2022年12月02日20時00分 / 提供:マイナビニュース
●八木、満島から「大切なことを学ばせてもらった」
満島ひかりと佐藤健がW主演を務めるNetflixシリーズ『First Love 初恋』(配信中)で、満島と佐藤扮する男女の若き日を演じた八木莉可子と木戸大聖にインタビュー。かけがえのない経験になったという本作への出演について話を聞いた。
宇多田ヒカルの名曲「First Love」「初恋」からインスパイアされた究極のラブストーリーを描く本作は、90年代後半とゼロ年代、そして現在の3つの時代が交錯し、 20年余りに渡る忘れられない“初恋”の記憶をたどる男女の物語。CAを目指すも不慮の事故で運命に翻弄される野口也英を満島、航空自衛隊のパイロットになるも、現在は別の道を進む、一途でまっすぐな性格の並木晴道を佐藤が演じ、2人の若き日を八木と木戸が務めた。
――まずは出演が決定したときの心境を教えてください。
八木:今、大学3年生ですが、出演が決まったときはまだ高校生で演技の経験も少なく、満島ひかりさんと同じ方を演じさせていただくことになってうれしかったですが、「私で大丈夫かな。うまくできるかな」と、不安が大きかったです。
木戸:僕は台本を読んだときに晴道という男に魅力を感じ、絶対に演じたいと思っていたので、決まったときは本当にうれしかったですし、ワクワクがずっとありました。
――佐藤健さんが演じる役の若き日ということは、どう感じましたか?
木戸:小さい頃から見ていた健さんと同じ役を演じるということは、最初の頃は実感が湧いてなかったです。
――也英と晴道を演じる際に意識していたことを教えてください。
八木:台本を読んで自分ですごく考えていたのですが、ひかりさんとお話させていただいたときに「あまり台本を読み込みすぎなくてもいいかもね」と言ってくださったんです。お芝居は相手との対話なのに、先に考えていた感情で台詞を言ってしまっていて、ひかりさんにそう言っていただいてからは、その場で相手とちゃんとコミュニケーションをとって、演じるのではなく役として生きられるようになりたいと思ってお芝居するようになりました。
――女優としてすごく大事なことを満島さんから教わったのですね。
八木:そうですね。人によって違うと思いますが、私は作り上げるのではなくて、自分の中にある感情を大事にして演じるほうがやりやすいのだと気づきました。その場で感じたことを大事に生きるというのは、今後の作品にもつながる大切なことを学ばせてもらったなと思います。
――満島さんとは現場でお話を?
八木:満島さんは今回の作品で初めてお会いしたのですが、撮影に入る前に私や大聖たちのためにワークショップを開いてくださって、私は同じ野口也英を演じさせていただいたので、撮影が始まってからも悩んだときに相談させていただきました。
――木戸さんは演じる際にどんなことを意識しましたか?
木戸:晴道は動物的な男の子で、頭で考えずに感情で動き、好きなものは好き、嫌いなものは嫌いという人間なので、監督から人間の本能的な反応を求められました。「恋をしたというお芝居を外面でやっても私は見抜く」とおっしゃっていて、なんて難しいことを……と思ったのですが、晴道は確かにそういう人間なので、目の前で起きることに瞬時に反応しようと、考えるというより本能的にドキッとするとか、そういう風に演じようと意識しました。
――相手と向き合ったときに自然と湧き出てくる表情や反応を大切に。
木戸:そうですね。ひかりさんがワークショップをやってくださったときに、『タイタニック』のポーズを真似するシーンを題材として演じたのですが、「台本に書かれていることを無視して、ジャックとローズのポーズをとにかく2人で楽しんでやってみて」と言われました。僕たちは台本に書かれていることに追われてしまっていたのですが、ひかりさんが也英を演じてくださったときに、最初は恥ずかしがってポーズをやらないけど、気持ちが乗ってきてやる也英をすごく純粋に楽しまれていて、心の底から細胞レベルで演じるというのはこういうことかと、刺激を受けました。
●八木が木戸にツッコミ! 也英&晴道と重なる関係性
――役とご自身の共通点はありますか?
