旬のトピック、最新ニュースのマピオンニュース。地図の確認も。

なぜ、私たちの会社・組織は変わらないのか? 第3回 「タレマネ会議」は組まれているか?

2022年12月02日07時00分 / 提供:マイナビニュース

順調に事業を伸ばしてきた経営者や、部署・チームを持たれるマネージャー、人事、意欲的な若手社員の方々から、「私の会社で色々な組織課題が出ており、手を打っているがうまくいかない」という相談を頂くことがあります。場当たりの施策をとる前に、まずは「なぜ私達の会社・組織は変わらないのか?」、課題を分析していくことが大切です。

先日、ある企業の経営企画の方からこのような相談を頂きました。

○“タレントマネジメント”の重要性

あらためて、タレントマネジメント(人材マネジメント)について考えてみましょう。

人を採用し(採用)、適切な仕事を提供し(適材適所)、成果が出るように育て(育成)、企業収益に資する形で評価し報い(評価報酬等級)、さらに人が自分だけでなく周りの成長も促進し、より大きな事業成果が出て、企業価値も向上し、人が人を呼ぶ……というような「人」軸での企業価値向上サイクルを生み出す営みが、“タレントマネジメント”です。

かつて、「人は経営資源」と言われてきました。今日では、経済産業省が「人的資本経営」というコンセプトで国内企業に、消費する「資源」、ではなく投資し価値を最大化する「資本」として「人」を捉えるよう、啓発を進めています。

背景として、米国では上場企業(S&P500)の市場価値の構成要素として、「モノカネ」よりも、無形資産(研究力・ブランド・アイデアといった人に依存する要素)の割合が年々増加しているという調査結果が出ていることが挙げられます。1975年では無形資産・要素の構成比率は2割に満たなかったのですが、2009年の調査では、無形資産・要素の比率が8割と、大きく逆転したのです。これはソフト・デジタル産業の割合が大きくなっていることが要因のひとつです。

これを受け、米国証券取引委員会は2020年に、上場企業に対して「人的資本の情報開示」を義務付けました。

ESG(E:環境 Environment・S: 社会 Social・G: ガバナンス Governance)の観点で、S(社会)と人的資本が結びつくという点から、投資家が人的資本情報を判断材料としていることも大きく影響しています。

有形資産(モノカネ)としては同規模にもかかわらず、時価総額が欧米企業と7倍も開いている大手企業もあり、「人的資本経営が課題」と捉え、経産省としても啓発を進めているのです。

それでは、前段の質問も含め、企業としては具体的にはどのような取り組みを行う必要があるでしょうか。

○「タレマネ会議体」は設けているか?

まず、タレントマネジメントについて話し合う「タレマネ会議体」は設けられているでしょうか。

会社の動脈は「会議体」です。人の脳から手指を動かす、いわば神経のようなものです。どのような目的の会議体で、アジェンダが設けられ、誰が参加し、どのような情報を参考に、どのような合意事項、ネクストアクションになるか。
タレントマネジメントが高度化している企業ほど、暗黙知的に「タレマネ会議」が実施されています。

分かりやすい例は、採用(候補者を採用するべきか。採用基準は妥当か)、人事評価(従業員の評価、報酬をどのように決定するか)、育成(育成すべきスキル、コンピテンシーは何か。効果はどうか)といった、人事機能単位での「問い」が設計されることです。

ここで時には経営だけ、人事だけ、現場だけ。時には関係各所を含めて問に対して議論をしてみましょう。テーマに応じて必要な情報を参照するために、参加者の構成を変える必要があります。

また、各自の認識・発言の情報では事実と異なった起点から企画が進んでしまうケースもあります。それを防ぐために、人事・人材データを事前に収集したレポートを軸に議論を進める必要があります。(ピープルアナリティクス、人材データの活用の分野です。)

例えば、「採用基準は妥当か」については、入社後の人事評価との突合をすることで、妥当性の検証を行う手があります。

タレントマネジメントの骨子は人事制度やスキルマップに集約されると思いますが、体系化されていないアジェンダについては、勘や感覚のままになり、推進が止まりがちです。変化の激しい時代においては、より迅速に情報を参照し、コミュニケーションをとり、意思決定を行い、アクションを取り検証、改善するスピードが求められます。裏を返すと、体系化と状況に併せた改善のスピードが、企業競争優位性になります。

そのためにも「人が生き活かされ、企業価値が向上するための問い、会議体は設計されているか」を一度振り返る必要があります。

また、タレマネ会議の全社浸透はマーケティングの考え方(AIDMA)と同じです。

まず知る、理解する、体験する、周りに教える。

タレマネ会議がカルチャーに根付いた企業は、現場・チームなど小さな単位から「人」について考え、改善を図り、成功例は全社に展開されることもあります。気づいた人から手を上げて進めるべきテーマなのです。
現在の会議体の棚卸しから始め、タレマネの問いを設計し、再構成することをおすすめします。

権藤悠 ごんどうゆたか 株式会社キーメッセージ代表取締役。慶應義塾大学理工学部情報工学科卒。「持続的な企業成長の基盤となる、個人中心型の組織人事開発」をテーマに、株式会社キーメッセージを創業。過去、組織マネジメント・人事変革をテーマに合計社員数20万人以上の各業界企業を支援。その取組みがテレビ東京ワールドビジネスサテライト、日本経済新聞、雑誌Pen+等で取り上げられたことも。創業以前には、システム開発会社で人事・広報マネージャーや新規事業開発を担当。その後、株式会社ZUUで人事マネージャーを務め、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社に経営コンサルタントとして入社。企業のDX実現に向けた組織・推進体制構築や人材マネジメント・育成の効率化・高度化をテーマとした組織人事・人材マネジメント変革・HRTech変革を構想策定、戦略構築、設計から運用まで参画・推進している。 この著者の記事一覧はこちら

続きを読む ]

このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

ネタ・コラムカテゴリのその他の記事

地図を探す

今すぐ地図を見る

地図サービス

コンテンツ

電話帳

マピオンニュース ページ上部へ戻る