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元国税芸人さんきゅう倉田の「役に立ちそうで立たない少し役に立つ金知識」 第249回 フリーランスは相場を知ることで、自分や取引先を知るべし(後編)

2022年11月23日06時03分 / 提供:マイナビニュース

元国税職員さんきゅう倉田です。好きな法律は「国税通則法」です。

前回は、フリーランスが自分の仕事の相場を知ることの大切さを説きました。今回は相場に関するトラブルを紹介します。フリーランスとして仕事をしていれば、そういう出来事はきっとある。
あなたのためです

今年の初めに、とある商品をプロデュースしてほしいという依頼がありました。今まで経験したことのない仕事に心が躍ります。ホームページから連絡をもらって、zoomで話をすることになりました。

会社の説明とどのような商品を作りたいかを伺って、報酬が提案されます。

先方が提示した報酬は、1万個販売するまではノーギャラで、1万個以上は利益の50%を支払うというものでした。

1万個売れるかどうかは分からないのに、1万個売れるまでぼくは報酬がもらえない。売れなかったらタダ働きになってしまいます。いつか利益の50%を得られるのは魅力的かもしれませんが、ノーギャラのリスクは取れない。

遊びならまだしも、ビジネスでギャンブルのようなことはしたくない。ぼくは、丁寧に「1万個売れるまで、報酬がないのはちょっと難しいかもしれません」と言いました。

すると、
「あなたにとって、報酬なしの方がいいですよ。初めは報酬がもらえなくとも、いずれは大金をつかむことができます。この条件を設定したのは、あなたのためです」

礼節を欠いた表現かもしれませんが、「タヌキめ」と思ってしまいました。ぼくのためではなく、自分たちがリスクとコストを下げるためにそういった提案をしたのに、「あなたのため」と言うなんて、ひどい。あんまりだ。ぼくのことを愚か者だと思っているのかもしれない。素直に「予算がないので、お願いできませんか」と言ってほしかった。
ぼくは悲しみに包まれました。

報酬がなければ仕事はできないことをきちんと伝えても、相手は粘り強く説得してきます。
もう言うことはないので、ぼくはずっと沈黙して聞いていました。

その会社の従業員数は多く、売上も膨大です。今回の商品開発には数人の社員と社長自らが参加します。ぼくも含めて、会議をしたり、調査をしたりするでしょう。その間、みんなには給料が支払われるのに、ぼくだけ手弁当なんて不合理です。

友達でもない人が「この契約内容はあなたのためです」なんてことがあるわけがない。そう言えば契約する人間だと思われてしまったことが残念でなりません。
丁重にお断りすることにしました。
報酬決定後に、同意なく仕事を追加されるフリーランス

2022年フリーランスあるある(さんきゅう倉田調べ)の3位にランクインした、「後から勝手に仕事を追加される」。

多くのフリーランスが、追加の仕事に対し「仕事を追加する場合は、報酬を再度ご提示ください」とは言えないようです。

分かります。仕事を追加するのは簡単にできるけれど、価格を変更するのは難しい。特に、仕様書や契約書がなく業務内容が曖昧な場合は、仕事を追加されても許容してしまいます。
フリーランスが損をしないように、追加してくる依頼主の心理を分析しました。

取引先の心理パターンと対応
○(1)うっかり

何も気にせず、追加の作業をお願いしてしまった。あるいは、追加の作業に報酬が必要だという認識がない。

→当初提案された業務に対し報酬を決定したので、追加で何かする場合はその分の報酬を別途頂戴することになると、論理的に説明。ただし、軽微な作業の場合は不問とする選択もある。
○(2)当然

仕事は流動的なので、追加の作業が発生することは当然だと思っているが、報酬に影響があるとは考えていない。「それくらいの作業、やって当たり前だろ」と思っている。

→自分のため、次に依頼を受ける仲間のため、 追加があった時点で、報酬の再検討を打診する。
○(3)こっそり

当初の提案にはなかったが、こっそり追加すれば相手は何も言わないだろう、もしかしたら、追加報酬なしでいけるかもしれないと思っている。

→あまりにも自然で言いづらいが、毅然とした態度で報酬の再検討を打診する。

相手が良い取引先であれば、論理的な説明を聞いたうえで、断ることはないと思います。では、報酬の追加を断られたときはどうすべきか。

まず、サービスや商品の納品期限が迫っている場合は、断らないと思います。価格の決定に時間がかかって困るのは依頼主だからです。

断られた場合は、契約を白紙にするか、追加の作業だけ拒否します。あなたの売上は下がるかもしれないけれど、そこで受け入れると悪い習慣が身に付きます。あなたは、やりたくない仕事をやらずにたのしく生きるためにフリーランスになったのではありませんか。
一方で、追加の報酬を要求されたと企業はどうすべきか。

フリーランスの心理を考慮すると、しぶって小さい金額を追加すれば相手の不興を買い、もっと払うことになるかもしれません。追加した仕事に対し、正しく見積もって提案すると良いと思います。

フリーランスになったばかりの皆さんが、情報を集め、技術を磨いて、ご自身を守れるようになることを願っています。

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さんきゅう倉田 さんきゅうくらた 芸人、ファイナンシャルプランナー。2007年、国税専門官試験に合格し東京国税局に入庁。法人の税務調査を行ったのち、吉本興業に。 この著者の記事一覧はこちら

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