2022年11月20日15時58分 / 提供:マイナビニュース
●言い続けて叶ったスピンオフ
『仮面ライダーセイバー』テレビシリーズ(2020~2021年)の最終回から1年後を描く『仮面ライダーセイバースピンオフ 仮面ライダーサーベラ&仮面ライダーデュランダル』が、東映特撮ファンクラブ(TTFC)で 2022年11月20日より配信される。
本作は、テレビシリーズで存在感を残した神代玲花(演:アンジェラ芽衣)と凌牙(演: 庄野崎謙)の”神代兄妹“を主役に、なんと玲花の結婚がテーマになっているという。劇中を通じて強い絆を見せてきた二人の関係はどうなってしまうのだろうか。本稿では、妹の玲花を演じるアンジェラ芽衣にインタビューを行った。
――『仮面ライダーサーベラ&仮面ライダーデュランダル』の企画が決定するまではどのような流れがあったのでしょう。
本編ではあまり神代兄妹の素性について語られてきませんでした。最後のほうに『機界戦隊ゼンカイジャー』とのコラボがあり、あそこで初めて深掘りしてもらえたのですが、それは本当に最終話の直前のことでした。実はそれより前、神代兄妹がどんな背景をもっているのかまったくわかっていないときに「スピンオフやりたいよね」とずっとお兄様と話していたんです。だから、「やるかも」と聞いたときはうれしかったですね。そのときはまだまだコロナ禍も落ち着いておらず、「やるかも」の状態が続いていました。なのでずっと「やってよ!」ということを言い続けて叶った感じです。
実際にスピンオフをやるというのを聞いたのはマネージャーさんでもスタッフさんでもなく、たまたま現場にいた仮面ライダーブレイズ/新堂倫太郎役の山口貴也くんからだったんです。「そういえばスピンオフやるらしいよ」って。本人よりも先にそういう情報を知ってる人がどこの現場にもいるものだと思うんですけど、『仮面ライダーセイバー』は山口くんなんですよね(笑)。すぐにお兄様にも報告しました。
――山口さんは人懐っこくてスタッフのみなさんとも仲がいい印象なので、そういう情報がいち早く入ってきたのかもしれません。
「ガールズリミックス」も「やるかも」とは聞いていたんですけれど、決定を聞いたのは山口くんからだったんです。「やるってよー」って。何なんでしょうね(笑)。
――本作には『ゼンカイジャー』でマジーヌを演じた宮本侑芽さんも出演されますね。
いや~、うれしいですよね。本当にいい人でかわいらしくて、劇中では私からグイグイいってしまうシーンがあり、ついデレてしまいました。撮影が終了してロケ地から帰る際にはプレゼントまでいただいて、「なんて心がキレイなんだ!」と感動しました。またどこかでお会いできたらうれしいです。
――改めて、アンジェラさんは『仮面ライダーセイバー』という作品と出会って、振り返ってみていかがですか。
特撮が好きで、仮面ライダーセイバーで私を知ってくれて、そこから応援してくださる方たちがすごく増えました。いろんな方々が神代兄妹の絵を描いてくださっていました。神代兄妹が好きだというお子さんが、お母さんに衣装を作ってもらってSNSに写真を上げてくださっているのを見たりもしました。海外、特に中国でも『仮面ライダーセイバー』はすごく人気らしいので、そういう反響も聞けたりするのがとてもうれしいです。
序盤でまだ玲花が暗躍しているときは「嫌い」という声も目にしてたんですけど、そういう狙いもあったので、それはそれで成功したとニヤニヤしながら見ていました。でも『ゼンカイジャー』コラボ回もきっかけとなり、神代兄妹を好きだというツイートなどを目にするようになったので、お兄様と「ねえねえ、これ見た?」「見たよ、うれしいね」って見せ合いっこしていました。
――『深罪の三重奏』が8年後ですから、本作は少し時間が遡っているんですね。
『深罪の三重奏』では神代兄妹の関係性にかなり変化がありましたよね。堅物だったお兄様が柔らかくなり、逆に玲花はお兄様化して、逆に引っ張っていくようなシーンが描かれていました。そこから巻き戻るというので、少しだけ戸惑った部分はありました。それに、今回は家での玲花の姿が描かれているので、私生活での玲花はすごくキャピキャピしてほしいと監督から話があり、私が想像していた彼女のイメージとギャップがあったので驚いたんです。撮影がスタートするまでは、「よし、キャピキャピでいこう!」と心に決めるのですが、いざ演じるとどうしても玲花になってしまう……その「キャピキャピ、デレデレ」した部分を出すのにかなり苦戦しました。
――今回衣裳にウエディングドレスがあるのも特徴ですね。ドレスでのアクションもあったのでしょうか?
もちろんありますよ! 本編で仮面ライダーサーベラのスーツアクターを演じている宮澤雪ちゃん、仮面ライダースラッシュのスーツアクターだった森博嗣くんという普段から仲のいい二人が全面的に指導、サポートしてくれたおかげであのシーンは出来上がったんです。私が後ろに吹っ飛ばされるシーンも、雪が後ろで転ばないように支えて、受け止めてくれていました。森くんは敵役だったのですが、「思いっきり来ちゃっていいよ!」と言ってくれて、心強い二人のサポートがあり、かっこいいアクションシーンになったんじゃないかなと思います。
――『仮面ライダーセイバー』組はすごくチームワークがいい印象です。
そうですね、仲いいですよね。先ほど話に出てきた山口貴也くんもそうですし、なんといっても、人懐っこくて人見知りなんて一生しないような内藤秀一郎さん(仮面ライダーセイバー/神山飛羽真役)が座長ですから(笑)。
――ライダー組でいうと、生島勇輝さん、富樫慧士さんとも久々の共演ですね。
久しぶりだったんですけど、ずっと一緒にいすぎて久しぶりという感じがしなかったんですよ。会った時もものすごく自然に接していて、久しぶりという気負いもなくて安心しかありませんでした。
●神代兄妹の背景を掘り下げた
――兄である凌牙を演じる庄野崎さんの印象は最初から変化はありましたか?
