旬のトピック、最新ニュースのマピオンニュース。地図の確認も。

中央線「昭和グルメ」を巡る 第158回 ここは阿佐ヶ谷駅前の秘境か?「喫茶 ニューシャドー」(阿佐ヶ谷)

2022年11月22日11時00分 / 提供:マイナビニュース

いまなお昭和の雰囲気を残す中央線沿線の穴場スポットを、ご自身も中央線人間である作家・書評家の印南敦史さんがご紹介。喫茶店から食堂まで、沿線ならではの個性的なお店が続々と登場します。

今回は、阿佐ヶ谷の喫茶店「ニューシャドー」をご紹介。

○「シャドートースト」も気になるけど…

阿佐ヶ谷北口駅前の「パサージュ阿佐ヶ谷(阿佐ヶ谷北口駅前ビル)」といえば、2階の飲食店街に中国料理の「翠海」、トルコ料理の「イズミル」と名店が並んでいることで有名です。

後者は僕もよく利用しているので、「パサージュといえば2階」というイメージが圧倒的に強くはあるのです。とはいえ1階にも、前から気になっていたお店がありましてね。

でも定休日が決まっていないみたいで、「行ってみけど閉まってた」というケースがこれまでに何度かあったんですよ。「そんなの電話して確認すりゃいーじゃん」とツッコミが入りそうですけれど、まー遠い場所でもないし、また行ってみりゃいいやと思い続けてきたわけ。

そこで今回は、とある日曜日の早朝に突撃してみたのでした。そしたら、ちゃんと営業していたのでひと安心。

地味なロケーションなので気づいていない方も少なくないと思うのですが、駅前からパサージュ正面入り口を入ると、すぐ左側に目立たない通路があるんですよ。で、そこを進むとすぐ右側に見えてくるのが、お目当ての「喫茶 ニューシャドー」。

入ろうとすると、まず目に入るのが正面の「喫煙可」と書かれた貼り紙です。いまどき珍しくもありますが、ここまで堂々と主張されると逆にすがすがしい気も(気のせい)。どうあれ、「たばこが吸える店」として地元の喫煙者から愛されているのでしょう。

店内に足を踏み入れると、まず目につくのは左側に並ぶテーブル席。右側にも4人がけと2人がけの席があるので、決して広くないにもかかわらず席数は多めです。でも天井が高いせいか、不思議と狭苦しさは感じません。

壁の白を基調に、ドアや柱がこげ茶色で統一されたインテリアは、どことなく80年代チック。パサージュができたのは1980年代中期だったと記憶しているので、ひょっとすると当時から入っていたのかも。

お邪魔した時点では、すでに左側の席には男性客がひとりと、奥に女性客がふたり。駅前にも人の少ない朝8時台だったというのに、安定したニーズがありそうですね。

メニューを拝見すると、7:30〜11:00にはモーニング・サービスをやっているようです。Aモーニング(トースト、サラダ、玉子、コーヒー or ティー)とBモーニング(ミックスサンド、コーヒー or ティー)があったので、Bにしてみました。

あとから別の場所に貼ってあったメニューを見てみたら「シャドートースト」ってのもあったので、その“シャドー感”が妙に気になっちゃったりもしたんですけどね。普通のトーストよりもシャドーっぽいのかな(なんだよそれ?)。

なお、なにも考えず右手前の席に座ったら、常連らしきふたりの女性の背中を眺めるようなポジションになってしまいました。というか、3人が揃って突き当たり正面奥の厨房に向かって座っているので、そこで調理をするママさんから授業を受けてるみたいな感じ(なんの授業かな?)。

そういえば常連さんはたばこを吸われておりましたが、大きな空気清浄機があるせいか、煙はまったく気になりません。ちなみにそのおふたりは、白熱した矢沢永吉論を展開しておりました。日曜朝から熱いぜ阿佐ヶ谷。

ほどなくお目見えしたBモーニングは、トマトの赤、キュウリの緑、玉子の黄色というミックスサンドの色合いが印象的。玉子が真ん中にあったら見事なラスタ・カラーになるので、いっそレゲエが流れていてほしいよなぁ……なーんてどうでもいいことを考えてしまいましたが、BGMはオルゴールでしたねえ。

“ややラスタ”なミックスサンドは、これ以上ないほどの正統派。まさに、レトロな喫茶店で出てきてほしいタイプです。コーヒーも、とりたてて特徴はないけれど、やっぱり「昔の喫茶店って、こういうコーヒーが出てきたよなぁ」と郷愁に浸りたくなってくるような味わい。

そのせいか、飲むたびホッとします。そこで、ゆっくりしようかと思って読みかけの本を出してはみたのですけれど、いつまでたっても終わらない矢沢話がおもしろすぎて、どうしても気持ちをそっちに持っていかれてしまったのでした。

いい味出してるな、この店。改めてセットメニューに目をやれば、件の「シャドートースト」以外にも「焼うどん」なんてのもあったりするぞ。次回は、そのあたりにチャレンジしてみようかな。

●喫茶 ニューシャドー
住所:東京都杉並区阿佐谷北2-13-2 阿佐ヶ谷北口駅前ビル(パサージュ)1F
営業時間:7:00〜17:30
定休日:不定休

印南敦史 作家、書評家。1962年東京生まれ。音楽ライター、音楽雑誌編集長を経て独立。現在は書評家として月間50本以上の書評を執筆。ベストセラー『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社、のちPHP研究所より文庫化)を筆頭に、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)、『読書する家族のつくりかた 親子で本好きになる25のゲームメソッド』(星海社新書)、『書評の仕事』(ワニブックスPLUS新書)、『読書に学んだライフハック――「仕事」「生活」「心」人生の質を高める25の習慣』(サンガ)、『それはきっと必要ない: 年間500本書評を書く人の「捨てる」技術』(誠文堂新光社)、『音楽の記憶 僕をつくったポップ・ミュージックの話』(自由国民社)ほか著書多数。最新刊は『「書くのが苦手」な人のための文章術』(3月4日発売、PHP研究所)。 この著者の記事一覧はこちら

続きを読む ]

このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

ネタ・コラムカテゴリのその他の記事

地図を探す

今すぐ地図を見る

地図サービス

コンテンツ

電話帳

マピオンニュース ページ上部へ戻る