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小栗旬、三谷脚本に感謝「神がかっていた」『鎌倉殿の13人』完走で自信「RPGで言えば8レベル上がった」

2022年11月20日11時00分 / 提供:マイナビニュース

●「本当に納得のいく終わり方をさせてもらった」
現在放送中の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)で主演を務める俳優の小栗旬。汚れなき眼を持つ純朴な青年から、武士の頂点へと上り詰めるダークヒーローへとシフトしていった北条義時役を演じ、また役者としての株を上げた。10月下旬に約1年5カ月にわたる撮影を終え、本作は小栗にとってどんな経験になったのか。今の心境を聞いた。

脚本家の三谷幸喜氏が、平安末期から鎌倉前期において、源平合戦や鎌倉幕府誕生、執権政治に至るまでの権力争いを、北条義時を主人公に描いてきた『鎌倉殿の13人』。

小栗のラストシーンを見届けた制作統括の清水拓哉氏は「もはや小栗旬ではない北条義時の、手負いの獣のような姿だった」とコメントしていたが、この日の小栗はとても穏やかな表情だった。「あの日、全部置いてきたので、すっかり日常に戻りました。本当に納得のいく終わり方をさせてもらったので、ひきずるような感覚もなく、スパッと切り変わった感じです」

クランクアップの翌日、小栗は三谷氏に「全部終わりました。やり切ってきました」とメールで報告したそうで、三谷氏からも「ご苦労さまでした」というねぎらいの言葉が返信されたという。

また、「時々、三谷さんから『あそこのシーンが最高でした』、『あの表情がすばらしかった』といったメールをもらったりしました。クランクアップ前日はものすごくソワソワして、小池栄子ちゃんと『ちゃんと眠れてますか?』というメールのやりとりをした流れで、三谷さんにも『眠れません』と送ったんです。そしたら三谷さんから『前日に言うことじゃないと思うけど、完璧な義時だったから、安心して明日を迎えてください』というメールをいただきました。『素敵なメッセージですね』と返したら『寝起きにしてはなかなか気の利いたことを書いたでしょ』と言われました」と笑顔で語った。

クランクアップ時には、現場で涙していたキャストやスタッフも多かったようだが、小栗も「僕自身も今まで経験してきたクランクアップとはまたちょっと違う感じでした。まだまだ続けていたいという気持ちと同時に、やっと終わったのだとほっとする気持ちもあり、ひと言ではなんとも言い難い心境でした」と振り返った。

『鎌倉殿の13人』は小栗を筆頭に大泉洋、小池栄子、山本耕史ら実力派俳優陣のアンサンブル演技や、史書『吾妻鏡』をベースにしつつも独自の解釈とアレンジをした三谷氏の巧妙なストーリーテリングが、多くの視聴者を熱狂させている。

小栗は、三谷脚本の魅力について「まず1つは、全編48回を通して、こんなに説明台詞が少なくて済んでいる脚本ってなかなかないなと僕は思っています」と称える。

「台本を読むだけで、そこで起きている物事と、それぞれの登場人物の台詞によって世界観が見えてくる。それでいて、1人がこんこんと長台詞をしゃべるようなシーンもあまりなくて。もちろん人物の名前を羅列するような台詞は大変でしたが、感情にそぐわない台詞や、余計だなと思うような台詞は一切なかったです」と感心しきりだ。

さらに、「偉そうにこんなことを言うのもなんですが」と恐縮しつつ「今回は本当に神がかっていたんじゃないかなと思うくらい、毎話毎話、脚本を読むのが楽しみでした」とこれ以上にない賛辞を口にする。

気になる最終回については「ああいう形で描いてくれたことがすごい」と内容を伏せたうえで感激をあらわにし「今回、三谷さんは大河ドラマをこよなく愛している方だってことが、伝わってきました。だから自分は大河ドラマを、三谷幸喜さんの脚本で演じられたことがとてもありがたかったです」と感謝する。

前半で、北条義時と共に物語を牽引したのが、大泉洋演じた源頼朝だが、頼朝亡き後の後半とで、現場の雰囲気に変化はあったのだろうか。小栗は「基本的にほぼ変わってない感じがしますが、前半の20回ぐらいまでは僕より年上の方が多かったのが、後半から急に僕が“お兄さん”にならなければいけなくなったので、正直、前半のほうが気が楽ではありました(笑)。若い俳優たちは背負わなければいけないテーマみたいなものがたくさんあって、できる限り環境を良くしてあげたいと思ってしまうので」と語った。