もう、すんごい”お兄ちゃん”です(笑)。堅い役なこともあり、最初は冗談が通じるのかな、性格が合わなかったらどうしようと不安だったんですけれど、何かがきっかけで冗談を言い合えるようになって、そこからは私も素が出せるようになりました。本当に頼りにしていて、私がボンヤリしていても、「行くよ!」と声をかけて引っ張ってくれるような、まさに”お兄ちゃん”という感じですね。
――本作で監督を務める柏木宏紀監督は、テレビシリーズで36・37話を担当されていましたね。
私たちが一年間やってきた役、玲花と凌牙への気持ちを汲んでくださって、監督の製作へのこだわりの部分と、私たちが玲花・凌牙として壊したくないところを何度も何度も話し合い、受け止めてくださいました。結果として、すごくいい作品ができたんじゃないかなと思います。役への気持ちを大切にしてくださったので、すごくうれしかったですね。
――先ほど庄野崎さんにインタビューさせていただいた際に、アンジェラさんの演技に向き合う熱心さに影響を受けたとお話しされていました。演技は『仮面ライダーセイバー』が初挑戦だとお伺いしたのですが、1年を通してご自身に変化はありましたか?
最初のうちは本当に何をしていいのかもわかりませんでした。玲花が一人だったときは、とりあえず暗躍しておけばいいのかな、くらいの立ち位置だったので、そこまで深く考えることもありませんでした。そんなときに台本で、玲花の兄が出ることを知ったんです。
共演して早々に、お兄様が「神代兄妹ってどんな境遇で生きてきたんだろうね」と話を切り出してきたことがありました。そういわれて、「確かに、玲花たちはどんな人生を生きてきたんだろう」って思ったんです。私はそれまでそんなことは考えたことがなかったし、考えようともしてなかった。「二人だけなのかな?」「親はいるのかな?」とか。もしかしたら玲花はお兄様が親代わりだったのかもしれない。そういうところから、一から二人でバックボーンを作り上げて。そこから、「ああこういうことか」というのがちょっとずつ見えてきたんです。
お芝居をやり始めた時に、「セリフが覚えられないんです」と相談すると、「その人を憑依させて、その人そのものになってしまえば大丈夫だから」って言われるんです。でも「役になるってどういうこと?」って。そこがわからなかったんです。でも、なんとなくお兄様と少しずつそんなことをやっていると、ちょっとずつつかめてきました。お兄様はご家庭があり、お子さんを育てていることもあって、育てることに慣れているのかなと思うんですけど、うまくできるとめっちゃ褒めてくれるんですよ。だから私もやりがいがあるし、わからないところを聞くと、私以上に熱心に考えてくれるんです。それがわかってから頼るようになってきて。だからお芝居でわからない部分はすべてお兄様に聞いていました。ちょっとずつの成長かもしれないけれど、まるっきり素人だった私のお芝居が成長することができたのは、お兄様がいたからこそなんです。
――1年間取り組んでみて、お芝居に対する欲は出ましたか?
そうですね、やりたい、そして楽しいと思うようになりました。確かに朝は早いし、直前まで何を撮るのかわからないんですけど。お芝居を考えるのも難しいし。人になりきるって自分が思っているよりもずっと難しくて、どこから手を付けていいかわからなくて苦しい状態というのもあったんですけど、それをひっくるめても楽しいと思えたので、やりたいなというより、やってみたいなと思えました。
『仮面ライダーセイバー』に入る前は、漠然と女優もやってみたいなという感じだったんですけど、作品を通してすごく楽しい、もっとやりたいって思えるようになりました。もし、また挑戦させてもらえる機会をいただけたら、その時に最大限の力が出せるようにできたらいいなと思っています。
――そういう頑張りが評価されて、こうしてスピンオフとして実を結ぶというのも素晴らしいですね。
ありがとうございます。でも、そこにはかっこよく撮ってくださった監督をはじめとするスタッフさんたちの仕事があり、そこから神代兄妹がすきだと言ってくださる方々が増え、そして視聴者のみなさんがSNSなどで反響を形にしてくれたことで実現したものだと思うんです。本当に私たちだけでは実現できなかったことなので、うれしいですね。
――初共演となった矢崎広さんの印象は?
実はあまりお話できなかったんです。というのも、矢崎さんの前で食べ物をとにかく食べまくるというシーンがあったのですが、なるべく口の中に詰め込むために食べる順番を覚える必要があったんです。それを覚えるのに必死で現場ではお話しすることができませんでした。でもすごく雰囲気のある方で、目から伝わるお芝居への情熱とか、存在感のすごくある役者さんだなと思いました。ご一緒して気が引き締まる思いでした。
――改めて作品の見どころを教えてください。
本編では語られなかった神代兄妹の私生活の部分を見れると思いますし、すごくスピーディーで駆け抜けるような作品なので、すごく見やすいと思います。二人の複雑な心境、二人が家族であるという部分に焦点をおいたお話なので、ぜひ見てほしいです。
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