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『仮面ライダーBLACK SUN』で注目の平澤宏々路「この作品に携わることができて心からうれしい」

2022年12月06日18時19分 / 提供:マイナビニュース

●ショートカットは『LEON』マチルダのイメージ
プライム・ビデオにて全10話が配信中の連続ドラマ『仮面ライダーBLACK SUN』は、1987年に放送された『仮面ライダーBLACK』のエッセンスを取り込みつつ、新たな世界観、新たなキャラクターを得て生み出された意欲的な作品として、多くの特撮ファン、映画ファンの話題を集めている。西島秀俊、中村倫也をはじめとする豪華キャスト陣がおりなす「仮面ライダー」の舞台、それは人間の社会に「怪人」と呼ばれる異形の存在が溶け込んでいる独特な世界である。

政府が人間と怪人との共存を打ち出してから50年、怪人は人間から差別や迫害をずっと受けていた。そんな中、怪人も人間も「命の重さ」は変わらないと主張する少女・和泉葵は怪人差別をなくすべく、活動を行った。『仮面ライダーBLACK SUN』の物語の鍵を握る葵を演じたのは、現在15歳という若さながらすでに10数年の芸歴を誇る平澤宏々路。「差別」や「対立」が渦巻く世の中で自らの信念を貫き通し、自分の許せないもの、憎むべきものと戦い続ける気骨ある少女を魅力的に演じあげた平澤に、撮影時のとっておきの裏話や、個性豊かな豪華共演陣との思い出、そして過酷な運命に翻弄されながらも、決して闘志を失わなかった葵の人物像についての思いを聞いた。

※このインタビューは『仮面ライダーBLACK SUN』の内容に深く言及しています。まだ未視聴の方はご覧になってから読まれることを強くお勧めいたします。

――『仮面ライダーBLACK SUN』は西島秀俊さん演じる南光太郎と中村倫也さん演じる秋月信彦との「宿命の対決」を主軸に置きつつ、人間社会で虐げられている存在=「怪人」が安心して生きられる社会を作ろうと活動を続ける少女・和泉葵が数々の困難や悪意にぶつかり、いくつもの壁を乗り越えていく物語が全話にわたって貫かれました。葵役はオーディションで決まったそうですが、そのときの雰囲気はどうでしたか?

オーディションでは、男女ペアになっていくつかのお芝居をしました。設定としては、葵と俊介とのやりとりです。オーディションのとき、実は本作で俊介役に決まった木村舷碁くんと組んでいたそうなのですが、ぜんぜん覚えていなくて。白石和彌監督が私たちの演技を観て、このペアで行こうと決めてくださったと後になってうかがいました。オーディションから撮影開始まで日数がありましたが、木村くんがすごく背が伸びていてすぐには気づきませんでした。

――本作の撮影は2021年末から2022年の春にかけて行われたとうかがっています。今お話をしている平澤さんは肩まで伸びた髪がとても素敵ですが、葵を演じているころは活発そうなショートカットでしたね。

葵の髪型は、私が白石監督に提案して決まりました。もともとロングヘアで、オーディションもその状態で受けたのですが、いただいた台本を読んだら映画『LEON』のマチルダ(演:ナタリー・ポートマン)のイメージがわいてきて、一回目の衣装合わせで監督に「髪を短くしていいですか」と確認し、二度目のときに切っていったんです。白石監督も「いいね! 切ってよかった」と言ってくださいました。

――台本を読まれたとき、従来の日曜朝に放送されている「仮面ライダー」シリーズと比べて、本作『仮面ライダーBLACK SUN』に「違い」を感じたりしましたか。

私の中の「仮面ライダー」は、正義のヒーローが悪い敵を倒すイメージがありました。でも『仮面ライダーBLACK SUN』では、登場キャラクターの誰が「悪」で誰が「正義」なのかがはっきりしていないんです。善悪とは、受け取る人、観る人によって変化するものではないかと、台本を読みながら考えていました。

――本作に出てくる怪人は、人間を残酷に殺してしまう武器を備えたクモ怪人やアネモネ怪人のような怖い怪人が存在する一方で、変身はするものの人間とメンタルがほとんど変わらない善良なスズメ怪人(俊介)や傍観者的なクジラ怪人らがいるなど「怪人イコール人間の敵」という図式になっていないんですね。

