンタナ大学の大学院生で、イエローストーン・ウルフ・プロジェクトの研究員であるコナー・J・マイヤー氏らの研究チームは、「トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)」に寄生されたオオカミの行動変化を調査。その結果、トキソプラズマに寄生されたオオカミは群れのリーダーになる可能性が高まることが明らかとなったという。
「トキソプラズマ・ゴンディ」は、寄生すると、宿主の筋肉や、脳細胞にコロニーを作り、宿主の行動を変えることで知られている。例えば、トキソプラズマに寄生されたハイエナは大胆な行動を取り、ライオンに食べられる可能性が高くなったという。また、寄生されたマウスは猫に対する恐怖心が低下し、探索行動が増加したそう。人間の場合も、テストステロンとドーパミンの分泌量が増加し、よりリスクのある行動をとる傾向が見られるようになるのだとか。
本研究では、約27年にわたって収集してきたハイイロオオカミのデータと、229頭のハイイロオオカミから採取した256の血液サンプルを用いて、寄生した宿主の行動を変化させるトキソプラズマが、米イエローストーン国立公園に生息するハイイロオオカミにどのような変化をもたらすかを調査した。
この研究で見られたのは、トキソプラズマに感染したハイイロオオカミは、分散する傾向が強く、群れのリーダになる可能性が高くなるというものだった。トキソプラズマに寄生されたハイイロオオカミは、寄生されていないハイイロオオカミに比べて、生まれ育った群れから抜け出して、新しい群れを形成する確率が11倍、群れのリーダーになる確率が46倍も高かった。
同研究チームは、この結果に「最も小さな生物であっても集団全体の進化を左右する可能性があることを示唆している」と述べている。
ネット上では「そんなこともできるのか????」「めちゃくちゃ面白いなこれ。」「寄生虫恐るべし????」などの声が寄せられた。