八木:私は心配性なところが似ているなと思いました。也英は心配性で荷物が多かったりするのですが、私もけっこう心配性でいろんなものを入れてしまうタイプで。あと読書が好きなところや、也英は英語が好きなのですが、私も割と好きで、洋楽の歌詞をノートに書き写したりしていたので、そういうのはちょっと似ているのかなと思いました。
木戸:好きな子に強がってしまうところや、それをあとで後悔するところ、あと抜けている部分とか、似ているなと思いました。晴道のように、僕も友達から「そういうことだよ」と言われて、「うわ~やっちまった!」って気づくことがあります。
――晴道はうれしいことがあるとすごく喜んだり、感情表現が大きいなと思いましたが、そこは似ていますか?
木戸:一つ一つに一喜一憂する感じは似ているなと。でも好きな人の前ではそれをひた隠しにしているところも僕っぽいかなと思いました。
――お二人の共演の感想もお聞かせください。
八木:大聖くんは私より5歳年上で、同い年の役だけど先輩だしどうしようって撮影に入る前は少し不安でしたが、話してみたらすごく優しくて、いい意味で年の差を感じないように接してくださって、「タメ語でいいよ」と言ってくださったのでタメ語で話させてもらって。吹雪いていたり過酷なロケも多くて、本当に長い期間いろんなことを一緒に乗り越えて撮影してきたので、自分の中では勝手に同志みたいに思っています。
木戸:5個年齢が違いますが、本当にしっかりしていて、僕が下な感じになることも。その感じが也英に見えて、現場でスイッチを入れなくても普段から晴道と也英でいられて、僕も本当に同志という感じがしています。一個一個の言葉が也英っぽく聞こえて、晴道を演じる上ですごく助けられました。
――素の八木さんが也英と重なるところが多いということでしょうか。
木戸:そんな感じがしています。しっかりしていてツッコんでくれることもあったり、本が好きで小説を読んだり、好きなものについて語っているときの顔とか……これは意外でしたが『スパイダーマン』がすごく好きで、それについて語っているときの表情も、也英っぽいなと感じました。
――八木さんは、木戸さんと晴道が重なるなと感じる瞬間はありましたか?
八木:「ツッコまれていた」とおっしゃっていましたが、確かにツッコんでいました(笑)。私は関西人でボケやツッコミがある中で生きてきたので、気になるとツッコんでしまうのですが、ツッコみたくなるところが多くて。夜に切り干し大根を作っているという話をしたときに、「夜な夜な大根切っているの!?」って言われて、切り干し大根は水で戻すだけなので、「いやいや、大根を切るんじゃなくて」とツッコんだり、そういうことがちょこちょこあって、也英が晴道に「なんでよ!」ってツッコんでいるのと重なるなと思いました。
●木戸、佐藤の言葉に感謝「とても自信になった」
――八木さんは也英という役について満島さんに相談したとおっしゃっていましたが、木戸さんは晴道について佐藤さんに相談することはありましたか?
木戸:僕も晴道を演じる上で悩んでしまったときは、健さんにもひかるさんにも相談しました。北海道で僕たちのシーンを撮ったあとに、健さんたちのシーンがあって、僕たちは先に帰京するという日があったのですが、スタッフさんにお願いして2人のシーンを撮られる時間も残って相談させてもらったり、健さんがお世話になっている演技の先生をご紹介してもらったり、いろいろと助けてくださいました。一番印象的だったのは、晴道を演じる上で「自分も今悩んでいる」とおっしゃっていて、健さんも悩まれているんだって、それがすごく僕の中で安心したというか、同じ役を演じさせてもらっているんだなと実感しました。
――佐藤さんからはどういったアドバイスをもらったのでしょうか。
木戸:「素の大聖が持っているものを見て監督もスタッフさんも晴道としてキャスティングしたんだから、とにかく自信を持ってやればいい」と。僕は最初の頃、晴道と通ずるものがあるとはいえ、かけ離れた存在のように感じていて、晴道にならなきゃって意識しすぎていたのですが、大聖が持っているものそのものでいいんだよと。それは同じくひかりさんもおっしゃってくださいました。今後違う作品においても、自分とかけ離れている遠いものに近寄ろうとするのではなく、キャスティングされたということは自分に通ずるものがあるのだと自信に持って演じていこうと思いました。とても自信になりました。
――八木さんは佐藤さんと接する機会はありましたか?