私たちを助けてくれる怪人や、守ってあげたい怪人がいる一方で、いきなり襲ってくるような怪人も出てきます。でも、人間から見ると怖いとか悪いとか思っていても、怪人側から見ると何ら「悪」ではなく、正しい行いをしていることもありえるんです。キャラクターそれぞれの考え方が違っていて、ぶつかったり反発したりしてドラマが生まれる、本作のそんなところは、私がイメージする「仮面ライダー」像と違った部分だと思いました。

――葵の同級生・俊介(スズメ怪人)を演じた木村舷碁さんは平澤さんと同年代でしたし、話しやすかったのではないですか。

顔合わせをしたときはお互い緊張していたのでうまく話せなかったのですが、撮影に入る前にアクション練習や演技練習し、その場でよい関係性が築けたと思います。現場に入った段階で、すでに幼なじみ感があって(笑)。撮影の合間、お互い好きなゲームやアニメの話をして、自然な空気が出来ていました。ふだんどおりの関係性の延長上に、葵と俊介が存在する感じで、特に役に入ったらガラッと雰囲気が変わる……みたいなことではなかったんです。

――若いキャストといえば、Juaさん演じるニックも葵と密接に関わっていましたね。最初はチャラい青年だなと思っていたら、実は本作の中でもかなり重要なキャラクターのひとりだったことに驚きました。

Juaさんは日本語がペラペラで、すごくフレンドリーな方でした。初めてご挨拶したときから「ヨロシク~!」って気さくに声をかけてくださって、劇中のニックまんまでした(笑)。ドレッドヘアがとても似合っていましたよね。私が「髪型、すごいですね~」と言ったら「撮影があるたび、毎回編んでるんだよ!」って話で盛り上がりました。

――葵が「おじさん」と呼んで慕うブラックサン/南光太郎を演じられた西島秀俊さんとの共演時のお話を聞かせてください。

西島さんとご一緒しているときは光太郎と葵として、役として入り込んでいることがほとんどでした。でも休憩中は声をかけていただいて、劇中の光太郎と同じように、さりげない優しさというか、自然な感じで接してくださいました。

――第3話で光太郎が葵に「実戦的な格闘術」を教えるシーンはとても印象的で、あそこで2人の信頼関係が観る者にはっきり伝わったと思います。この戦闘訓練が最終回(第10話)につながったときは、胸に熱いものがこみあげる思いでした。

私もすごく印象に残っています。戦闘訓練のシーンは何度も撮り直したり、段取りの時点でたくさん相談をして、特撮監督の田口清隆さんやスタントコーディネーターの吉田浩之さんにもご指導いただきました。あそこまで実戦的な動きは今まで経験がなかったので、どうやったら葵が強く、カッコよく見えるか自分なりに考えて動いてみました。

――第4話では葵の父・川本英夫(演:山本浩司)がカニ怪人に変貌し、葵を襲う恐怖シーンがありました。特殊メイクや造形の怖さももちろんありますが、目をギョロギョロさせながら迫ってくるところは山本さんのお芝居の力がすごく大きかったと思います。現場での山本さんはどんな印象でしたか。

役の上でも葵とお父さんが一緒に過ごした時間は少なくて、親子関係にぎこちなさがあるという設定でした。現場でもそばにいるけど言葉を交わさず、そのまま撮影に入るなど、役の関係性を大切にされていたように思います。あの「目ギョロギョロ」はスタッフさんに大ウケだったみたいです。でも、出来上がった映像を観るとやっぱり不気味で、怖かったです……。

●信念をもったキャラクターひとりひとりに注目してほしい

――葵の身の回りには辛く悲しい出来事が何度も襲ってきて、そのたびに大声で泣く場面が多くあったと思います。あのように感情を高ぶらせ、涙を流す演技ではどんな苦労がありましたか。

撮影は順撮りではなかったので、”今日撮影するこのシーンは葵の身に何が起きて、どうして泣くのか”にすべての意識を集中させていました。私の出番の前に起きた出来事との「つながり」を意識して演じました。

――あのような辛いシーンを撮影するとき、平澤さんご自身も精神的にキツくなるのではないかと思います。

物語上の出来事だと割り切ってはいましたが、やっぱりふと独りになったとき、葵のことを思い出すと「うわぁ、かわいそう……」と思ってしまいます。それだけ、劇中で葵が見て、聞いて、感じたことが凄まじいということなんですけど、自分の心が「キツいな」と思ったときは、あえてその気持ちをそのまま現場へ持っていき、演技に役立てようと思っていました。

