「天命に逆らうな」。かつては当たる占い師であった歩き巫女(大竹しのぶ)がいささか呆けて誰彼となく発していた無意味な言葉が重く響いた。大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)において、この言葉と、鎌倉殿三代に伝わってきた誰のものかわからない髑髏は重要である。つまり、信じても無意味なものと本当に信じるべきものは何なのかということだ。まず、「天命」と「髑髏」が印象的な第45回「八幡宮の階段」(脚本:三谷幸喜 演出:安藤大佑)を振り返ろう。
雪が舞うなか、実朝(柿澤勇人)が右大臣昇進の儀式を終えて鶴ケ岡八幡宮の階段を下りる途中、待ち伏せしていた公暁(寛一郎)が現れる。