八木:佐藤さんと関わる時間はそんなに多くはなかったですが、天狗山に登ったときに佐藤さんもいらっしゃいました。そのとき私は四つ葉のクローバーを見つけるのが得意になっていて、いろんな人に渡していたのですが、天狗山でも四つ葉のクローバーを見つけて、佐藤さんにも「もしよかったら……」って渡させていただきました。きっかけは、スタイリストの方が四つ葉のクローバーを見つけて「台本に挟んでおきなよ」とくださって、それがうれしくて、その方に返すために探していたらどんどん見つけられるようになりました。
――佐藤さんに喜んでもらえましたか?
八木:喜んでいただけていたらいいなと(笑)。大聖くんにも渡させていただきました。
――改めてこの作品はお二人にとってどんな経験になったかお聞かせください。
八木:一言で表現するのは難しいですが、役との向き合い方を教えていただいた作品になりました。完全に自分とは別人としてお芝居するのか、それとも自分の中から感情を引き出して演じるのか、何もわかってなかったのですが、この作品をやっていく中で、私は自分の感情を大切にして、自分事として捉えないとダメなのだと気づきました。也英にすり寄っていこうと思って、私はエビが苦手でしたが、也英はエビが好物なので食べてみようと思って食べたら、だんだんおいしく感じてきて、そうやって也英に近づけた気がしています。
木戸:長い期間撮影をして、今までの現場にはない挫折を味わったなと感じていて、それほどまでに一人の人間を芝居の中で生きるということは大変なことなのだと実感しました。ここまで現場で悩んだことがなかったので、本当にいい経験をさせていただきました。それくらい身を削って一人の人間を演じるという責任が役者には必要なんだなと、そう簡単にできるものではないということも知ることができました。
――満島さんと佐藤さんからも大切なことをたくさん教わったということですが、お二人はどんな存在になりましたか?
八木:ワークショップを開いていただいたりお話を聞いていただいたり、すごく導いてくださった方だと感じています。作品としても、満島さんと佐藤さんが私たちを持ち上げてくださっているなと、完成したものを見て感じました。
木戸:健さんと同じ人物を演じ、一緒に彼の人生を演じた大先輩ということが、僕の中でとても特別なものになりました。並木晴道という人物を演じる上で一緒に悩んだという……「一緒に」と同じ目線でおこがましいですが、それはすごく僕の中でうれしかったですし特別でした。もちろんまた共演したいです。ひかりさんもそうですけど、一緒に共演して、そのときにこの作品についてお話が出来たらたらうれしいなと思います。
八木:私もぜひぜひ、また共演させていただきたいです。
■八木莉可子(やぎ・りかこ)
2001年7月7日生まれ、滋賀県生まれ。2015年11月に開催された「#THE NEXT ~ASIA CROSS MODEL AUDITION2015~」でグランプリを受賞しデビュー。2016年、大塚製薬「ポカリスエット」イメージガールに抜擢。同年より、雑誌『Seventeen』の専属モデルとして活躍し、2021年3月に卒業。また、ドラマ『チア☆ダン』(2018/TBS)、『鎌倉殿の13人』(2022/NHK)、映画『HOMESTAY(ホームステイ)』(2022/Amazon Prime Video)、『おそ松さん』などに出演。
■木戸大聖(きど・たいせい)
1996年12月10日生まれ、福岡県出身。2017年7月にトライストーン・エンタテイメントに所属し、芸能活動を開始。2018年4月から2021年3月までNHK BSプレミアム『おとうさんといっしょ』にレギュラー出演。俳優としてはドラマ『Memories~看護師たちの物語~』(2020/BS日テレ)、『家族の写真』(2022/東海テレビ)、映画『サヨナラまでの30分』(2020)、『のぼる小寺さん』(2020)、『大怪獣のあとしまつ』(2022)などに出演。『メイヘムガールズ』が公開中。