――三浦貴大さん演じるビルゲニアは葵にとって母の仇であり、憎むべき「敵」でしたが、やがてお互いの関係性を微妙に変化させていきますね。三浦さんとの共演はいかがでしたか。

三浦さんは今回の撮影現場でいちばんお話をした方だと思います。とても気さくで、話しやすい雰囲気をもった方です。最初の共演シーンが、いきなり第8話での、葵がビルゲニアを圧倒するというアクションシーンでした。そのとき三浦さんが「お互い、遠慮なしで行きましょう」と言ってくださったんです。互いの憎しみをぶつけあうシーンでしたし、動きに遠慮があったらリアクションがズレたりするので、一番最初にとても心強い言葉をいただきました。そのおかげで葵とビルゲニア双方の、とても激しい感情のぶつかり合いが描けたと思います。

――ビルゲニアは最後、葵を守るため自分の命を張って「人間」と戦うことになりました。第9話のあの衝撃的なシーンについてはどう思われましたか。

ビルゲニアが最期を迎えるところは、間近で見ていてすごく心が震えました。迫力がありましたし、ビルゲニアの考え方や、葵に対する思いが変化していく姿は、すごくカッコいいなと思いました。目の前に立っているビルゲニアを葵が見つめるシーンでは、台本では「葵がたたずむ」とだけ書かれていましたが、不思議と目に涙がたまってきて、あとちょっとでこぼれ落ちる……みたいな感じになり……。結果その涙を採用していただけました。

――第1話と第9話に、世界の人々に向けて葵が堂々とスピーチをするくだりがあります。すべて英語で、しかもかなり長いセリフを話されていましたが、あれだけのセリフを覚えて、感情を込めるのは難しかったと思います。長い英語セリフを覚えるためのコツがあるのでしょうか。

撮影の日に向けて必ず毎日一回は台本を声に出して読むことです。常に「セリフに触れておく」ということを意識していました。

――第9話では特に、スマホ画面の向こうからまるで視聴者に「お前はどうなんだ!?」と問いかけているかのような迫力で、われわれの心にも響くものがありました。

あのシーンは、撮影前からソワソワしてて、歩き回りながら台本を読んでいました。私が失敗すると、長いカットでも1から撮り直しになりますから。ただ英語でセリフを言うのではなく、このとき葵はどういうことを思い、どんなことを世界に伝えたいのか、をずっと考えました。

――最終回では、なんと葵がブラックサン/光太郎と同じ「変身ポーズ」を取りました。あの変身シーンを撮影したときのお話を聞かせてください。

最初は冗談だと思っていたんです(笑)。田口監督がある日突然「葵ちゃん、変身するよ」とおっしゃっていたのですが、台本にはそんなことぜんぜん書いてないし……。本当に変身するとわかったときはワクワクしました。やっぱり「変身!」というかけ声と変身ポーズというのは、憧れでしたから。でも変身するシーンの撮影直前まで、私がどんなポーズをすればいいのか決まってなくて、何を参考にしたらいいのかわからず、とりあえず歴代の仮面ライダーの変身ポーズや『仮面ライダーBLACK』(1987年)の倉田てつを(南光太郎役)さんの映像を観て研究しました。あの「両手の拳をギチギチギチ……と引き絞る動き」をやってみたいなって思いました。やるからには、最高にカッコいい変身にしたいという心がまえで取り組みました。

――最後に『仮面ライダーBLACK SUN』および仮面ライダーファンのみなさんに、平澤さんからのメッセージをお願いします。

この作品に携わることができて、心からうれしく思っています。「悪とは、何だ。/悪とは、誰だ。」というキャッチコピーのとおり、人にはそれぞれの価値観、考え方があり、それによって物事の「受け取り方」が変わるということを、本作は教えてくれていると思います。葵をはじめ、劇中に出てくる大勢のキャラクターはすべて確固たる信念を持っていて、自らの意志のまま行動しています。『仮面ライダーBLACK SUN』全10話、キャラクターひとりひとりに注目し、何度も繰り返し観ていただけたら嬉しいです!

(C)石森プロ・東映 (C)「仮面ライダーBLACK SUN」PROJECT

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