“気遣いのできる座長”として知られる小栗だが「主役をやるとそういう風に言われますが、結局のところ現場を作っているのはスタッフの皆さんであり、今回の『鎌倉殿の13人』で言うと、間違いなく演出の吉田照幸さんが作る現場の空気がそのまま撮影以外の場所でも浸透していました」と述べ、吉田組について「風通しが良かった。変な緊張感がないし、みんながそれぞれ持ってきたものを披露できて、ちゃんと意見が言えるような環境でした」と振り返った。

●「1人の人間を生き抜けたことが大きかった」

およそ1年5カ月という長丁場の撮影を終えた小栗に、自身が成長できたことについて聞くと「自分としては特にないですが、俳優としては若い時から晩年までの義時までやらせていただいて、1人の人間を生き抜けたことが大きかったです」と手応えを口にする。

「後半では、台本をそんなに読まなくても、場面がなんとなく思い浮かぶようになっていました。自分が演じてきた義時だったら、きっとこういう行動をとるだろうと思っていると、台本にもそう書かれていたし、自分は義時として、ただそこにいればいいといった感覚になっていったことが、1つの自信につながりました。それは演技を超えていたし、僕は不器用なので、1人の人間を表現するために1年5カ月も使わないといけないんだなと感じました」と述懐。

そして、「もちろんこれまでの仕事も同じように臨んできたつもりですが、義時役は回を重ねれば重ねるほど、考える時間が多くなっていきました。だから、通常の映画やドラマに入った時も、初日の段階で同じくらい考え、役を深く読み取った自分でいなければいけないなと痛感しました。それを知れただけでも大きいですし、役にグラデーションをつけることができるようになったのではないかなと思います」と語った。

そんな大河の現場での経験をゲームにたとえて「1年5カ月ぐらいで、RPG(ロールプレイングゲーム)で言えば、8レベルぐらい上がったと思います。使える魔法が2つくらい増えたかと」とおちゃめな笑顔を見せる。

回を追うごとにSNSなどで称賛され、大河ドラマの新たな層をも開拓してきた『鎌倉殿の13人』。小栗にこれだけ盛り上がった要因について聞くと「やはり面白がってくれている理由は、物語の力だと思います」と断言する。

「毎回受け取る脚本は、自分たちが読んでも面白いと思いましたし、演じる僕たちをすごく前向きにさせてくれました。それに応えるべく、演出部、美術部などいろんなパートが一生懸命その世界を作ろうとしたことが相乗効果になっていったのではないかと」

『鎌倉殿の13人』は、12月18日に最終回を迎えるが、もしも大河ドラマで再度、主演のオファーが入ったら? との質問に「またいつかやりたいなと思っています。今回、ある種の成功体験をさせていただいたのでしんどいとは思いますが、今の日本で、どこを探しても、1年4~5カ月をノンストップでやり続け、48回をかけて1人の人物を描ける環境なんてなかなかないと思いますから」と意欲を見せた。

その際に演じたい役柄については「できれば北条義時のように、あまり皆さんにとって先入観のない人物を演じる機会をまたもらえるのなら、ぜひやらせていただきたいです。僕が今回、義時役をここまで楽しめたのは、『義時のこと、そんなに知らないでしょ?』と言えることがすごく大きかったと思うので」と話した。

最終回放送日の8日後の12月26日に40歳を迎える小栗。今後の展望を尋ねると、「特に何も考えてなくて、とりあえず休みたいと思っていたら、吉田鋼太郎さんから『舞台をやろう』と言われてしまいました」と笑い、「舞台が終わったら1回、本当の意味で自分の今後を考える時間を作らなければとは思っています。また、すごく興味をそそられているお話を何本かいただいている環境でもあるので、そういうものもひっくるめて、自分が今後、役者としてどういう形で生きていくのかを決めていきたいです」と語った。

大河ドラマの主演を全うし、俳優としてさらに一回りも二回りも成長した小栗。40代の新章への期待度は未知数だ。

■小栗旬
1982年12月26日生まれ、東京都出身。98年、ドラマ『GTO』で連続ドラマレギュラーデビュー。03年、舞台『ハムレット』で蜷川幸雄演出の舞台に初出演し、蜷川作品の常連となる。主な出演作としてドラマ『花より男子』シリーズ(05~07)、映画『クローズZERO』シリーズ(07/09)、映画『銀魂』シリーズ(17、18)、『罪の声』(20)、ドラマ『日本沈没-希望のひと-』(21)など。また主演舞台『ジョン王』(東京・Bunkamuraシアターコクーン他)が12月26日より幕を開ける。

(C)NHK

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